初版のはじめに この本は研究費のなかでも、科学研究費補助金(以下、科研費)を獲得するた めの申請書の作成方法について、具体的なテクニックをわかりやすく紹介したも のだ. 毎年9月になると次年度の科研費の申請が始まる(著者:和7年現在、公募 開始は7月中旬になっている)。いうまでもなく科研費は研究費の基礎として非常 に重要だ。科研費に採択されるか採択されないかは、研究計画やキャリアに大き な影響を与える。ところが科研費の採択率は現在では約20~25%であり、4~5 人に1人しか採択されない狭き門であり、採択されない人の方が圧倒的に多い。科 研費にはぜひ採択されたいと誰もが思うが、世の中には「科研費を獲得できる申 請書の書き方」などのガイドブックがありそうだが、これまでにお目にかかった ことがない。各個人、各講座でのテクニックがあり、それはほとんど門外不出に なっている。毎年春になって、その年度の科研費の審査結果が発表されると、毎 回のようによく採択される人がどの大学にも研究所にも必ずいる。彼(彼女)ら はいったいどのような申請書を作っているのだろう? そういった疑問をもったのがきっかけで、個人的にいろいろ調べた結果をもと にして、この本を書いた、いろいろな研究者の科研費申請書をチャンスがあれば コピーさせてもらったり、久留米大学で保管されている過去の申請書を、無理を いって読ませてもらったりした。さらに科研費を審査する側の経験も積んで、他 大学の研究者の申請書もたくさん読んだ、またラボ内の若手やスタッフ、知り合 いの研究者などから相談を受けて、申請書作成の手伝いもした。このような経験 からいうと、絶対に採択されるという申請書はないが、(多分)絶対に採択されな い申請書はある.「科研費に採択されるのは宝くじに当たるようなものだ」「コネ がないと採択されない」などと聞いたこともあるが、しかし、そんなことはない! 科研費の審査はきわめてフェアなもので、しっかりと準備をしてよい申請書で応 募すると、結構採択されるものだ。しかも宝くじよりもずっと当たる確率が高い。 若手研究者に「科研費の申請書の書き方は、どこで習ったか?」と聞くと、ま ずほとんどの者が「ラボの先輩が作成しているのを、見よう見まねで作成してい る」と答えるだろう。私もそうだった。実物の申請書は作成した個人がコピーを 保管しているだけで、見せて欲しいと頼まないと、見る機会などなかった。私の ラボでは毎年の申請書を全員の分をコピーして保存してあり、誰でもいつでも見 ることができる.もちろん採択されたものも不採択のものも全部資料としておい てある。これらの資料は、これから申請書を書こうとする者に、非常に役に立っ ていると言じている。なんといっても実物の申請書に勝る見本はない。そこで、こ