--- title: "2. 図の挿入" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第4章 申請書の仕上げと電子申請 pages: 224-229 images: page_0224.png ~ page_0229.png --- # 2. 図の挿入 科学論文などでは文章を読むだけよりも、図を参照しながら読む方が、ずっと内容を理解しやすい。科研費のような申請書においても、視覚的な効果が非常に有効であることはいうまでもない。この本のなかでも申請書には図やイラスト、写真などを使うことを勧めている。ただし主要な応募種目では、審査委員に届く申請書はモノクロ印刷になっているので注意が必要だ(後述)。 図やイラストがあるかないかで、印象はがらりと変わる。実例をあげておく(図4-6、図4-7、参照 図3-36、およびその周囲の文章)。 ## 図の注意点 図やイラストを使うときの注意点をまとめると、次の通りである(参照 3章の図3-50、図3-51、図3-61〜図3-64、およびその周囲の文章)。 ### 1. 簡単な図 1枚の図やイラストだけで十分理解できるように、簡単な図にすること。複雑な図はかえってわかりにくくなるから注意すること(図4-8)。 ### 2. 注目すべきところをしっかりと示す 複雑な図はどこを見ていいのかわからず、図の意味をつかむのが困難である(図4-9)。図のなかのどこが一番大切なのか、審査委員に見てほしいのかを考えて、図を作成すること。 ### 3. オリジナルな図 他人の本や論文から引用してきた図やイラストなどは使わない。あくまでオリジナルな図やイラストを使うこと。自分の論文の図を使うときにも、そのまま使うのではなく、英語を日本語に直す。重要な部分だけを使って必要のない部分をカットするなど工夫すること。 ### 4. 文章を補助する 図やイラストで示す内容は、予備データや研究計画の概要、研究者の役割分担など文章を補助するものにする。 ### 5. 印刷を想定する 印刷したときに鮮明な図にすること。審査委員の手に届く申請書の図は、令和7年3月現在、主要な種目はまだモノクロ印刷である。濃淡をうまく利用して、モノクロ印刷でもよくわかるような図にしよう。特に図中の文字がはっきりと読めるようにフォントの大きさに注意すること。 すでにいくつかの申請書ではカラー化されているが、申請書で実際に色を必要とするのは図や写真である。色を使うときの注意点は、色の種類を多くしすぎないことと、原色系の強い色を避けること、そして、図の一番大切なところをアピールするために色を使うことだ(参照 3章1:申請書を書く前の注意点 -- 申請書のカラー化への対応)。 ## 申請書へ図を入れる方法 科研費申請書はMicrosoft Wordを使って作成する人がほとんどだとして、図はAdobe IllustratorやMicrosoft PowerPointで作成するだろう。挿入する図のファイル形式としては、Illustratorで作成した図はJPEGやPNG形式に変換するのが一般的だが、PowerPointで作成した図はコピー&ペーストでそのまま申請書にもってくることができる。 Wordファイルに図を入れるのはなかなか難しい。図を入れる手順をここに書いておく。なお、Wordのバージョンにより、メニュー表示や操作手順が多少異なる。ここではMicrosoft Word for Macバージョン16を例とする。 1. Wordファイルの申請書上で、図を挿入する場所にカーソルを置く。 2. メニューバーから「挿入」→「写真」→「画像をファイルから挿入...」と進んで、目的の図を選んで「挿入」をクリックする。あるいは、図のファイルをドラッグして挿入する場所にもってくる。 3. 図と本文が重なるときには、図を右クリックして「文字列の折り返し」から「四角」を選択する。また「文字列と一緒に移動する」をチェックする。このように設定すると図の移動に伴って文字列も動く。 4. 図の大きさを変えるためには、図をクリックして選択する。選択後、4つの角にある□部分をドラッグして、望みの大きさに変える。 5. 図を望みの位置に動かし、大きさを整える。 ## 申請書をPDFファイルに変換する方法 作成し終わった申請書はWordファイルでそのまま電子申請できるが、PDFファイルに変換したものでも申請できる。後者の利点は、アップロードするときにフォントなどの置換がなく、自分でイメージしたままのものが審査委員の手に届くことだ。Wordファイルでアップロードした場合、Web上でPDFファイルに変換されるので、フォントが変化してしまうことがある。そのため、著者は電子申請のときはできるだけPDFファイルをアップロードすることを勧めている。 WordファイルからPDFファイルへの変換方法はいくつかある。ここでもMicrosoft Word for Macバージョン16.96を例として紹介する。 ### 方法1:名前を付けて保存 1. 作成したWordファイルを開いて、「ファイル」→「名前を付けて保存...」をクリックする。 2. 「ファイル形式」のところで「PDF」を選択する。 3. ファイルを保存する場所を指示して「エクスポート」をクリックするとPDFファイルに変換されて保存される。 ### 方法2:プリント画面から変換 1. 作成したWordファイルを開いて、「ファイル」→「プリント...」をクリックしてプリント画面を出す。 2. その左下の「PDF▼」を開いて、「PDFとして保存」を選択してファイルの保存場所を指示する。 3. 「保存」をクリックするとPDFファイルに変換されて保存される。 > --- > **図の挿入のポイント** > > 図はあくまでも申請書の内容を理解しやすくするためのものなので、申請者によるわかりやすいオリジナルの図にすること。 > --- > --- > **Column:生成AIと科研費** > > ChatGPTをはじめとする生成AIを使用することは、研究者にとってはすでに当たり前のものになっている。何か調べものをするときや、ちょっとした文章を作成するときなどにとても便利だ。新しい研究のアイデアを提案してくれたり、科研費などの研究費の申請書を書いてくれたらとても助かることだろう。そして、実際に生成AIが思いもよらなかったアイデアを教えてくれたり、画期的な提案をしてくれたりというニュースも流れている。 > > 実際に生成AIを扱ってみて、ときには素晴らしい回答に感動したりもするが、思ったほどではないとがっかりしたこともある。この本の読者のなかにも、科研費の申請書作成において生成AIを使ったことがある方もいるだろうし、その回答があまりに普通だったのでがっかりしたことがある方もいるだろう。しかし、生成AIは使い方次第で、とても役に立つ。例えが古いが、手書きの申請書をワープロやパソコンで作成するようになったこととか、Index Medicusで文献を調べていたものがネットで検索するようになったことに匹敵する(たぶん、それ以上なのだろう)。もはや生成AIを使うことは普通で、それをどのように使っていくのかが重要だ。 > > 当然、これからも科研費申請書の作成にも生成AIは使われていくことだろうが、1つ大きな問題がある。それは科研費申請書に書くべき研究計画は、生成AIが学習した大規模言語モデルのデータにはないということだ。研究とは、未知のものを解明していくものだから、それはやはり申請者自身の考えにもとづくものだ。一方で、生成AIはあくまでも学習したデータをもとに「確率で続きを書く機械」なので、ごく普通の回答しか得られないことが多い。また申請書は審査委員が読むものであるから、申請書をどのように「魅せる」かということに対して、生成AIよりも人間の方がまだまだ優位だ。 > > しかしそれも、より汎用的な能力を備えたAGI(人工汎用知能)が活用される時代になったらどうなるかわからない。願わくば、科研費申請書を作成するのも、その申請書を審査するのもAIといった時代にならないことを。 > ---