===== Page 140 ===== 4 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯。 研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方 赤ペン添削 HB3 ●case 25~27 ●この欄では何を書くのか? 研究テーマの背景を書くとともに、申請者がこのテーマに関して行ってきた研究 内容と、どのような経緯でこの研究計画を思いついたのか、申請者ならではのオ リジナルな理由を書く、そして、いま何が問題なのか。解明すべき課題は何かな どの学術的「問い」をしっかり書く. ●この欄では何を評価する? 研究テーマの背景や着想から浮かび上がってきた学術的「問い」の重要性や、こ の研究テーマに関する申請者のこれまでの取り組みを評価する。 この部分は「本研究の学術的背景」「本研究の着想に至った経緯」「研究課題 の核心をなす学術的「問い」」と分けて書くのが書きやすい(図3-30).また 「本研究の学術的背景」には申請者以外の研究者による研究内容と申請者自身の 研究内容の2つに分けて書き、「本研究の着想に至った経緯」には申請者がなぜ この研究をやりたいのかオリジナルの理由を意識しながら書けばよい。 ●本研究の学術的背景 前半では、研究テーマの一般的な背景と、これまでにどのような研究が行わ れてきたのか、申請者以外の研究者によって行われてきたこれまでの研究成果 を中心にして書く. 後半は、申請者自身がこの研究テーマに関して、これまで行ってきた研究内 容を書く.ここが大切である.申請者がこの研究テーマに関してこれまでにど のような研究を行ってきたのか、そしてどのような研究業績をあげてきたのか を示して、審査委員に研究計画の実行可能性を大いにアピールする。申請者が これまでに発表してきた論文や学会発表などを必ず記載しておくこと(図3-31) 〔参照後述の図3-71.およびその周囲の文章)。 「本研究の学術的背景」の大事な点は、申請者と他の研究者の研究内容を混ぜ て書かないということ、そうしないと申請者がこれまでどのような研究成果を あげてきたのかわからなくなる(図3-32).繰り返すが、申請書自身がどのよ うな研究を行ってきたのかを、他の研究者の業績としっかりと区別して書くこ とだ (大事なことなので後述の「●自分の論文のアピールが重要」でもう一度とり 上げる)。これによって申請者がこの研究をやる意義、実行可能性などを示す (140 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 141 ===== 4 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方 (本文) (1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」 (本研究の学術的背景) 申請者らは1999年に摂食亢進・成長 ホルモン分泌促進作用を有するペプチ ド・ホルモンのグレリンを胃から発見し (Kojima et al. Nature 1999)、その生体 内での役割について研究を進めてきた (Nakazato, Kojma (4/7人) et al. Nature 2001他)。このグレリンに関して、現時 点(2015年9月)で7,800件以上の研究 論文が発表され、申請者らのグレリン発 見のオリジナル論文は被引用回数が 5,000回を超えている。 グレリンは典型的なGタンパク質共役 オクタン酸の修飾基が、どのようにしてグレリン 受容体を活性化するのかを明らかにするには、 受容体の結晶構造の解明が必要である。 型受容体(GPCR)であるグレリン受容体 に結合して、その生理作用を現す。グレリンはペプチド・ホルモンであるが、N末端から3番目 のセリン残基が中鎖脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており、しかもこのオクタン酸が受容 体の活性化に必須であるという極めて珍しい構造をしている(Kojima et al. Nature 1999 & Physiol Rev 2005)。なぜグレリンがペプチド部分だけでは受容体を活性化できず、オク 修飾があって始めて受容体を活性化できるのか?それを明らかにするためには、グレリン受容体 の結晶構造の解明が必要であり、不活性型の構造だけでなく、リガンドが結合して活性型になっ た構造の両方を明らかにして、受容体の動きを見る必要がある。 (本研究の着想に至った経緯) 申請者はグレリン受容体の結晶構造解析を目指して3年前から研究をスタートし、〇〇大学0 ●教授の研究室と共同研究を行っている。これまでに結晶構造解析のためのグレリン受容体を改 変したいくつかのコンストラクトを作製し、大量発現による精製から、結晶化のスクリーニング にまで進んでいる。不活性型のグレリン受容体については、アンタゴニストが結合した状態の受 容体タンバク質を精製し、結晶化の条件検討にまで至っている。しかし活性型のグレリン受容体 については、グレリンや合成アゴニストが結合したグレリン受容体は極めて不安定で、活性型の ままでは精製ができず、結晶化にまで至っていない。 そのためモノクローナル抗体を使ってグレリン受容体を活性型に固定させることを計画した (挑戦的萌芽研究H26~27年度)。しかしマウスのモノクローナル抗体は受容体のグレリン結 部位に対して大きいことや、融合細胞のスクリーニングには限度があるため、現在でもグレリン 受容体を活性型に固定する抗体は得られていない。そこでモノクローナル抗体に代わるツールと して、分子量が小さく、受容体のリガンド結合部位の認識も可能なナノボディの作製を考えた。 (研究課題の核心をなす学術的「問い」) 本研究の学術的「問い」は、①グレリンの脂肪酸修飾基(オクタン酸)は、なぜグレリン受容 体の活性化に必なのか?そして、②グレリンがグレリン受容体に結合した際、どのような分子 機構によって受容体が活性化するのか?である。 図3-30●「本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心を 学術的「問い」」の書き方の例 平成28年度に採択された基盤研究(C)の申請書の実例を令和7年度の様式に変更したもの.「学術的背景」「着想 に至った経緯」「学術的「問い」」に分けて苦くのはよい。なお。「本研究の学術的背景」には申請者以外の研究者の 研究成果を書くべきだが、グレリンは私たちが発見したホルモンであり、私たち自身の研究成果が学術的背景(こ れまで世界でどのような研究が行われてきたか)であるため、この例では私たちの研究成果を中心に書いている い 章 ことができる。そして「研究の学術的背景」をきちんと書いてこそ、次の「本 研究の着想に至った経緯」「研究課題の核心をなす学術的「問い」」が活きて くる. また背景を長々と書きすぎないこと、「着想に至った経緯」に至るまでに背景 を1ページ以上も費やすのならば、審査委員も読み進めるのが嫌になることだ (141 ===== Page 142 ===== 申請者らは1999年に摂食亢進・成長ホルモン分泌促進作用を有するペプチド・ホルモンのグレ リンを胃から発見し(Kojima et al. Nature 1999)、その生体内での役割について きた (Nakazato. Kojima (4/7人) et al. Nature 200 (2015年9月)で7,800件以上の研究論文が発表され、申請者らのグレリン発見のオリジナル論文 は被引用回数が5,000回を超えている。 グレリンは典型的なGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるグレリン受容体に結合して、そ の生理作用を現す。グレリンはペプチド・ホルモンであるが、N未端から3番目のセリン残基が中 鎖脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており、しかもこのオクタン酸が受容体の活性化に必須 であるという極めて珍しい構造をしている(Kojima et al. Nature 1999 図3-31●「本研究の学術的背景」の書き方の例 申請者がこれまでに行ってきた研究業績について記載し、発表論文や学会発表などを示すことで、研究計画の実行可 能性をアピールできる。 Jumonji C family histone 3 lysine-27 (H3K27) demethylase (Jmjd3 タンパク質の1種であり、ヒストンH3の27番目のリシンに結合した3分子のメチル基(K27me3) を脱メチル化し、DNAのクロマチン構造を解除することでターゲットDNAの転写活性を促進する 酵素である(Berger, 2007: Klose et al. 2007)。マウス細胞を用いたこれ Jmjd3がマクロファージの分化に重要な役割を果たすことが、申請者らによって報告されている (Sato et al. 2010)。 マウス・マクロファージ由来破骨前駆細胞(RAW264.7)や をLPS等の分化誘導因子で処理すると Jmjd3 mRNAの発現が亢進する(Santa et al, 2009: et al, 2010)。その過程でNF-KBが活性化することも明らかになってきた (Santa et 一方、Jmid3の発現がどのように調節されているのか、またその調節に関与する因子の本体につ てもよく判っていない。さらにJmjd3の直接のターゲットであるInterferon Regulatory Fac 4 (IRF4)と破骨細胞分化に関する研究も、申請者らにより現在までに行われてきているが、 実態は不明な点が多い。 図3-32●「本研究の学術的背景」の書き方のあまりよくない例 申請者の研究成果と、他の研究者の研究成果とが混在しており。申請者らの印象が薄い。両者をはっき 申請者の実績をアピールしないといけない。 赤ペン添削HB3 ●case 40, 41 ろう.難しいかもしれないが、背景はできるだけ簡潔にまとめて、すみやかに 次につなげるのがよい。 「本研究の着想に至った経緯」 ここには申請者がなぜこの研究を計画したのか、どのような経緯で研究計画 を思いついたのか、その理由を書く、ただし、だれもが書くような、ありきた りな理由ではだめだ。例えば「新しい抗がん剤の開発が望まれている」「介護現 場での環境改善が必要である」など、一般にいわれているような理由。教科書 に書かれているような理由ではいけない。申請者のこれまでの研究経験から得 られたオリジナルな理由を書かなくてはならない。研究テーマには必ず、申請 者にとってのなんらかの個人的な理由があるはずだ。例えば、 「これまでグレリンというホルモンの研究を行ってきたなかで、なぜオクタン 酸の修飾基が受容体の活性化に必要なのかは不明であった。このことを明らか にするためにはグレリン受容体の結晶構造解析が必要であると考え、本研究を 着想した」 「申請者は企業不正に関する研究を進めるなかで、ある企業の企業不正の現 (142 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 143 ===== 4本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方 未解明の問 題点 この研究の 意義 生体内には内因性リガンドの不明なオーファン受容体がまだ数多く存在しているが、リガン ドと受容体の組み合わせが明らかでないため、その生理作用の研究はほとんど進んでいない。 この研究計画においてリガンド探索のターゲットにするLGR5受容体が、最近、消化管や毛包 の幹細胞マーカーであることが明らかになったことから、LGR5の未知の内因性リガンドは幹 細胞に作用するユニークなペプチド・ホルモンであると考えられる。 本研究によって消化管幹細胞に作用する新しいホルモンが発見されれば、消化管細胞の増殖・ 分化・再生研究だけでなく、消化管の再生医療への応用などに新しい展開をもたらすものと期 待される。 未解決な点 申請者はグレリン受容体の結晶構造解析を目指して3年前から研究をスタートし、〇〇大学 〇〇教授の研究室と共同研究を行っている。これまでに結晶構造解析のためのグレリン受容体 を改変したいくつかのコンストラクトを作製し、大量発現による精製から、結晶化のスクリー ニングにまで進んでいる。不活性型のグレリン受容体については、アンタゴニストが結合した 状態の受容体タンパク質を精製し、結晶化の条件検討にまで至っている。しかし活性型のグレ 「リン受容体については、グレリンや合成アゴニストが結合したグレリン受容体は極めて不 で、活性型のままでは精製ができず、結晶化にまで至っていない。 そのためモノクローナル抗体を使ってグレリン受容体を活性型に固定させることを計画した (挑戦的萌芽研究H26~27年度)。しかしマウスのモノクローナル抗体は受容体のグレリン結 合部位に対して大きいことや、融合細胞のスクリーニングには限度があるため、現在でもグレ リン受容体を活性型に固定する抗体は得られていない。そこでモノクローナル抗体に代わる ツールとして、分子量が小さく、受容体のリガンド結合部位の認識も可能なナノボディの作製 図3-33●「研究課題の核心をなす学術的「問い」」の書き方の例1 上の例も下の例も学術的「問い」として、現在の研究における「未解明の問題点」や「未解決な点」を明確に記載している。平成2 に採択された挑戦的萌芽研究の申請書の実例をもとに改変。 赤ペン添削HB3 ● case 29, 30 に実際に遭遇することとなった。その経験から企業不正を防止するための制度 を構築するには、それぞれの学問分野の研究者の強みを活かした学際的研究が 必要不可であると確信し、本研究計画を着想した」 などだ、申請者がなぜこの研究をやりたいのか、その熱い思いをぜひとも書い てほしい.この申請者の個人的な「思い」が「本研究の学術的背景」と異なる 点だ。そしてその「思い」を審査委員に共感してもらえれば評価もあがるだろう。 研究課題の核心をなす学術的「問い」 平成30年度の申請書から新しく付け加えられたのが、この「研究課題の核心 をなす学術的「問い」」の部分である。おそらく、これまでの申請書では研究計 画の問題点や解明すべき点などの記載が不十分との審査委員からの意見が多かっ たのではないだろうか。現在の申請書ではわざわざ「研究課題の核心をなす学 術的「問い」」を書け、つまり問題点をはっきりと書くようにとある。この研究 テーマに関して、いま何が問題なのか、解明すべき課題は何か、未解明の問題 は何か、なぜこの研究テーマを明らかにする意義があるのかなど、研究の学術 的「問い」をしっかりと書くことである(図3-33). これまでいろんな方々の申請書を読んだ経験から、案外この学術的「問い」が しっかりと書かれておらず、何が問題点なのか、一度読んだだけではわからない ことが多かった。学術的「問い」をはっきりと示すよい方法は、ずばり「この研 (143 ===== Page 144 ===== 「「問い」は、」 と書いて はじめる 本研究テーマにおける学術的「問い」は、グレリン受容体を活性型に固定する抗体が得られる かどうかである。マウスのモノクローナル抗体は受容体のグレリン結合部位に対して大きいこと や、融合細胞のスクリーニングには限度があるため、現在でもグレリン受容体を活性型に固定す る抗体は得られていない。そこでモノクローナル抗体に代わるツールとして、分子量が小さ 受容体のリガンド結合部位の認識も可能なナノボディの作製を考えた。 図3-34●「研究課題の核心をなす学術的「問い」」の書き方の例2 赤ペン添削HB3 ● case 27 1-3:研究課題の核心をなす学術的「問い」 しかし環境技術開発では研究開発費用や期待される利益、市場競争力への貢献度などの技術開 発への動機が異なっているため、開発戦略の決定メカニズムも異なると考えられる。さらに既存 研究では特許取得数や研究開発費などのデータを用いた分析を行っているが、企業の組織体 経営戦略まで踏み込んだ内容とはなっておらず、企業特性が十分に反映できていない。 そのため企業が環境技術開発を行うための意思決定は、研究開発に利用可能な人的資源や知的 財産に強く影響を受けるとともに、競合他社の研究開発動向などの経営的要素が強く影響するた め、企業特性を十分に考慮した分析が必要である。 図3-35●「研究課題の核心をなす学術的「問い」」の書き方の例3 究の学術的「問い」は~」とか「この研究テーマにおける問題点は~」などと 書いておくことだ.こうするといやでも「問い」がはっきりとわかる(図3-34)・ また学術的「問い」を独立した項目にするのもよい工夫だ。図3-35は、 「1-3:研究課題の核心をなす学術的「問い」」として1つの項目にした例であり、 この部分に研究テーマの「問い」が明確に書かれている。 この学術的「問い」をしっかりと書くことで、次の項目の「(2)本研究の目 的および学術的独自性と創造性」につなげることができる。学術的「問い」を 明らかにすることこそが、研究の目的だからだ。 ●自分の論文のアピールが重要 図3-32のように、研究の背景を説明するために、文中に参考文献を記入し ている申請書も多い。しかし、自分の研究論文をアピールする目的以外には、 参考文献を文中に入れるのは最小限でよい。審査する時間が限られているため、 審査委員はわざわざ参考文献の細部まで調べることはほとんどない.また論文 と同じ形式で末尾に参考文献を一覧で記入している例もあるが、これも必要は ない。他人の参考文献をたくさん書いていると、どこがオリジナルな研究なの か疑われて印象がよくない可能性もある。むしろ、参考文献がなくても研究計 画がわかるように書くべきだ。 自分の論文の引用であることをアピールするには、「~のことを申請者らは明 らかにした(Kojima et al Endocrinology 2005)」などと 著者でないなら、筆頭著者と自分の名前だけを書いておけばよい。すなわち 「(Sato, Kojima et al. Endocrinology 2005)」な (144 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 145 ===== 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方 号で示して「Sato, Kojima (5/5) et al. Endocrinolo Kojima(5人中5番目) et al. Endocrinology 2005)」 しておくとよい(図3-31). ●予備実験のデータも重要(図の効果1) すでに発表済みの研究結果だけでなく、未発表の予備実験・調査のデータ(も ちろん研究計画がうまくいくことを示すデータ)を入れておくとよい〔参照後 述の図3-62、およびその周囲の文章)。こうすると、研究が進んでいて、興味深い 実験データが出ている印象を与えて、研究計画の説得力が増す。注意点は、図 には必ず説明を加えるということ、特に実験データは説明がないと、何を示し ているのかがわかりにくい。 ●研究計画の概念図などを入れるとよい(図の効果2)(図3-36) 研究計画の概念図などを申請書に入れると、審査委員にとって理解の助けに なるので効果的だ、もちろん複雑な図ではなく、ごくシンプルなものにするこ と.「この研究はなにを行おうとするのか」「なぜそれが重要なのか」がわかる ような図が望ましい。 Column 初めての科研費(Dくんの場合) 科研費は宝くじみたいなものだから・・・そんな 考えがあったためか採択されたい強い気持ちの ある割には軽い気持ちで申請書を書いてきまし た.このため、忘れたころに送られてくる不採 択通知を見ては、くじ運のない自分にもどかし さを感じる日々が続いていました。 あるとき、くじ運の強い、つまりはよく科研 費に採択される先生の申請書を見せてもらう機 会に恵まれました。そのとき、自分の文章とあ まりにも違いがあることに驚くとともに、もし や科研費の申請書にも文章のコツみたいなもの があるのではと感じたのです。さっそく採択率 の高い先生方と、(大変失礼だとは思いました が)そうでもない先生方の申請書を集めて自分 なりに比較してみると、職位に関係なく差は はっきりしていました。そこで、この比較をも とにして申請書を作り直したところ、前年まで とほぼ同じ内容、同じ業績だったにもかかわら ず科研費に採択されることができたのです。わ ずか数枚の紙に、言葉遣いをちょっと工夫して、 真剣な想いを詰めただけでこれだけの研究費を 手に入れることができた驚きと喜び、そして不 採択グセから抜け出ることのできた安心感を得 ることができました。採択後これまでの申請書 を見直してみると、どれも廃墟の中を彷徨うか のような文章でどこが目的なのかもわからない。 不採択でしかるべきものばかりでした。もし、 このような申請書で採択されたらそのときこそ 宝くじだと感じましたし、また、宝くじ状態で 研究室の家計が成り立っていたら大変だという ことにも気がつきました。 こうして、初めての科研費は、私に科研費が 宝くじではないことを教えてくれ、同時に採択 されないことへの恐怖心も植えつけました.こ れから先,研究者でいられたとして、あと何度 採択されなければならないのか、またPIとして 自立できるのかなどと悩みもつきません。今後、 魅力的な研究を立案する力、業績、文章力など を身につけ、そうはいっても最後には申請書を 大安の日に提出するというツメも忘れずに、科 研費の採択を祈願していきたいと思っています。 章 (145 ===== Page 146 ===== 基盤研究(C)(一般)1 基盤研究(C)(一般)1 1研究目的、研究方法など 本部発計発送後は「4分」の事後分で確認されます。記店にたっては、「料学は発資熱産事場における事を及びる。 2器売の目的と方法などについて、4頁日内で記さすること、 部様にその親要を熟度にまとめてだるし、本文には、(1)本日発の学的対策、店売通報の詳をなす学あめ「買い。白 4まで見てだとどのように、どこまであいたしまうとするのか、()はその川のときはするための伊場はべ、たついて! おは気を日分担者とともに行う場合は、日さに表を、日然分担をの生めなの割れまくさること グレリンは申請者らが発見した摂食充進作用を永すペプチドホルモンで、N未場から3番日の 活性に必要であるという特徴を持つ。なぜグレリンは肪酸の修節がないと活性を示さないのか 販近になって申請者らは不活性型のグレリンダ容体の構造解明に成功した。グレリン受容体は発 り、この部分とグレリンの旅報器が相互作用してグレリン受容体を活性型に変換するので それはふに製明のさんとのいてはない。 本研究では高活性型の変異グレリン受容体のX線結品場造解析や、 クライオ電子験強続による 立体構込を明らかにする。この研発によってグレリンの脂肪設詰基が受谷体を活性型に変換す るメカニズムが明らかになり、GPCRの活性化機に新たな知見をもたらすと期待される。 (本文) (1)本研究の学術的対祭。研究課題の心をなす学術的「問い」 (グレリンについて)グレリンは申請者らが1999年に発見したペプチドホルモンで、胃から 分過されて食欲制数、摂食九選、成長ホルモン分促進、海馬での神経発生などの用をす。 中請者らのグレリンの発見旅文(Nature、1999)は被引用国数が6,300件、 グレリンに関する発 表論文は1万編以上と(2019年10月末現在)現在もグレリンに関して活発な研究が行われてい (グレリンの落性には■肪酸が必要である) グレリンは、N未端から3番日のセリン残が肪酸のオクタン酸によって修飾されていると いう特徴的な現造をしており(上図)。しかもこの動がないと活性を示さない。このような問 肪酸で修飾されたペプチドホルモンは現在のところグレリンだけしか知られていない。なぜグレ リンでは肪数の修動が活性発現に必要なのか、それを明らかにするためにはグレリン受容体と グレリンとの結合を三次元立体物造(30場造)で解明する必要がある。しかしそれは現在でも 成功していない。 (不活性型のグレリン受容体構造から明らかになったこと) 化機構を明らかにするために、数年前からグレリン受容体の結品構造解析を始めた。そして京都 大学岩田先生のグループとの共同研究によって、グレリン受容体にアンタゴニストが結合した 不活性型の構造解明に成功した(未発表)。その結果、グレリン受容体は型的なGPCRの3C 現造を示すが、グレリンの脂肪酸修飾基の役割を示する特徴的な場があることがわかった。 それは第6装費通領域 (M6】と第7級賀通領域(1M7)の間のギャップ場である。このギャ ップ場油を形成するアミノ間には現水性の高いフェニルアラニン残基が多く、ギャップ場造と部 質との相互作用が残された。実際にいくつかの部質性リガンドのGPCRにおいては1M7と TM1の間(S1P1 やEP4など)や、TM3とTM4の間(GPR40)、TM4とTM5の間(PAFR)にギ セスすると確定されている。グレリン受容体の場合はこのギャップ構造が、グレリンの監肪数値 鈴様と相互作用していると考えられる。またGPCR受容体の活性化に重要な1M6とTM7という 誤賀港領域が関与しているために、グレリン受容体の活性化メカニズムへの関与も考えられた。 研究目的、研究方法など 記録にその感覚を開設にまとめて起きし、本文には、(ま器先の学的発表、毎究護器のせむたな中学高め「買い。口 本日されをどのように、どこまで明らかにしようとするのか、18)本日発の目めを通するための状況、について (横要) クレジンは申請者ちが発見しに換装ル退作用を添すペプチドバルモンで、N人店かり3番日の セリン残器が監肪酸のオクタン酸によって修飾されている。しかもこの脂肪酸舗がグレリンの 活性に必要であるという付を持つ。なにグレリンは盛り服の答期がないと活を示さないのか それを明らかにするためにはグレリンが結合したグレリン受容体の立体構造の解明が必要である。 数れになって中しくりは今ンチマのグレリンタが体の場のが明に取りしに・グレリンマの後は! 型的なGPCRの携造であるが、 第6と第7の設費通鎖域の間に疎水性に富んだギャップ構造があ はないかと考えられた。しかし、それはまだ証明されたわけではない。 本研究ではホりややので素がしリンの方はのX設技結現活能がや。クライオキネのが他に上2 Gタンパク質との複合体を解析することによって、グレリンが結合した活性型グレリン受容体の 以が満を明りがいする。この朝えに・つてクレソンの品め取得の金り文も辛さんに楽に気感す るメカニズムが明らかになり、GPCRの活性化機構に新たな知見をもたらすと期待される。 (本文) (1) 本研究の学術的解、研究課題の心をなす学術的「問い」 (グレリンについて)グレリンは申請者らが 1999年に発見したペプチドホルモンで、胃から分グレリンのペプチド記分 必されて食欲刺数、摂食充選、成長ホルモン分 促進、海馬での神経発生などの作用を示す。申請 者らのグレリンの発見論文(Nature、1999)は彼 31用回数が6,300倍、グレリンに関する発表協文 は1万組以上と(2019年10月末現在)現在もグレ リンに関して活発な研究が行われている。 3性に必要な血にはお分(土にオクラン酸! (グレリンの活性には肪酸節が必要である) グレリンの横造株式製 グレリンは、N未場から3番目のセリン残が 監肪酸のオクタン酸によって詰されているという特徴的な構造をしており(上国)。 ・ しかもこ の修飾がないと活性をなさない。このような脂肪酸で修飾されたペプチドホルモンは現在のとこ るグレリンだけしか知られていない。なぜグレリンでは脂肪設の修飾が活性発現に必要なのか、 それを明らかにするためにはグレリン受容体とグレリンとの結合を三次元立体構造(30場法) で解明する必要がある。しかしそれは現在でも成功していない。 (不活性型のグレリン受容体構造から明らかになったこと)申請者はグレリン受容体の活性 化機構を明らかにするために、数年前からグレリン受容体の結品構造解析を始めた。そして京都 大学岩田先生のグループとの共同研究によって、グレリン受容体にアンタゴニストが結合した 不活性型の構造解明に成功した(未発表)。その結果、グレリン受容体は典型的なGPCRの3D 構造を示すが、グレリンの脂肪酸修の役割を示する特徴的な構造があることがわかった。 それは第6版賀通領域(TM6)と第7設費通鏡装(TM7の間のギャップ環である。このギャ ップ構造を形成するアミノ酸には設水性の高いフェニルアラニン残茶が多く、ギャップ構造と間 賃との相互作用が推測された。実然にいくつかの質をリガンドのGPCRにおいてはTM7と TM1の間(SIP】やEPAなど)や、TM3とTM4の間(GPR40)、TM4とTM5の間(P ャップ構造があり、このギャップ構透を通してリガンドが宿生からリガンド結合ポケットにアク 図3-36・最初のページに図があるかないかの印象の違い 図があるなしの申請書を並べてみると、両者の印象の違いがよくわかる。最初のページに図があると、審査委員は必ず最初に図を見る によって研究内容を理解しやすくなることが期待できる。令和2(2020)年度に採択された基盤研究(C)申請害の実例をもとに 「本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心 をなす学術的「問い」」の書き方のポイント ・①「研究の一般的な背景、他の研究者による研究の成果」→ ②「申請者がこのテーマに関して、これまでに行ってきたこと」→ ③「これまでに行ってきたことからどのようにして今回の研究計画を思い ついたのか」→ ④「何が問題点なのか?未解明の問題は?」の流れで書く。 ・申請者と他の研究者の研究成果を別して書く。 ・研究の学術的「問い」をしっかりと書く、何が問題点なのか。 ・自分の研究の重要な点を大いにアピールする。 ・図を入れることでわかりやすくする。 (146) 科研費獲得の方法とコツ 第9版