===== Page 172 ===== 9 本研究がどのような国際性を有するか ●この欄では何を書くのか? 提案する研究課題が、国際的にみて高いレベルの研究内容であることを書く・ ●この欄では何を評価する? 国際競争力のある研究かどうかを評価する。高く評価された研究課題については 研究費配分額が充実される。また若手研究者には基盤研究(B,C)において「国 際・若手支援強化枠」が設けられ、国際性の評価の高い研究課題は優先的に採択 される. 令和7年度公募から基盤研究(A,B, C)に新たに加わった項目であり、若 手研究や挑戦的研究にはこの項目はない。この「国際性」に関して、審査にお いても「研究課題の国際性に関する評定要素」が新たに加えられた。 この国際性の項目は、これまでの「国際共同研究加速基金」や「海外連携研 究」を「基盤研究種目群」等に統合するために追加されたものである。国際性 が高く評価されたものは研究費の配分額が充実される(申請した額よりも増額 されるということではなく、充足率などに調整が入る)。また基盤研究(B,C において、「研究課題の国際性」が高く評価された研究課題であって若手研究者 を研究代表者とするものは、優先的に採択する枠組み(「国際・若手支援強化 枠」)が設けられる。なお、「若手」について、年齢などの基準は明言されてい ない。 国際性の評価が低いからといって不採択になるわけではない。つまり、マイ ナス評価にはならないから、安心して書いていけばいい。 では、実際にどのように国際性を書いていけばよいのだろうか。申請書の記 載項目の注意欄には、国際性として次の3点が書かれている。 ①将来的に世界の研究をけん引する ②協同を通じて世界の研究の発展に貢献する ③我が国独自の研究としての高い価値を創出する これらの3点において、自分の研究がどのような点で「国際性」があるのか、 工夫して書いていく、分量の目安としては5~7行ぐらいがよいだろう。 まず①について、安直に「本研究は、将来的に世界の研究をけん引するもの である」などとは書かないこと、なぜ「世界の研究をけんら」できるのか、そ の高いレベルについての説明を書く必要がある。 172 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 173 ===== 9本研究がどのような国際性を有するか AIによるタンパク質のアミノ酸配列から立体構造を予測するAIphaFold3は、複合体の を可能にする最先端のプログラムである。本研究では、AlphaFold3を活用してオーファンGPCR のペプチド性リガンドを探索することで、これまで未解明であった分子機構の解明や創薬への新 しい道を開くことを目指している。本研究は、〇〇〇〇賞を受賞した〇〇博士の研究室との国際共 同研究として進められており。申請者は博士の研究室に定期的に滞在してラボメンバーと緊密に 情報共有を行っている。このような国際的で高度な研究環境において、AlphaFold3の活用 く革新的なアプローチを展開することで、最先端の研究を推進できる体制が整っている。 現在。世界各国で高齢化が進む中。日本はその高齢化率において世界最高水準にある。このよ うな社会的課題に直面する中。本研究では、認知症の包括的な早期発見プログラムの有効性を検 証する。このプログラムは、高齢者の認知機能低下の早期段階での介入を可能にするものであり、 わが国の先進的な医療技術や予防医学の知見を集約したものである。さらに、このブログラムの 設計は、日本の高齢化社会で得られた知見を基盤としながら、異なる文化的・社会的背景をもつ 他国でも適応可能な柔軟性を備えている。これにより、本研究は日本国内にとどまらず、高齢化 という共通課題に立ち向かう多国間の連携の一環として、国際的に広範な社会的インパクトを与 えることが期待されている。 ペプチドホルモンの研究は日本が世界をリードしてきた研究分野である。たとえば申請者は食 欲を刺激するホルモンのグレリンを発見し、その発見論文(Nature, 1999)は被引用回数が 7.388件、グレリンに関する発表論文は12.435編以上と(2023年9月末現在)、現在も世界中 グレリンに関して活発な究が行われている。このように未知のペプチドホルモンの探索研究は 将来的にも国際的に高い価値を創出する研究である 図3-67●「本研究がどのような国際性を有するか」の見本 ②については、海外のラボとの共同研究があれば積極的に書いておく、ただ し、日本学術振興会の資料には「国際共同研究を実施していることのみをもっ て国際性が高いと評価するものではない」とあるので、高いレベルの共同研究 であることが必要だ. ③については、研究計画の内容が、日本が世界をリードする分野のものであ ることなどを書く、あるいはその研究成果が、国際的にも展開や応用が可能で あるとかを書くのもよいだろう。 いくつかの例をあげておこう(図3-67). 「本研究がどのような国際性を有するか」の書き方のポイント ・採否には重要なウエイトを占める項目ではないので安心して書けばよい。 ・国際的に高いレベルの研究であることをアピールする。 ・国際性に関連することなら、少しでも書いておくこと。 (173