===== Page 155 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 7 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしよ うとするのか ●ここでは何を書くのか? 提案する研究課題について、どのように実験や調査を進めていくのか、具体的な 研究計画と方法を記載する。 ●ここでは何を評価する? 研究計画・方法が研究課題を実現するのに適切であるかどうかを評価する。採択 のためには「研究目的」と並んで重要な項目だ. 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」は、「研究 目的,研究方法など」のなかで記述することが求められている一項目だが、こ れは平成29年度までの申請書に設けられていた「研究計画・方法」という重要 な項目に相当する。現在の申請書では記載事項についての説明はまったくない ため、書くにあたって戸惑う人も多いかもしれない。そのようなときには、平 成29年度までの申請書の記載事項の説明が役に立つ。 基盤研究(C)の以前の申請書では、「研究計画・方法」を書く際には次のこ とに気をつけて書くように指示されていた(図3-48). ①冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述すること ②初年度の計画と次年度以降の計画に分けること ③適宜文献を引用すること ④研究が初計画どおりに進まないときの対応を述べること ⑤研究計画を遂行するための研究体制を述べること ⑥研究代表者,研究分担者の具体的な役割を(図表等を用いて)述べること (⑥は現在の申請書においても記述するように指示されている。図3-1の説明欄の 最後) 現在の申請書においても、このような項日で書いていけばよい。特に研究方 法や調査などの詳しい内容を書くばかりで、④~⑥の記載がおろそかになるの は避けたい.これらも研究計画を実行するための重要な要素だからだ。なお若 手研究は「1人で行う」研究なので⑤と⑥は不要である。以下、順番に要点を 書いていこう. (155 ===== Page 156 ===== 赤ペン添削HB3 ● case 45, 46 基盤C(一般)-3 本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、量頭にその横要を簡潔にまとめて記述した上で、平成 29年度の計画と平成30年度以降の計画に分けて、適宜文献を引用しつつ、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。 ここでは、研究が当初計画どおりに進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、研究計画を遂行する ための研究体制について、研究分担者とともに行う研究計画である場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割(図表を用い る等)、学術的観点からの研究組線の必要性・妥当性及び研究目的との関連性についても述べてください。 また、研究体制の全体像を明らかにするため、連携研究者及び研究協力者(海外共同研究者、科研費への応募資格を有しない企 薬の研究者、その他技術者や知財専門家等の研究支根を行う者、大学院生等(氏名、員数を記入することも可))の役割につ なお、研究期間の途中で異動や退職等により研究環境が大きく変わる場合は、研究実施場所の確保や研究実施方法等につ 研究計画・方法(概要)※研究目的を連成するための研究計画・方法について、簡潔にまとめ 図3-48・以前の申請書の「研究計画・方法」の解説部分 平成29年度基盤研究(C)の申請の実例. 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」 の書き方 ①冒頭に研究計画・方法の概要を簡潔に記述すること 以前の申請書では「研究計画・方法」欄の冒頭にも概要を書くようになって いたが、平成30年度以降の申請書では「研究計画・方法」は「研究目的。研究 方法など」にまとめられたため、概要を書くのは申請書の最初の1カ所になっ た。しかし、この「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとする のか」の冒頭には、研究計画の概要を書いておくのがよい。まず研究計画の概 要を説明して、それから各年度ごとの詳しい研究内容を書いていく、すると審 査委員にも理解してもらいやすい。この概要のポイントとして、 ・具体的な研究項目は箇条書きで書く(図3-49) ・研究計画の流れ、研究のタイムテーブルなどを図示するのもよい(図3-50. 図3-51)〔参照後述の図3-63, 4章の図4-8) ②初年度の計画と、次年度以降の計画に分けて書くこと 年度ごとの計画は、初年度と2年目以降に分けて書くのがいい。採択された らすぐに研究をはじめることができるように、初年度の研究計画はとくに念入 (3)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 本研究ではグレリン受容体の結晶構造解析のための共結晶化ツールとして、グレリン受容体の 立体構造を認識するアルパカ由来のナノボディを作製する。 研究の進め方は、 ①グレリン受容体を無細胞タンパク質合成系で発現させてアルバカに免疫する。 ②リンバ球からmRNAを抽出して、ナノボディ CDNAをPCRで増幅し、ファージディスプレイ・ ライブラリを作製する。 ③1次スクリーニング:ファージディスプレイ・ライブラリからグレリン受容体を認識するナ ノボディを選択する。 ④2次スクリーニング:選択したナノボディをグレリン受容体発現細胞に加え、細胞内カルシ ウム濃度の上昇活性を指標に、グレリン受容体のグレリン結合部位に作用し、受容体を活性化す るナノボディを選び出す。 図3-49・「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の 研究計画の具体的な項目を書くときには箇条書きにするとよい。 (156 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 157 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 研究計画の流れ グレリン受容体を 含むリポソーム アルパカへの免疫、リンパ球からmRNA抽出 ファージディスプレイ・ライブラリの構築 ナノボティ グレリン受容体の立体構造を ●認識するナノボディの選択 3 章 ME リガンド結合部位を認識して、 受容体を活性化するナノボディの選択 C未 活性型へ 図3-50●「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の見本2 研究計画の流れを模式図やフローチャートにするとわかりやすい。 年度 研究計画 H30 大腸菌と無細胞タン パク質発現系で、グ レリン受容体を大量 発現させ、精製する。 精製したグレリン受容 グレリン受容体を組み 体を人エリポソームに 込んだプロテオリン 組み込み、プロテオリ 「ゾームを抗原として、 ソゾームを形成する。 モノクローナル抗体を 作裂する。 研究計画のタイムテーブル H31以降 作製したモノクローナ ル抗体をグレリン受容 体発現細胞に加え、 受容体を活性化するク ローンをスクリーニン グする。 図3-51・「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の見本3 研究計画のタイムテーブルを図示するとわかりやすい。 赤ペン添削HB3 ● case 27 赤ペン添削HB3 ●case 60 りに書くこと、もちろん研究期間全体にわたって継続するものはそう書けばよい。 ③適宜文献を引用すること 文献引用の数は多すぎないようにする.まったくなくてもかまわない。その 文献に記載された方法が、計画する実験に必要なときだけ引用するのがよい。 新しい方法論などは文献をあげておくと、それが実際に可能な方法であること の保証になる。また、3章4:本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究 課題の核心をなす学術的「問い」の書き方で前述したように、ここでもこれまでの 自分の業績は積極的に引用して、実行可能性をアピールするのがよい 〔参照図3-31,後述の図3-71,およびその周囲の文章)。 ④研究が初計画通りに進まないときの対応を書く 計画した実験や調査の結果はどうなるのか、実際にやってみないとわからな いことが多く、研究とは得てして計画通りに進まないものだ、そのため研究が ===== Page 158 ===== 研究が当初計画通りに進まないときの対応 今回、ショウジョウバエにおいて新規生理活性ペプチドの探索、生理機能の解明、さらに哺乳 類への応用を中心に研究を行う。探索に関しては、今回発見した2種類以外にもすでに活性を示 す受容体を発見しているので、そのいずれかは哺乳類にもホモログが存在すると思われる。も し、なかった場合でも、昆虫に広く存在しているペプチドの場合、重要な生理機能を有している と考えられるので、昆虫において検討を進める。ショウジョウバエではペプチドの投与は難しい ので予備実験として、カイコに投与する実験は始めている。 図3-52●研究が計画通りに進まないときの対応の例 そのときの対応を、このように別に書いておいてもよい。 赤ペン添削HB3 ● case 61| 赤ペン添削 HB3 ● case 47~49 初の計画通りに進まないときの対応は書いておいた方がよい(図3-52). この項目は書くのが難しいと感じるかもしれない。しかし、研究計画を立て るときにはいくつか異なったアプローチで実験を行うことと思う.1つの実験 項目のなかに異なるアプローチの実験方法も書いておいて、「計画通りに進まな いときには」と書いておけば問題はない。 ⑤研究計画を遂行するための研究体制を書く 学術変革領域研究や特別推進研究を除いて科研費は、基本的に少人数で研究 を行うものである。しかし現在の多様化した研究内容によっては研究分担者や 研究協力者との共同研究が欠かせない。2章5:研究パートナー(共同研究者)の選 び方で記載したように、他の究者をメンバーに加える場合は、その究者が もつテクニックやメソッドが研究計画の遂行に不可であることを明記してお くのがよい。そうすれば計画の実現性に説得力が増す。 ⑥研究代表者、研究分担者の具体的な役割(図表を用いるなど)を書いておく 誰がどの研究項目(サブテーマ)を担当するのか、具体的に書いておく.サ ブテーマごとに「(担当:児島、中村)」などと書いておけばよい。また研究体 制を図表にしておくのも、わかりやすくてよい(図3-53)・ 研究計画・方法を書くときの注意事項 さて、具体的に研究計画の部分はどのように書けばよいのだろうか。当然だ が、突拍子もない計画や、実現不可能な実験計画は書かないこと。ここでは実 際の例を参考にして、注意点を書いていこう。 ①いきなり具体的な研究手技を書かない! 科研費の審査をしていて、研究計画に実験方法が詳しく書いてあるのになぜ か印象に残らないし、いったいその研究で何をやろうとしているのかが、はっ きりしないと感じることが多々ある。これは、何を明らかにしようとしてその 実験をやるのか、実験の目的をしっかりと書いていないからだ。このような例 (158 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 159 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 研究体制 児島将康(研究代表者):研究全般、コンストラクトの設計、 グレリン受容体ならびにGOATの発現と活性のチェック 〇〇〇〇(研究協力者。〇〇大学大学院医学研究科・〇〇情報学・准教授) 目的タンパク質の結晶化に対する指導、結晶構造解析 〇〇〇〇(研究協力者、久留米大学医学部・〇〇学教室・講師) グレリン受容体のアッセイ 〇〇〇〇(研究協力者、久留米大学分子生命科学研究所・研究員) GOATの発現、精製、活性のチェック 3 章 〇〇〇〇(研究協力者、久留米大学分子生命科学研究所・大学院生 グレリン受容体の発現、精製、結晶化、構造解析 図3-53・研究体制の図の例 研究計画・方法(平成30年度) 1. 免疫組織染色(IHC)を用いた食欲関連神経細胞におけるARの共存の確認 a) 野生型ラット、マウスの視床下部(ARC, NMH.LH. SCN)及び、大脳辺縁系に存在する食 情動関連中枢の神経細胞群中のアンドロゲン受容体(AR)の分布をIHCの手法で検討し、食欲・ 情動に関連した神経細胞にARが存在することを確認する。 b) 摂食関連ペプチドとその受容体(Ghrelin. NMU, NPY. CRH. AgR 抗体を用いて、ARとの二重染色を行い、摂食関連神経細胞における摂食関連ペプチドとARの共存 について検討する。 c) 視床下部・大脳辺縁系の神経細胞におけるARとエストロゲン、ARとグルココルチコイド受 容体、ARとアロマターゼ酵索との共存について検討する。 d) 野生型ラットにアンドロゲン (DHT, Testosterone,DHEA)を室内投与し、一定時間後に 脳組織にてFos染色を施行する。アンドロゲン投与によって活性化されるFos陽性神経細胞の局 を検討し、摂食関連の神経細胞の活動が、アンドロゲン投与によって活性化するか否かについて 検討する。エストロゲン投与による同様の検討も施行し、アンドロゲン投与の場合と比較する。 図3-54●研究計画・方法のあまりよくない例1 個々の研究項目は、実験方法としては問題はない。よくないのは、どのような目的でその項目の研究を行うのかを いていないことだ。これまでの結果から、どのようなことがわかっていなくて、そのためにどのような実験をやって、 何を明らかにしようとするのかを明確に書いておかなければならない。 が非常に多い(図3-54).これでは単なる作業リストだ. 論文を書くときには実験のことをどのように書いているだろうか.いきなり 実験の詳しい内容について書いていることはないだろう。論文では、個々の実 験について、それぞれの目的をまず書いているはずだ。なぜその実験をやるの か、何を明らかにしようとして、その実験をやるのか?申請書も同じである。 しかし申請書では実験の日的を書いていない例がとても多い。目的があってこ その実験である。実験内容に現実味をもたせるためには、どのような目的でそ の実験をやるのかをしっかりと書いておく必要がある(図3-55). (159 ===== Page 160 ===== 冒頭に簡潔な要 旨を書いておく 目的をはっきり と書いておく 何の目的で、 この実験をや るのかを書い ておく 申請者が作出したグレリンノックアウトマウスでは血圧や体温の基礎値や日内リズムが不安 定で、これは自律神経の機能障害によると考えられる。そこで本研究では、グレリンが自律神 経機能を調節するメカニズムを解明し、クレリンの病態生理学的な意義を明らかにする。 (1) 自律神経活動に対するグレリンの作用機序の解析 本研究では、グレリンノックアウトマウス(以下、KOマウス)において、血圧や体温の基礎 値や日内リズムに異常が生じる機序を主に神経回路を調べることによって解析する。 ①グレリンが中枢へシグナルを伝える経路の解析【平成20年度]: 最近、KOマウスの腹腔内に浸透圧ミニポンプを用いて、グレリン受容体アゴニストである GHRP-6を長期投与する予備検討を行ったところ、KOマウスの体温が正常になった。このため、 自律神経の機能を調節するグレリンの作用は、末梢から分泌されるグレリン由来であると考え られる。末梢のグレリンが中枢へシグナルを伝える経路として、グレリンが血液脳関門を通過 して中へシグナルを伝える糸と、迷走神経を介して延髄側核へと作用する糸が考えられる。 そこで、はじめに標識グレリンを末梢に投与した場合に血液脳関門を通過するのかどうかを検 討し、次に、迷走神経の切除術を行なった野生型マウスを用いて血圧や体温のリズムにKOマ ウスと同じような異常が生じるのかどうかを調べる。 ②中枢における神経経路の解析[平成20年度]: グレリンが血圧や体温を調節するまでの中枢内における神経回路を明かにする目的で、脳の 神経核破壊実験や神経回路遮断実験を行なう。実験は、血圧や体温に野生型マウスとKOマウ スの差が見られる生理条件下で、神経活動のマーカーであるCFos蛋白質の発現を脳で比較検 討し、この結果をもとに破壊や遮断する神経核を決定する。 このような実験から、どのような作用機序でグレリンが自律神経の機能を調節し、血圧や体 温を一定に保っているのかを明らかにできる。 図3-55・研究計画・方法の書き方の見本1 平成20年度若手研究(B)の申請の実例。 文系の方の研究計画では実験を調査と置き換えてもいい。どのような目的で その調査をやるのか?この場合も目的があってこその調査内容である。 最初に、どのような目的でその実験を行うのかをしっかりと書いておく、その 後で、各実験項目の細部を書いていく。実験の目的を明確に書いておかないと、 具体的な実験内容も理解してもらえない。例えば、まずこれまでの研究成果や予 備的な実験結果を書いて、「このような点がわかっていないので、それを明らかに するために、次のような実験を考えた」とすると、非常にわかりやすい(図3-56) そして実験の詳細を書いて、その後にこの実験で何が明らかになるのか、予 想でいいから書いておく.どのようなことがわかると予想されるのか、この実 験で何を明らかにできると考えているのか、それを書いておけばいい。論文で はすでに行った実験について書くので実験結果の後は考察に入るが、申請書の 場合は「この実験によって、(具体的に)〇〇が明らかになる」とか「〇〇が確 認できる」とか、未来予想で実験の意義を書く、まとめると、次のような順番 で書いていけばよい。 実験(調査)の目的→具体的な実験(調査)内容→この実験(調査)の意義 や展開・応用 (160 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 161 ===== ⑦本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 【1 研究目的、研究方法など(つづき)】 1. グレリンの生合成経路の解明 …・・・遺伝子から活性型のペプチドへ(児島、〇〇、〇〇が担当) グレリン遺伝子の発現調節から、活性型グレリンになるまでの生合成経路について明らかにする。 a, グレリン遺伝子の転写制に関わる因子の解明 グレリン遺伝子の転写を制御する因子として、申請者らは抑制性のNF-KBと促進性のNKx2.2が関与しているこ とを見出した。本年度はさらにこれらの因子がグレリン・プロモーターのどの部位に結合して、グレリン遺伝子の 発現を調節するのかを解明する。方法としてはゲルシフト・アッセイやChip (クロマチン免疫沈降)アッセイ法な どを用いて結合領域を明らかにする。 b,グレリン遺伝子の発現を制御する染色体領域の解明 プラダー・ウイリー症候群(PWS)は第15染色体の異常があり、これが原因で生後早期からの高グレリン血症や 過食などになる。さらに申請者らの最近の研究で、第1染色体の先天異常疾患においてクレリン産生が激減してい る例を見出しており、この原因はまだ不明である。これらの領域のタンパク質をコードすると考えられる部分の選 伝子を、内因性にグレリンを産生する細胞株(例えば甲状腺癌由来のTT細胞など)でRNAi法を用いて発現抑制し、 培養細胞でのグレリン産生をグレリン測定系(RIA およびELISA)で定量する。これによってグレリン 現の候補遺伝子を明らかにする。 グレリン前駆体からグレリン・ペプチド部分を切り出すプロセシング・プロテアーゼの同定 われわれのこれまでの研究で、グレリン前駆体からのプロテアーゼによる切断にはfurin および PC1 していることがわかった。そこで本年度は furin と PC1/3のどちらが胃のグレリン産生細胞に存在して、グレリ ンと共存しているのか明らかにする。自作のグレリン抗体と、市販のfurin,PC1/3抗体を用いて、胃の免疫組織 染色を行い、染色像が重なるかどうか調べる。内因性に活性型グレリンを産生する甲状腺由来 TT 細胞で、 法を使って furin またはPC1/3の発現を阻害することによって、グレリン前駆体のプロセシングが進むかどうか 調べ、グレリンのプロセシング・プロテアーゼを同定する。 d, グレリンの脂肪酸修飾酵素の同定 グレリン活性化に必要な脂肪酸転移酵素は現在でも全く不明である。申請者らはCOS細胞を使った発現系で、ク レリンと furin の発現ベクターと、胃または視床下部cDNA発現ライブラリーを共発現させ、培地中 を加えることで、オクタン酸で修飾された活性型グレリンを産生させ、これを免疫組織染色で同定するというアッ セイ方法を確立した。このアッセイ系を用いてグレリンの脂肪酸修飾酵素を明らかにする。この酵素はおそらく新 規の脂肪酸転移酵素であろうし、その阻害剤や活性化因子は、グレリンの活性発現の調節に重要な働きをすると考 えられる。 2, クレリン・ノックアウトマウスの自律神経機能の解析(児島、〇〇、〇〇が担当) これまでに海外の2研究グループからグレリン・ノックアウトマウスの解析が報告されているが、目立った表現 型は見つかっていない。申請者らはグレリンKOマウスを作製し、野生型マウスと比較して詳細に検討した。その 結果、われわれはグレリンKOマウスにおいて自律神経機能に異常があることを見つけ出した。グレリンKOマウ では血圧・心拍調節、体温調節がうまくいかず、安定していない。睡眠・覚醒によって血圧・心拍や体温は変化す グレリンKOマウスではその変動の幅が狭く、また基礎的な値の変動が著しい。本研究ではこのグレリン欠損に る自律神経調節機構を解明する。 a, グレリンKOマウスの体温調節機能および血圧・心拍の調節異常の解析 グレリン欠損でなぜ自律神経機能に異常が生じるか調べる。原因は末梢性なのか中枢性なのかを、グレリンKO マウスにグレリンを末梢性あるいは中枢性に投与して、どちらの投与で自律神経機能が回復するかで判断する。B ブロッカー、ブロッカーなどの各種薬物投与によるKOマウスの自律神経機能の変化を調べる。 b, グレリンKOマウスにおけるその他の自律神経機能の解析 血圧・心拍、体温以外の自律神経機能の異常を調べる。グレリンKOマウスで腸管運動、呼吸運動、泌尿器の機能、 などに異常がないか調べる。アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの生体内濃度が変化 しているかどうか定量する。 図3-56●研究計画・方法の書き方の見本2 平成19年度基盤研究(B)の申請者の実例. Cで囲んだ部分に研究の背景や目的。予備的な結果を書いてある。また。その後の で示した部分に何をやるのか(実験内容)を書いてある。 (161 ===== Page 162 ===== それぞれの年度 の概要を簡単に 書いておく (平成28年度の研究計画)平成28年度には、抗原とするグレリン受容体の合成、アルパカへ の免疫、ファージディスプレイ・ライブラリの構築までを行う。 ①グレリン受容体を無細胞タンパク質合成系で発現させてアルバカに免疫する。 ヒト・グレリン受容体の立体構造を認識するナノボディ作製において、余分なN未端、C末 端部分を削って、コンパクトな受容体の立体構造部分だけにする。予備的な検討ではヒト・グ レリン受容体のPhe38-Glu341の部分で十分な受容体活性を保っているので、この部分を発 (平成29年度以降の計画)平成29年度以降には、グレリン受容体の立体構造を認識するナノ ボディを選択し、その中からグレリン受容体のリガンド結合部位を認識し、受容体を活性化で きるナノボディをスクリーニングする。 ③1次スクリーニング:ファージディスプレイ・ライブラリからグレリン受容体を認識するナ ノボディを選択する。 1次スクリーニングでは、グレリン受容体を認識するナノボディをピックアップするため、 いわゆるバンニング (panning)を行う。ビオチン化脂質を含ませたリポソームにグレリン 容体を組み込み、ストレプトアビジンプレート表面に固相化する。このリポソームでは、グレリ 図3-57年度ごとに簡単な概要を書く 平成28年度基盤研究(C)の申請害の実例。初年度と次年度以降に分けて研究計画を書く、旨頭にはその年度に行う実験の概要を簡単に書い ておくこと. (2000年の研究計画) 初年度にはグローバル教育はどのような背景のもとで、いかに定義されてきたのかを、国内外 の文献を収集して読み込む。さらに、これまでになされてきたグローバル教育の実践や、その成 果と課題を先行研究から調べる。 図3-58●研究計画・方法のあまりよくない例2 赤ペン添削 HB3 ● case 48, 49 ②年度ごとに簡単な概要を書く 初年度と次年度以降に分けて研究計画を書くとよいのだが、そのときに当該 年度の冒頭には、どのような目的で、どのような研究を行うのか、それぞれの 年度の概要を1~2行で簡単に書いておくのがよい(図3-57).「概要(サマ リー)→詳しい内容」の流れで書いていくと、審査委員はまず研究計画の概要 をつかんでから読み進めるため理解しやすい。 また採択されたらすぐに研究をはじめることができるように、初年度の研究 計画は特に念入りに書くべきである。 ③研究計画はすでにスタートしていることを書く これは文系の方に多い例なのだが、「科研費に採択されたら研究をスタートしま す」ではいけない。そうではなく、「すでに研究に着手していて、ある程度のデ タが出ている、これから研究が面白くなっていく」とアピールしなければならない。 例えば図3-58の例のように、初年度に「文献を収集して読み込む」「先行研 究から調べる」では、審査委員から準備不足とみなされても仕方がない。初年 度には「必要な文献はすでに収集済み」「文献や先行研究の調査はほぼ完了」し (162 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 163 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 赤ペン添削 HB3 ●case 09, 50~53 赤ペン添削HB3 ● case 55, 61 赤ペン添削HB3 ●case 80 たうえで、申請書には見出した課題を実際にいくつかあげておくべきだ。そし てその課題についてこれから研究していくという流れで書くのがよい。 ④研究計画はいくつかのサブテーマに分けて書く 研究全体が1つの研究項目(サブテーマ)だけで構成されることはありえな い.いくつかのサブテーマが集まって構成されることと思う。科研費の種目別 でのサブテーマの数は、若手研究と基盤研究(C)では3つくらい,基盤研究(B) で4~5つくらいだと思う.これらのサブテーマをさらにいくつかの実験項目 に分けて書いていく。 実験項目の数があまりに少ないものはよい点数をもらえない。少なくとも各 サブテーマごとに2~4の実験項目を書くべきだ.実験項目が多すぎて減点に なることはまずない。 ⑤メソッドは具体的に書く 実験内容を「具体的に書く」というのはとても難しい。なんとなくわかる、 しかし内容のない単語は、工夫して別の具体的な言葉に変えよう。例えば「検 討する」「考察する」「解析する」「調べる」などの動詞をついつい使ってしまう が、実はこれらの単語には具体的な内容はほとんどなく、単に漠然としたイメー ジしか審査委員に与えない。そんな大げさなと思うかもしれないが、試しに自 分の申請書を見てほしい。これらの言葉を使うと書くのが楽で、なんとなくよ い感じがするのでついつい使ってしまっているだろう.具体的に書くというこ とは非常に大変で、パワーと気が必要だ。具体的にするための詳しい書き方 は次の◆研究計画・方法を具体的にするための方法で解説する。 ©実験計画の概要・進め方や研究者の役割分担などを、 図やイラストにして示す 実験計画の説明部分でも図やイラストを使うと、わかりやすくてよい(図 3-50,図3-51,図3-53)〔照後述の図3-62.図3-63、4章2:図 の部分で使用する図は、実験計画の流れ、実験方法の概念図,特殊な実験装置 などの説明,研究チームの構成などだろう。図が多すぎるのも、あまりよくな い.2~3点くらいがよい。 ⑦既存の設備・機械を有効に使った計画を書く 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」は、申請者 が本当にその研究計画を実現できるのかを知るためにある。研究計画を進めて いくうえで、ぜひとも必要な設備や機械があるなら、研究室や大学内にその設 備・機械があるのか、またどこか別の施設で使用可能なのかは書いておくのが よい(図3-59)〔参照後述の図3-65.図3-66,およびその周囲の文章) (163 ===== Page 164 ===== (2) グレリンノックアウトマウスにおける自律神経異常の解析 本研究ではテレメトリー自動計測システム(現有機器)を用い、生体内に埋め込んだ送器によっ て、動物にストレスを与えることなく経時的にKOマウスの血圧や体温を観察する。いずれの実験 でも(1)で明らかにする中枢における神経回路の動きとあわせて検討していく。 (例2) 2、内因性リガンドの同定と機能解析 ラットあるいはブタの脳からペプチド面分を抽出し、各種クロマトグラフィーにて展開する。 特にHPLC(高速液体クロマトグラフィー、現有設備)」は再現性よく微量サンプルを分画できる め、汎用する。各フラクションのサンプルを凍結乾燥し(凍結乾燥機は現有設備にあり)、オーファ ン受容体発現細胞株に反応させ、細胞内セカンドメッセンジャーの変化を測定する。細胞内 CAMP濃度は、最新のAlIphaScreen法(現有設備)を用いて多様体を測定する。これらのアツセ イ系を指標として内因性リガンドを精製し、構造決定する。 図3-59・現有設備などを示した申請書部分の見本研究計画で使用する現有設備を示してお 赤ペン添削 HB3 ● case 09, 50~53 赤ペン添削 HB3 ● case 32 研究計画・方法を具体的にするための方法 申請者本人が具体的に書いたつもりでも、それが審査委員にきちんと伝わっ ているかどうかはわからない。「具体的」とは、審査委員が読んで実験や調査の イメージが映像となって感じられるような内容だ. これまでの経験では、申請者が「具体的には」と書いているときには、あま り具体的でないことが多い。例えば研究計画で、「〇〇を測定する」とか「〇〇 に関して文献調査を行う」という書き方は多い。確かに「測定する」「調査を行 う」は具体的な行動だ。しかし、重要なのは中身(内容)の具体性だ。「測定す る」「調査を行う」だけに留まるのではなく、常に「どのように?」「そして? とその先まで考えて書かないといけない。 では、研究計画を具体的にするにはどのように書いたらいいのだろうか。 ①例をあげる 2~3の例をあげて説明する。例えば「摂食調節ホルモンによる食欲亢進作用 を調べて~」ではなく、「グレリンやNPYなどの摂食調節ホルモンによる食欲 亢進作用を調べて~」とすると、研究内容がもっとイメージしやすい。 ②言葉や説明を追加する ほんの少し言葉や説明を追加するだけで、内容は具体性を増し、わかりやす くなる。 「転写因子〇〇の発現が維持されている細胞の解析を行う」 →「転写因子〇〇の発現がどの種類の神経細胞で維持されているのかを解 析して、アルツハイマー病患者の病状の進行に〇〇が関与するのかど うかを明らかにする」 (164 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 165 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 「神経炎症反応を抑える〇〇の働きを解明する」 →「〇〇がどのようにして神経炎症反応を抑えるのか、そのメカニズムを 解明する」 「高齢者支援にかかわっているカウンセラーを対象にインタビュー調査を行う」 →「高齢者支援にかかわっているカウンセラーを対象にインタビュー調査 を行い,システム構築への工夫や問題点を明らかにする」 Column 初めての科研費(Eさんの場合) 大昔、まだ医師免許証を利用して生活をして いたころ,ある日、医局の先生から科研費申請 書の清書を頼まれた。これが科研費と私の最初 の出会いであった。その当時は、電子申請など なく、ワープロで作成した文書を申請書の枠内 に貼付するか、直筆で記入するかのどちらかで あった。なぜか私の直筆で提出した分が採択さ れる(当時の医局七不思議)ので、在局中はよ く清書を行った。そして(上司の課題がよかっ ただけなのに)科研費は申請すれば簡単にもら えるという誤った認識をもつに至った。 医局を離れ、迷走し続け、科研費を申請する ような立場に至るまで(久留米に着くまで)約 10年が経過した。この間は、ひたすらボスの をかじり、ボスから研究費の獲得がいかに難 しいか聞く機会はあっても、私自身が研究費の 獲得に苦悩することはなかった。私の干支は未 である。未にとって紙(金)を食うことは得意 中の得意,幸いボスのは太かった。 さて、久留米大学分子生命科学研究所(分生 研)での1年目の申請、日本語の公募要領を読 みながら申請書を提出、惨敗.2年目,提出前 に教授のチェックを受ける。ダメダメ、書き直 しと言われたのが締め切り2日前.「なにがダ メなのか教えてよ」とつぶやきながら徹夜で書 き直して提出、惨敗、3年目、周りの優れた研 究者の報告書を参考に提出、評価はA、やった、 でも受け取ったのは不採択を知らせる通知書、 残念。そもそも私は稼ぐより、消費に向いてい る.しかしこのままでは一人前にはなれない。 そして4年目を迎えた。科研費の書き方の講 習会に参加、私が作成した前年度の申請書を 「悪い例」として資料に採用していただいた。悪 い例ならいつでも材料を提供できる私である。 実験でもネガティブデータの山を築くことは得 意である。これは他の人の追随を許さない。お かげで、限りない問題点の一端が明らかにされ た、さらにK先生には何度となく添削をしてい ただいた。申請する分野についても真剣に考え た。果たしてその結果は、またも不採択。科研 費に対する誤った認識を捨て、自分にとって料 研費は申請しても簡単にはもらえない。超難し い研究費になった。 5年目の申請、宝くじも買ってなんぼの世界, 申請書だって出してなんぼやと自分を鼓舞して 提出.あまりの惨めな自分に同情してくれたの か、ついに女神様が微笑んだ、5年目の研究課 題ではなく、4年目の申請課題が、秋に追加採 択されたのである。いわゆる敗者復活戦で、初 の科研費獲得に成功したのである。 しかし、よくよく振り返ると、申請書の書き 方の未熟さ以上に論文がないことが最大の問題 である。問題の論文は、任期切れ直前にMCB にアクセプトされた。任期切れ間際でのポジ ション獲得と論文のアクセプトは、久留米に来 る直前、パターソンがん研究所でも同じであっ た。お尻に火がついてからでないと実行できな い。自分の悪い癖である。久留米大分生研で過 ごした5年間は論文のまとめ方、研究費の獲得 についてを学ぶ貴重な時期であった。長らく料 研費が取れないまま年齢だけを重ねる私を排除 せず、あたたかく見守ってくださった同僚の皆 様に感謝せずにはいられない。 165 ===== Page 166 ===== 山岳リゾートを中心とした地域経済産業の活性化のために、滞在者に対して空間構成およびサー ビス業に関するアンケート調査を行い、政策推進の基礎資料とする。 アンケートを実施する市町村として予定しているのは、長野県松本市、長野県白馬村、富山県 立山町、福島県檜枝岐村など。各地域での調査対象人数は50~80人。 アンケート調査として現在想定している項目は、 ①性別・年齢、②何回目の滞在なのか、③複数回目の滞在ならばリビートの理由は、③次の項目 につき一人当たりどのくらいお金を使ったか(宿泊代、飲食代、おみやげ代、娯楽料金)、⑤当 初想定していた金額と比べてどうだったか、⑥想定していた金額と異なった場合はなぜか、⑦リ ゾート地の施設の設備や整備はどうだったか、⑧宿泊施設以外での飲食を行ったか、⑨さらに充 実すべきものは、(また訪問したいか、などである。 図3-60●アンケート調査の見本 赤ペン添削HB3 ● case 52 赤ペン添削HB3 ● case 02, 73~76 ●申請者のギモン 11~14 ③数字を入れる 例えば単に「グレリンを投与して検討する」ではなく、「グレリンを1mg投 与して、カルシウム濃度が上昇するのかどうか調べる」とかにすると、実験の イメージが浮かびやすい。 文系の例では、「2018年の日本の貿易収支は輸入超過であった」ではなく、 「2018年の日本の貿易収支は1兆2,246億円の輸入超過であった」と数字を入れ ると、より具体的になる。 ④中身を具体的に書く 例えば「〇〇に関してのアンケート調査を行う」というのは文系の方の申請 書には多いが、この場合アンケートの具体的な内容(対象者、人数、質問項目, どのように分析するかなど)を必ず書くこと(図3-60)。文献調査でも具体的 な調査場所や文献リスト、調査項目をあげる. 具体的に書くことは、「わかりやすさ」につながる、常に「具体的」に書くこ とを、一歩でもその先まで書くことを心がけてほしい。 ⑤図を使って視覚的に 研究計画や予備データを説明する図を入れると非常にわかりやすい(図3-50, 図3-51, 図3-61~図3-64).ただし、次の点には気をつけよう(参照4 図の挿入)。 ・一目で理解できる簡単な図にすること ・他人の論文や総説からとってきた図は使わない方がよい。 あくまでオリジナルで ・図には必ず内容を示す簡潔な説明文をつける ・図の流れは一方向にするのがよい。複数方向への図の流れ(矢印)は理解を 難しくする (166 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 167 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか A) 細胞膜リン脂質の革的 質的誷節機構 細胞周期. B) グレリンの構造模式図 ヒト ROット n⑨①①①①⑥①①①⑨Q DE©@①®.coo 蛋白質:酵母、植物、哺乳類 シグナル伝達、、 アボトーシス。 転写. 細胞格 細胞輸送. カエルのX蛋白質 C) セントロメアに常時局在している CENP-A タンパク質は、 細胞周期の制御因子と協調して増殖・分化の方向を決定する 増殖相 サイクルを続ける 染色体 十分量の CENP-A 細胞周期の進行を促進 セントロメア 染色体の分配や 細の分駅を制側する 62細給周期 61 CENP-Aの低下 B-Ooteseyl groep (C8:0) グレリンの脂肪酸修飾による活性化機構 des-Ocanoyi -garein(不響性型) 000g グレリン部所駅 (不着性化) B•Ocanoyl -ghrella(性) 分化相 増殖停止に向かう p16/Rb やp53の活性化 図3-610図のあまりよくない例 A) 図が何を示そうとしているのかがわからない。具体的なものが少なく、 抽象的すぎる。図の説明文がないので理解しにくい。B) 解像度が悪く、キ レイでない。グレリンの生合成過程に関する研究の申請書からの図だが、あ まりきれいでなく、何を意図しているのかわからない.図のタイトルはあ るが、説明文がない。C) イラストは単純できれいなのに、図の解像度が低 く、損をしている。真ん中の目玉の付いた手のひらが目を引くが、これ自 体にはあまり意味がなく、ない方がすっきりする。 ・基盤研究(A,B,C),若手研究、挑戦的研究では、審査委員が読む申請書 はモノクロ印刷なので、写真には気をつけること、特に生体組織の写真はわ かりにくいことがある。一度印刷して解像度をチェックすること(令和7年 2月現在、一部の種目では申請書がカラー化されている。参照3章1:申請書 を書く前の注意点◆申請書のカラー化への対応) ・文系の申請書でも何か図を入れる方がよい。研究の概要をフローチャートに したものや、年度ごとの研究計画の流れなどを図にすると効果的 ===== Page 168 ===== A) モデル生物の遺伝子データベース リカンド不明の オーファンGPCR 発現細胞の構築 組織から抽出したペプチド・サンプル •★ C ■ A セガネ メツセンジャー の変化 サンブル添加後の セカンドメッセンジャー を測定するアッセイ系 未知の神経ペプチドの精製・構造決定 モデル生物での神経回路解析、 および行動の制御機構の解明 研究計画の模式図 B) wid type HE染色 SOCS3KO 図2 C-SOCS3-KOの表現型 C-SOCS3-KOの心臓は拡大し左心室の収縮能の低下を認める が、組織学的には心筋線維のattenuationがあることが特徴 で、線維化、肥大や炎症細胞浸潤はほとんど認めない。 図3-62・生命科学系および医歯薬系の図の見本 図はシンプルでオリジナルなものを使う.A)のようなものなら、 そのままで理解できるが、B)のようなものは簡単な説明がある方 がよい。 【4年間の研究計画】 年度 4月~7月 全国訪間介護 1年目 ステーション 無作為抽出 訪問介護士への介護 2年目 ケアプログラムの 事前研修 3年目 4年目 8月~9月 10月~11月 訪問介護士の共依存の理解と 共依存関係にある主介護者と 被介護高齢者の課題の明確化 介護ケアブログラムの → プレテスト実施 (第2段階) 12月~1月 介護ケアブログラムの本実施(第3段階) 介護ケアプログラム の本実施 →介護ケア プログラムの評価 2月~3月 共依存の理解と → 課題の明確化 (第1段階) プレテスト実施者で →ある訪問介護士と プログラムの検討 → 介護ケアブログラム の効果と標準化 図3-63●文系の図の見本1 文系の申請書には、見本のような研究スケジュールや、次の図3-64のような研究の概要のフロー チャートなどを入れておくとよい。文字ばかりの申請書に比べて、図がアクセントになり好印象を もたれやすい。ただし文系の場合も図はできるだけシンプルに、 (168 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 169 ===== 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 本研究の概要 研究目的: 高齢化と人口減少が課題のニュータウンの再生を目指す 研究方法: ①ニュータウンの歴史の調査 ②住民へのインタビュー調査 ③現在のニュータウンコミュニティの問題点の明確化 章 研究の重要性: 典型的な高度成長期のニュータウンである「千里ニュー タウン」を調査対象とすることで、全国のニュータウン 再生のためのモデル研究とする 図3-64●文系の図の見本2 文系の申請害に限らず「研究の概要」 を図示することをおすすめする。ひと 目見て研究の全体像をつかみやすいか らだ. →「本研究で何をどのように,どこまで明らかにしようとするのか」の 書き方のポイント ・冒頭に研究計画・方法の概要を書いておくこと。 ・研究項目では、どのような目的でその計画を実行するのかをまず書くこと。 いきなり具体的な研究手技を書かない。 ・年度ごとにサブテーマを分けて、さらにいくつかの小項目に分けて記載する。 ・計画した研究項目で何が明らかになるのかを予想して書く。 ・研究計画の内容は具体的に書く、具体的にどのような手段で「調べ」「測定 する」のかを記載する。 ・図を入れることで視覚的にもわかりやすくする。