--- title: "8. 本研究の目的を達成するための準備状況" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第3章 申請書の書き方 pages: 170-171 images: page_0170.png ~ page_0171.png --- # 8. 本研究の目的を達成するための準備状況 ## この欄では何を書くのか? 実験や調査の予備的なデータや、保有している試料や資料など、現在の研究の準備状況を具体的に書く。 ## この欄では何を評価する? 「準備状況」から、申請者が研究計画を実現できるかどうかを判断する。 準備状況としては、予備的な実験データが出ていれば、それを紹介しておくのがよい。この部分に実験データを図で示すことも効果的だ。「このように研究が進展している」ので、本研究計画は「実行可能」だとアピールするのに説得力がある。また研究計画に必要な試料や機器類などがすでに手元にあるなら、そのことを書いておく。試料や機器類がまだ手元にない場合には、その入手計画や方法を具体的に書いておくこと(図3-65、図3-66)。 文系の研究者の方ならば、予備調査の結果などを示すのがよい。また共同研究者との研究打ち合わせの状況なども書いておくとよい。 準備状況で重要なことは、実験や調査の予備的なデータや、すでに保有している研究計画に使用する試料や資料などを具体的に記載することによって、客観的に準備が整っていることを示すことだ。具体的な準備状況なしで、自ら「準備は整っている」と書いても説得力がない。しかし意外にも、客観的な準備状況を書いていない例が多く、とくに文系の研究者の申請書によくみられる。 > **図3-65の説明:** 平成30年度国際共同研究強化(B)の申請書の実例。準備状況を示す:アッセイに用いるGPCRの発現細胞系(約20種類のリガンド既知GPCR、約40種類のオーファンGPCR、約30種類のショウジョウバエと線虫のGPCR)を準備している。測定機器や分析機器を示して、実行可能性をアピールする:FLEXステーション、EnVisionシステム、HPLC複数台、AKTAシステム、質量分析計を保有。原材料の調達から精製、構造決定までのシステムはすでに立ち上げている。 > **図3-66の説明:** 複数の実例をもとに改変した準備状況の記載例。 図3-66に示された複数の記載例: - **(例1)** K大学の申請者の研究室では施設・設備・備品等について十分に整っている。またグレリンに関する合成ペプチド、抗体、グレリンKOマウスなどは、これまでの研究過程で作製し使用されたものであり、十分な実績をあげている。このように現在の研究環境について問題はない。 - **(例2)** 研究代表者は現在は〇〇に属しているが、ほぼ独立したかたちで研究を進めており、基礎的な分子生物学・生化学実験に必要な設備は整っている。 - **(例3)** 申請する研究計画では臨床応用的な研究も進めるため、臨床の研究者の協力が必要である。この点に関して、すでにK大学医学部外科学教室の消化器腫瘍外科の専門家と共同研究を行っており、連絡調整等に問題はない。また計画中のヒト胃でのグレリン局在の詳細な検討にはすでに着手している。 - **(例4)** 2000年度からのインタビュー調査に協力してもらう施設(〇〇や〇〇など)の責任者や支援者との連携はできており、インタビュー対象者40名の確保も可能な見通しである。当プロジェクトのメンバーで構成する研究会をすでに立ち上げており、定期的な研究会の開催と進捗状況の検討を行うことで、研究計画を達成できるように進める。 - **(例5)** 研究協力者は、申請者の所属する同じ研究室のメンバーであり、連絡調整や研究の打ち合わせについて問題はない。 - **(例6)** 既に本研究提案の予備実験は着手済みで、データも着実に蓄積している。研究室には生細胞観察用の充実した顕微鏡等が備わる上に、蛍光顕微鏡を用いた分裂酵母の生細胞観察では世界をリードする〇〇大学〇〇研究科の〇〇教授とも十分な連携が可能なことから、計画の遂行に問題はないものと考える。 ## 「本研究の目的を達成するための準備状況」の書き方のポイント - 客観的な事実を記載して、準備が整っていることを示す。 - 実験や調査の予備的なデータを示す。 - すでに保有している研究計画に使用する具体的な試料や資料を記載する。 - 共同研究者との研究打ち合わせの状況などを書いておく。