===== Page 170 ===== 8 本研究の目的を達成するための準備状況 ●この欄では何を書くのか? 実験や調査の予備的なデータや、保有している試料や資料など、現在の研究の準 備状況を具体的に書く・ ●この欄では何を評価する? 「準備状況」から、申請者が研究計画を実現できるかどうかを判断する。 赤ペン添削HB3 ● Case 63 準備状況としては、予備的な実験データが出ていれば、それを紹介しておく のがよい.この部分に実験データを図で示すことも効果的だ、「このように研究 が進展している」ので、本研究計画は「実行可能」だとアピールするのに説得 力がある.また研究計画に必要な試料や機器類などがすでに手にあるなら、 そのことを書いておく、試料や機器類がまだ手にない場合には、その入手計 画や方法を具体的に書いておくこと(図3-65, 図3-66). 文系の研究者の方ならば、予備調査の結果などを示すのがよい。また共同研 究者との研究打ち合わせの状況なども書いておくとよい。 準備状況で重要なことは、実験や調査の予備的なデータや、すでに保有して いる研究計画に使用する試料や資料などを具体的に記載することによって、客 観的に準備が整っていることを示すことだ。具体的な準備状況なしで、自ら「準 備は整っている」と書いても説得力がない。しかし意外にも、客観的な準備状 況を書いていない例が多く、とくに文系の研究者の申請書によくみられる。 170) 準備状況を 示す 測定機器や分 析機器を示し て、実行可能 性をアピール する アッセイに用いるGPCRの発現細胞系は次のように準備している。 ①ほ乳類におけるリガンド既知のGPCR:約20種類 ②ほ乳類におけるリガンド不明なオーファンGPCR:約40種類 ③③ショウジョウバエと線虫のGPCR:約30種類(リガンド既知とオーファン合わせて) これらの受容体発現細胞系を使って、セカンドメッセンジャーを測定するハイスループット機 器として、FLEXステーションとEnVisionシステムを保有している(久留米大学ならびに宮崎入 学)。これらを使ってセカンドメッセンジャーとしての細胞内カルシウム濃度、CAMP濃度などを 測定できるシステムを構築している。 また生理活性物質の精製用にHPLCを複数台、微量精製用にAKTAシステム(久留米大学なら に宮崎大学)を保有している。また質量分析計を複数保有しており(国立〇〇病研究センター)、 単離した生理活性物質の構造決定が可能である。 このように原材料の調達から精製、構造決定までのシステムはすでに立ち上げており、本研究 は十分に実行可能である。 図3-65●「準備状況」の見本1 平成30年度国際共同研究強化(B)の申請害の実例. 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 171 ===== 8本研究の目的を達成するための準備状況 準備状況を 示す 実行可能性 をアピール 研究体制は 整っている ことを示す 予備実験の データがある ことから実行 可能性を アピールする 図3-66●「準備状況」の見本2 (例1) K大学の申請者の研究室では施設・設備・備品等について十分に整っている。またグレリンに関 する合成ペプチド、抗体、グレリンKOマウスなどは、これまでの研究過程で作製し使用されたも のであり、十分な実績をあげている。このように現在の研究環境について問題はない。 (例2) 研究代表者は現在は〇〇に属しているが、ほぼ独立したかたちで研究を進めており、基礎的な 分子生物学・生化学実験に必要な設備は整っている。 (例3) 申請する研究計画では臨床応用的な研究も進めるため、臨床の研究者の協力が必要である。こ の点に関して、すでにK大学医学部外科学教室の消化器腫瘍外科の専門家と共同研究を行っており、 連絡調整等に問題はない。また計画中のヒト胃でのグレリン局在の詳細な検討にはすでに着手し ている。 (例4) 2000年度からのインタビュー調査に協力してもらう施設(〇〇や〇〇など)の責任者や支援 者との連携はできており、インタビュー対象者40名の確保も可能な見通しである。当プロジェク トのメンバーで構成する研究会をすでに立ち上げており、定期的な研究会の開催と進捗状況の検 討を行うことで、研究計画を達成できるように進める。 研究協力者は、申請者の所属する同じ研究室のメンバーであり、連絡調整や研究の打ち合わせ について問題はない。 (例6) 既に本研究提案の予備実験は着手済みで、データも着実に蓄積している。研究室には生細胞観 察用の充実した頭微鏡等が備わる上に、蛍光頭微鏡を用いた分裂酵母の生細胞観察では世界をリー ドする〇〇大学●〇研究科の〇〇教授とも十分な連携が可能なことから、計画の遂行に問題はな いものと考える。 →「本研究の目的を達成するための準備状況」の書き方のポイント ・客観的な事実を記載して、準備が整っていることを示す。 ・実験や調査の予備的なデータを示す。 ・すでに保有している研究計画に使用する具体的な試料や資料を記載する。 ・共同研究者との研究ち合わせの状況などを書いておく・ (171