===== Page 70 ===== 9 他の省庁・民間組織が公募する研究費 科研費の申請書を一生懸命に書いたら、それを利用して他の省庁や民間の研 発助成に応募することも考えよう。応募の書式はそれぞれの研究費によって異 なるが、基本的な科研費の申請書を作成しておけば、問題なく転用できる。 他省庁および関連財団法人が募集する代表的な研究費として、生物・医学研 究に関するものに限ると主に次のものがある。 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 平成27年4月1日より、医療分野の研究開発の司令塔として国立研究開発法 人AMED (Japan Agency for Medical Research a www.amed.go.jp)が設立された.ホームページにはAMEDの理念として「医 療分野の研究開発及びその環境整備の中核的な役割を担い,「医療分野の研究成 果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の花にお届けすること」を目指す」 とある。AMEDができるまで文部科学省・厚生労働省・経済産業省がそれぞれ 別々に行ってきた医療分野の研究開発予算や創薬支援業務を集約して、基礎研 究から実用化までを一貫して推進することが目的である、いうまでもなく AMED は研究機関ではなく、競争的資金の配分機関であり、公募により優れた 究課題を選定して研究資金を配分する。これまでの三省による医療分野におけ る別々の研究開発予算が一元管理され,より有効に活用されることで研究開発 が最適化することが期待される。 医薬品、医療機器・ヘルスケア、再生・細胞医療・遺伝子治療、ゲノム・デー タ基盤、疾患基礎研究、シーズ開発・研究基盤といったさまざまなプロジェク トがほぼ毎週のように公募されているので、ホームページをこまめにチェック して、自分の研究課題にマッチしたプロジェクトの公募があれば応募するとよい。 省庁関連の国立研究開発法人の研究費 各省庁に関連のある国立研究開発法人が募集する研究費は金額も大きく、期 間も5年くらいの長期にわたり非常に魅力的だが、競争率が高く、大物研究者 が応募するので、科研費よりもはるかに難関だ。また各事業の目的に沿った研 究内容である必要があり、研究成果が非常に厳しく求められる。そのため研究 期間の途中で研究中止になることもある。 医学・生物学関係の公募を行なっている主な国立研究開発法人と、研究事業 (0 科研費獲得の方法とコツ第9版 ===== Page 71 ===== 他の省庁・民間組織が公募する研究費 には次のものがある。 ●文部科学省→国立研究開発法人科学技術振興機構(JST): 戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ、ERATOなど) https://www.jst.go.jp/ 科研費応募の中心となる日本学術振興会も文部科学省関係だが、日本学術振 興会は旧文部省、一方、科学技術振興機構は旧科学技術庁の関連だ. この事業の目的は、「我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、挑戦的な 基礎研究を推進し,社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生 み出す、新たな科学知識に基づく創造的な革新的技術のシーズ(新技術シーズ) を創出すること」とある(ホームページより). 科研費は研究者からの提案研究課題を助成するが,戦略的創造研究推進事業 は国が定めた戦略目標の達成に向けたトップダウン型であることが大きく異な る(図1-1)・なお、CREST,さきがけなどの医療分野の課題は前述のAMED に移管された。 ●厚生労働省→厚生労働科学研究費補助金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hok 厚生労働省では「厚生労働科学研究の振興を促し、もって国民の保健医療、 福祉,生活衛生、労働安全衛生等に関し、行政施策の科学的な推進を確保し、 技術水準の向上を図ること」(ホームページより)を目的として厚生労働科学研 究費補助金の公募を行っている。令和7年度の公募期間(一次公募)は、和 6年12月26日から和7年1月30日だった。 「1 行政政策研究分野」「I 疾病・障害対策研究分野」「II 健康安全確保 合研究分野」の3分野においてさまざまな事業の公募が行われる。AMEDが疾 患の治療を大きな目的としているのに対して、厚生労働科学研究費補助金は政 策的な研究課題を扱っている。例えば「がん免疫」を対象としてもAMEDは治 療日的の基礎・応用研究を推進するのに対して、厚生労働科学研究費補助金は 「科学的根拠を有する(がん)免疫療法に関する適切な情報を患者や国民に届け るための情報提供方法の構築」などについての研究が行われる。 厚生労働科学研究費補助金も自分の研究課題にマッチした事業の公募があれ ば応募するとよい。 1 章