===== Page 85 ===== 22審査区分の選び方 2 審査区分の選び方 応募種目の選択とともに、審査区分(応募分野)の選択は非常に重要だ【参照1章3 審査区分の種類)。平成30年度の公募から、それまでの審査で使われていた「系・ 分野・分科・細目名」といった審査分野の分け方ではなく、「小区分・中区分・ 大区分」で構成される審査区分で審査が行われている。この「審査区分」はお おむね5年ごとに見直しが行われることになっている。和5年度はその見直 しの時期にあたり、令和4年3月に「審査区分表」が変更された。新しい「審 査区分表」は令和5(2023)年度の科研費の応募から適応されている.キーワー ドが記載された審査区分表は、科研費の公募要領で確認できる。また、審査区 分の一覧だけならば日本学術振興会ホームページの「科学研究費助成事業」の サイドバーの(ウインドウが小さいときは右上の「MENU」に隠れている)「審 査・評価関係」→「審査区分表等」からダウンロードできる(https://www. jsps.go.jp/j-grantsinaid/02_koubo/shins 審査区分は以下のように応募種目によって異なる. 基盤研究(B,C),若手研究:323の「小区分」 基盤研究(A),挑戦的研究(開拓・萌芽):64の「中区分」 基盤研究(S):11の「大区分」 キーワードが記載された審査区分表を見ながら、申請書の内容にふさわしく、 正確に審査してくれる領域に応募すること。自分の所属学会の領域,所属講座 の分野に応募しなければいけないということはない。 審査区分を選ぶ際の注意点 注意すべきことは、応募する研究内容に対して、いくつか異なる審査区分の 候補があることだ、例えば、「ペプチド・ホルモンに関する研究」の内容で応募 するときには、 ①小区分:43030「機能生物化学関連」生理活性物質 ②小区分:54040「代謝および内分泌学関連」内分泌学、神経内分泌学、生 殖内分泌学 などの小区分が候補になるだろう.また、このペプチド・ホルモンの機能を調 べる研究計画ならば、その他にも ③小区分:46010「神経科学一般関連」神経化学 ④小区分:46030「神経機能学関連」神経生理,神経薬理,情報伝達 ⑤小区分:47010「薬系化学および創薬科学関連」医薬品探索,生体関連物質 2 (85 ===== Page 86 ===== ⑥小区分:47040「薬理学関連」薬理学、シグナル伝達 ⑦小区分:48020「生理学関連」一般生理学、環境生理学 ⑧小区分:48030「薬理学関連」分子細胞薬理,行動薬理,創薬薬理学 など多くの小区分を候補としてあげることができる。どの小区分に応募するか 迷うことが多いが、申請書の研究計画の内容をよく検討して最適な審査区分を 選ぶことだ. なお、特来的には区分の手編が行われて、より少ない区分数になることが発 表されている。自身の研究分野以外の審査委員も加わることになるので、異な る分野の審査委員にも理解してもらえるような申請書を作成することが、より 必要になることだろう。 データベースを使って最適な審査区分を選ぼう 最適な審査区分を選ぶには、「KAKEN(科学研究費助成事業データベース)」 (参照後述の図2-1)を使って、応募しようとする審査区分でどのような研究課題 が採択されているか、また自分の研究計画のキーワードで検索したときにヒット した採択課題がどの審査区分に応募したものであるのかを調べて、審査区分を 決定するのがよい。科研費公募要領の審査区分表にある「内容の例」(キーワー ド)で審査分を選んでもよいが、採択課題を調べて審査区分を選ぶ方が自分 の研究課題にふさわしい区分がわかる〔参照2章3:採択課題の調査).平成30年 度の制度改革でこれまでの「応募分野」から「審査区分」という形になったが、 内容自体はそれほど変わっていないので平成29年度公募以前のデータからも傾 向をつかむことができる。 また応募しようとする分野の過去の審査委員を調べて参考にするのもよい 〔参照2章4:審査委員は誰?).自分の研究をよく知っている審査委員のいる分野 は的確な審査が期待できる。 細目で異なる採択件数,採択率は30%前後 平成30年度の公募から応募分野は審査区分とよばれるようになり、大区分→ 中区分→小区分と分かれている.ここでは令和7年2月現在の時点で公開され ている、令和6年度の細日ごとの応募件数と採択件数をみてみよう。 日本学術振興会科学研究費助成事業のホームページ(https://www.jsps. go.jp/j-grantsinaid/index.html)のサイドバー(あるいは 連データ」→「科研費データ」→「II.科研費の配分状況」→「(1)研究種目 86 科研費獲得の方法とコツ 第9版 ===== Page 87 ===== 22審査区分の選び方 別配分状況」の「2)審査区分別配分状況」からデータをみることができる。こ こに区分別、研究種目別の詳細な応募と採択状況の一覧表がある〔和6年度 採択の基盤研究(C)について、表2-3には新規採択課題の採択率上位30件を、 表2-4には採択率下位30件を、そして表2-5には小区分で審査される種目の応 募件数の上位30件を抜粋して示した〕。 この一覧表を見ていくと、応募件数と採択件数は審査区分ごとにかなり違っ ていることがわかる.また科研費の審査区分別の採択件数は、区分ごとの応募 件数にほほ比例して決まってくるため、採択率はどの区分でもほぼ同じである (表2-5).そのため科研費の区分別の採択件数は、必ずしもその区分の現時点 での重要性によるものではない。もちろんその研究分野が活発であれば研究者 が多く、応募件数も多いだろうから、採択件数も多い。 そしてこの一覧表で重要な点は、採択率はどの小区分においても30%前後 であるが、理系種目では低く文系種目では高い傾向にあることだ。例えば基盤 研究 (C)において採択率の一番高い「英語学関連」の32.11%と、下位の採択 率が23.08%~24.00%の区分とでは、実に8~9%もの違いがある。これは種 目ごとに応募件数あたりの総配分額がまず決められ、そのなかで採択課題が決 定されるためである。すなわち、決まられた予算のなかでは、1採択課題あた りの配分額が低めの文系種目の方が採択件数が多くなり、配分額が高めの理系 種目の方が採択件数が少なくなるためと考えられる。また審査において「人文 学、社会科学の研究の振興のための調整」も行われることも理由の1つである う.つまり、語弊があるかもしれないが、文系種目の方が理系種目よりも採択 されやすいということだ。実際に令和6年度の新規採択課題において、採択率 上位30件の中で理系種目は6種目だけである(表2-3)・ ホットな研究分野は当然、応募件数も多いと予想されるが、令和6年度の小 区分の種目〔基盤研究(B)と(C),若手研究〕の合計において応募件数が多 い上位10件は(表2-5),「リハビリテーション科学関連」(1,071件)、「栄養学 および健康科学関連」(1,070件),「高齢者看護学および地域看護学関連」(9 件),「放射線科学関連」(966件),「スポーツ科学関連」(866件),「消化 学関連」(748件),「整形外科学関連」(742件),「循環器内科学関連」( 「教科教育学および初等中等教育学関連」(715件)、「社会福祉学関連」(700 件),となっている。 もちろんこれらの区分でも、応募件数が多くなるほど、採択件数が多くなっ ている。 2 ===== Page 88 ===== 小区分 応募件数 02080:英語学関連 109 02020:中国文学関連 47 02070:日本語学関連 94 02010:日本文学関連 198 05050:刑事法学関連 79 07100:会計学関連 163 05040:社会法学関連 48 05060:民事法学関連 170 02030:英文学および英語圏文学関連 209 05020:公法学関連 123 04020:人文地理学関連 95 01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連 59 01010: 哲学および倫理学関連 148 02060:言語学関連 254 60020:数理情報学関連 43 01050:美学および芸術論関連 139 02100: 外国語教育関連 510 11020幾何学関連 173 02050:文学一般関連 80 03020:日本史関連 204 09040:教科教育学および初等中等教育学関連 579 09010:教育学関連 472 12030:数学基礎関連 57 08010:社会学関連 353 09080:科学教育関連 286 11010;代数学関連 203 05070: 新領域法学関連 88 58050:基礎看護学関連 505 06010:政治学関連 173 採択件数 35 15 30 63 25 51 15 53 65 38 29 18 45 77 13 42 154 52 24 61 173 141 17 105 85 60 26 149 51 10020:教育心理学関連 173 採択率(%) 32.11 31.91 31.91 31.82 31.65 31.29 31.25 31.18 31.10 30.89 30.53 30.51 30.41 30.31 30.23 30.22 30.20 30.06 30.00 29.90 29.88 29.87 29.82 29.75 29.72 29.56 29.55 29.50 29.48 29.48 表2-3●令和6年度基盤研究(C)の新規採択課題の採択率上位30件 日本学術振興会公表の「令和6(2024)年度配分結果集計表(審査区分別)」をもとに作成、表2-4と合わせてみると新規採択率は応募区分 によって8~9%もの差がある。特に人文社会学系の区分で採択率が高い傾向にある。_は理系種目 88] 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 89 ===== 22審査区分の選び方 小区分 33010:構造有機化学および物理有機化学関連 49070:免疫学関連 49010:病態医化学関連 49030:実験病理学関連 14030:プラズマ応用科学関連 26050:材料加工および組繊制御関連 29010:応用物性関連 30010:結晶工学関連 34020:分析化学関連 35010:高分子化学関連 35030:有機機能材料関連 36010:無機物質および無機材料化学関連 37010:生体関連化学 39010:遺伝育種科学関連 43030:機能生物化学関連 44010:細胞生物学関連 44030:植物分子および生理科学関連 44040:形態および構造関連 46020:神経形態学関連 48040:医化学関連 64030:環境材料およびリサイクル技術関連 57020:病態系口腔科学関連 49060:ウイルス学関連 17050:地球生命科学関連 38010:植物栄養学および土壌学関連 60080:データベース関連 43050:ゲノム生物学関連 14010:プラズマ科学関連 29030:応用物理一般関連 45050:自然人類学関連 応募件数 103 103 115 127 24 120 56 44 104 48 44 68 56 56 112 128 112 48 52 96 68 97 89 49 33 29 50 17 17 13 採択件数 26 26 29 32 6 30 14 11 26 12 11 17 14 14 28 32 28 12 13 24 17 24 22 12 8 7 12 4 4 3 採択率(%) 25.24 25.24 25.22 25.20 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 25.00 24.74 24.72 24.49 24.24 24.14 24.00 23.53 23.53 23.08 表2-4●和6年度基盤研究(C)の新規採択課題の採択率下位30件 日本学術振興会公表の「令和6(2024)年度配分結果集計表(審査区分別)」をもとに作成、下位30件はすべて理 2 章 (89 ===== Page 90 ===== 小区分 59010:リハビリテーション科学関連 59040:栄養学および健康科学関連 58080:高齢者看護学および地域看護学関連 52040:放射線科学関連 59020:スポーツ科学関連 53010:消化器内科学関連 56020:整形外科学関連 53020:循環器内科学関連 09040:教科教育学および初等中等教育学関連 08020:社会福祉学関連 52050:胎児医学および小児成育学関連 55020:消化器外科学関連 58010:医療管理学および医療系社会学関連 02100:外国語教育関連 09070:教育工学関連 58070:生涯発達看護学関連 56040:産婦人科学関連 50020:腫瘍診断および治療学関連 58050:基礎看護学関連 09010:教育学関連 07080:経営学関連 57060:外科系歯学関連 58060: 臨床看護学関連 50010:腫瘍生物学関連 09030:子ども学および保育学関連 10030:臨床心理学関連 58030:衛生学および公衆衛生学分野関連: 実験系を含まない 47060:医療薬学関連 56050:耳鼻咽喉科学関連 56030:泌尿器科学関連 基盤研究(B)基盤研究 (C)若手研究 合計 応募採択 応募 採択 応募 採択 応募 採択採択率 件数 件数 件数 件数 件数 件数 件数 件数 (%) 107 31 653 180 311 127 1.071 33831.56 172 48 716 193 182 72 1,07031329.25 73 22 754 218 140 59 967299 30.92 88 25 641 174 237 98 966 297 30.75 115 32558 157193 79 866 268 30.95 38 10 482 126 228 92 748 228 30.48 53 15 491 132198 81 742 22830.73 50 14 463 125 212 85 725 224 30.90 63 19 579 173 73 33 715 22531.47 45 13 571 168 84 37 700 21831.14 65 18 490 131 131 52 686 20129.30 40 11 483 127 162 65 685 20329.64 63 18 460 128 153 64 676 21031.07 62 19 510 154 74 32 646 20531.73 60 18 508 144 64 28 632 19030.06 42 13 505 146 80 34 627 19330.78 41 11 436 116 149 58 626 18529.55 81 23 371 98 165 67 617 188 30.47 30 9 505 149 81 35 616 19331.33 66 20 472 141 68 30 606 191 31.52 69 21 434 126 102 44 605 191 31.57 46 13 393 106 161 64 600 183 30.50 39 12 465 137 78 34 582 18331.44 52 14 347 93 141 56 540 16330.19 50 15 400 117 66 28 516 16031.01 55 16 34396 10143 499155 31.06 70 21 316 85113 44 499150 30.06 44 28 21 12 8 6 333 360 351 89 112 97 98 92 106 45 489 39486 43478 146 29.86 144 29.63 14129.50 表2-5・令和6年度小区分で審査される種目(新規分)の応募件数上位30位 日本学術振興会公表の「令和6(2024)年度配分結果集計表(審査区分別)」をもとに作成。小区分で審査される「基盤研究(B 研究」の3種目の集計。ただし「08010:社会学関連」については「80030:ジェンダー関連」と合同審査区分となっているため、ここで は除いてある。おそらく応募件数の上位30件に入ると思われる。 90] 科研費獲得の方法とコツ第9版