--- title: "7. 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第3章 申請書の書き方 pages: 155-169 images: page_0155.png ~ page_0169.png --- # 7. 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか ## ここでは何を書くのか? 提案する研究課題について、どのように実験や調査を進めていくのか、具体的な研究計画と方法を記載する。 ## ここでは何を評価する? 研究計画・方法が研究課題を実現するのに適切であるかどうかを評価する。採択のためには「研究目的」と並んで重要な項目だ。 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」は、「研究目的、研究方法など」のなかで記述することが求められている一項目だが、これは平成29年度までの申請書に設けられていた「研究計画・方法」という重要な項目に相当する。現在の申請書では記載事項についての説明はまったくないため、書くにあたって戸惑う人も多いかもしれない。そのようなときには、平成29年度までの申請書の記載事項の説明が役に立つ。 基盤研究(C)の以前の申請書では、「研究計画・方法」を書く際には次のことに気をつけて書くように指示されていた(図3-48)。 1. 冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述すること 2. 初年度の計画と次年度以降の計画に分けること 3. 適宜文献を引用すること 4. 研究が当初計画どおりに進まないときの対応を述べること 5. 研究計画を遂行するための研究体制を述べること 6. 研究代表者、研究分担者の具体的な役割を(図表等を用いて)述べること ((6)は現在の申請書においても記述するように指示されている。図3-1の説明欄の最後) 現在の申請書においても、このような項目で書いていけばよい。特に研究方法や調査などの詳しい内容を書くばかりで、(4)~(6)の記載がおろそかになるのは避けたい。これらも研究計画を実行するための重要な要素だからだ。なお若手研究は「1人で行う」研究なので(5)と(6)は不要である。以下、順番に要点を書いていこう。 > **図3-48の説明:** 平成29年度基盤研究(C)の申請書の実例。 ## 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の書き方 ### (1) 冒頭に研究計画・方法の概要を簡潔に記述すること 以前の申請書では「研究計画・方法」欄の冒頭にも概要を書くようになっていたが、平成30年度以降の申請書では「研究計画・方法」は「研究目的、研究方法など」にまとめられたため、概要を書くのは申請書の最初の1カ所になった。しかし、この「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の冒頭には、研究計画の概要を書いておくのがよい。まず研究計画の概要を説明して、それから各年度ごとの詳しい研究内容を書いていく。すると審査委員にも理解してもらいやすい。この概要のポイントとして、 - 具体的な研究項目は箇条書きで書く(図3-49) - 研究計画の流れ、研究のタイムテーブルなどを図示するのもよい(図3-50、図3-51)〔参照:後述の図3-63、4章の図4-8〕 > **図3-49の説明:** 研究計画の具体的な項目を書くときには箇条書きにするとよい。 > **図3-50の説明:** 研究計画の流れを模式図やフローチャートにするとわかりやすい。 > **図3-51の説明:** 研究計画のタイムテーブルを図示するとわかりやすい。 ### (2) 初年度の計画と、次年度以降の計画に分けて書くこと 年度ごとの計画は、初年度と2年目以降に分けて書くのがいい。採択されたらすぐに研究をはじめることができるように、初年度の研究計画はとくに念入りに書くこと。もちろん研究期間全体にわたって継続するものはそう書けばよい。 ### (3) 適宜文献を引用すること 文献引用の数は多すぎないようにする。まったくなくてもかまわない。その文献に記載された方法が、計画する実験に必要なときだけ引用するのがよい。新しい方法論などは文献をあげておくと、それが実際に可能な方法であることの保証になる。また、3章4(本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方)で前述したように、ここでもこれまでの自分の業績は積極的に引用して、実行可能性をアピールするのがよい〔参照:図3-31、後述の図3-71、およびその周囲の文章〕。 ### (4) 研究が当初計画通りに進まないときの対応を書く 計画した実験や調査の結果はどうなるのか、実際にやってみないとわからないことが多く、研究とは得てして計画通りに進まないものだ。そのため研究が当初の計画通りに進まないときの対応は書いておいた方がよい(図3-52)。 > **図3-52の説明:** そのときの対応を、このように別に書いておいてもよい。 この項目は書くのが難しいと感じるかもしれない。しかし、研究計画を立てるときにはいくつか異なったアプローチで実験を行うことと思う。1つの実験項目のなかに異なるアプローチの実験方法も書いておいて、「計画通りに進まないときには」と書いておけば問題はない。 ### (5) 研究計画を遂行するための研究体制を書く 学術変革領域研究や特別推進研究を除いて科研費は、基本的に少人数で研究を行うものである。しかし現在の多様化した研究内容によっては研究分担者や研究協力者との共同研究が欠かせない。2章5(研究パートナー(共同研究者)の選び方)で記載したように、他の研究者をメンバーに加える場合は、その研究者がもつテクニックやメソッドが研究計画の遂行に不可欠であることを明記しておくのがよい。そうすれば計画の実現性に説得力が増す。 ### (6) 研究代表者、研究分担者の具体的な役割(図表を用いるなど)を書いておく 誰がどの研究項目(サブテーマ)を担当するのか、具体的に書いておく。サブテーマごとに「(担当:児島、中村)」などと書いておけばよい。また研究体制を図表にしておくのも、わかりやすくてよい(図3-53)。 > **図3-53の説明:** 研究代表者・研究協力者の役割分担を具体的に記載した例。 ## 研究計画・方法を書くときの注意事項 さて、具体的に研究計画の部分はどのように書けばよいのだろうか。当然だが、突拍子もない計画や、実現不可能な実験計画は書かないこと。ここでは実際の例を参考にして、注意点を書いていこう。 ### (1) いきなり具体的な研究手技を書かない! 科研費の審査をしていて、研究計画に実験方法が詳しく書いてあるのになぜか印象に残らないし、いったいその研究で何をやろうとしているのかが、はっきりしないと感じることが多々ある。これは、何を明らかにしようとしてその実験をやるのか、実験の目的をしっかりと書いていないからだ。このような例が非常に多い(図3-54)。これでは単なる作業リストだ。 > **図3-54の説明:** 個々の研究項目は、実験方法としては問題はない。よくないのは、どのような目的でその項目の研究を行うのかを書いていないことだ。これまでの結果から、どのようなことがわかっていなくて、そのためにどのような実験をやって、何を明らかにしようとするのかを明確に書いておかなければならない。 論文を書くときには実験のことをどのように書いているだろうか。いきなり実験の詳しい内容について書いていることはないだろう。論文では、個々の実験について、それぞれの目的をまず書いているはずだ。なぜその実験をやるのか、何を明らかにしようとして、その実験をやるのか? 申請書も同じである。しかし申請書では実験の目的を書いていない例がとても多い。目的があってこその実験である。実験内容に現実味をもたせるためには、どのような目的でその実験をやるのかをしっかりと書いておく必要がある(図3-55)。 > **図3-55の説明:** 平成20年度若手研究(B)の申請書の実例。冒頭に簡潔な要旨を書いておく。目的をはっきりと書いておく。何の目的で、この実験をやるのかを書いておく。 文系の方の研究計画では実験を調査と置き換えてもいい。どのような目的でその調査をやるのか? この場合も目的があってこその調査内容である。 最初に、どのような目的でその実験を行うのかをしっかりと書いておく。その後で、各実験項目の細部を書いていく。実験の目的を明確に書いておかないと、具体的な実験内容も理解してもらえない。例えば、まずこれまでの研究成果や予備的な実験結果を書いて、「このような点がわかっていないので、それを明らかにするために、次のような実験を考えた」とすると、非常にわかりやすい(図3-56)。 そして実験の詳細を書いて、その後にこの実験で何が明らかになるのか、予想でいいから書いておく。どのようなことがわかると予想されるのか、この実験で何を明らかにできると考えているのか、それを書いておけばいい。論文ではすでに行った実験について書くので実験結果の後は考察に入るが、申請書の場合は「この実験によって、(具体的に)〇〇が明らかになる」とか「〇〇が確認できる」とか、未来予想で実験の意義を書く。まとめると、次のような順番で書いていけばよい。 > **実験(調査)の目的 → 具体的な実験(調査)内容 → この実験(調査)の意義や展開・応用** > **図3-56の説明:** 平成19年度基盤研究(B)の申請書の実例。丸囲みの部分に研究の背景や目的、予備的な結果を書いてある。また、四角で示した部分に何をやるのか(実験内容)を書いてある。 ### (2) 年度ごとに簡単な概要を書く 初年度と次年度以降に分けて研究計画を書くとよいのだが、そのときに当該年度の冒頭には、どのような目的で、どのような研究を行うのか、それぞれの年度の概要を1~2行で簡単に書いておくのがよい(図3-57)。「概要(サマリー)→ 詳しい内容」の流れで書いていくと、審査委員はまず研究計画の概要をつかんでから読み進めるため理解しやすい。 また採択されたらすぐに研究をはじめることができるように、初年度の研究計画は特に念入りに書くべきである。 > **図3-57の説明:** 平成28年度基盤研究(C)の申請書の実例。初年度と次年度以降に分けて研究計画を書く。冒頭にはその年度に行う実験の概要を簡単に書いておくこと。 ### (3) 研究計画はすでにスタートしていることを書く これは文系の方に多い例なのだが、「科研費に採択されたら研究をスタートします」ではいけない。そうではなく、「すでに研究に着手していて、ある程度のデータが出ている。これから研究が面白くなっていく」とアピールしなければならない。 例えば図3-58の例のように、初年度に「文献を収集して読み込む」「先行研究から調べる」では、審査委員から準備不足とみなされても仕方がない。初年度には「必要な文献はすでに収集済み」「文献や先行研究の調査はほぼ完了」したうえで、申請書には見出した課題を実際にいくつかあげておくべきだ。そしてその課題についてこれから研究していくという流れで書くのがよい。 > **図3-58の説明:** 初年度に「文献を収集して読み込む」「先行研究から調べる」では準備不足とみなされる。 ### (4) 研究計画はいくつかのサブテーマに分けて書く 研究全体が1つの研究項目(サブテーマ)だけで構成されることはありえない。いくつかのサブテーマが集まって構成されることと思う。科研費の種目別でのサブテーマの数は、若手研究と基盤研究(C)では3つくらい、基盤研究(B)で4~5つくらいだと思う。これらのサブテーマをさらにいくつかの実験項目に分けて書いていく。 実験項目の数があまりに少ないものはよい点数をもらえない。少なくとも各サブテーマごとに2~4の実験項目を書くべきだ。実験項目が多すぎて減点になることはまずない。 ### (5) メソッドは具体的に書く 実験内容を「具体的に書く」というのはとても難しい。なんとなくわかる、しかし内容のない単語は、工夫して別の具体的な言葉に変えよう。例えば「検討する」「考察する」「解析する」「調べる」などの動詞をついつい使ってしまうが、実はこれらの単語には具体的な内容はほとんどなく、単に漠然としたイメージしか審査委員に与えない。そんな大げさなと思うかもしれないが、試しに自分の申請書を見てほしい。これらの言葉を使うと書くのが楽で、なんとなくよい感じがするのでついつい使ってしまっているだろう。具体的に書くということは非常に大変で、パワーと根気が必要だ。具体的にするための詳しい書き方は次の「研究計画・方法を具体的にするための方法」で解説する。 ### (6) 実験計画の概要・進め方や研究者の役割分担などを、図やイラストにして示す 実験計画の説明部分でも図やイラストを使うと、わかりやすくてよい(図3-50、図3-51、図3-53)〔参照:後述の図3-62、図3-63、4章2:図の挿入〕。この部分で使用する図は、実験計画の流れ、実験方法の概念図、特殊な実験装置などの説明、研究チームの構成などだろう。図が多すぎるのも、あまりよくない。2~3点くらいがよい。 ### (7) 既存の設備・機械を有効に使った計画を書く 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」は、申請者が本当にその研究計画を実現できるのかを知るためにある。研究計画を進めていくうえで、ぜひとも必要な設備や機械があるなら、研究室や大学内にその設備・機械があるのか、またどこか別の施設で使用可能なのかは書いておくのがよい(図3-59)〔参照:後述の図3-65、図3-66、およびその周囲の文章〕。 > **図3-59の説明:** 研究計画で使用する現有設備を示しておく。 ## 研究計画・方法を具体的にするための方法 申請者本人が具体的に書いたつもりでも、それが審査委員にきちんと伝わっているかどうかはわからない。「具体的」とは、審査委員が読んで実験や調査のイメージが映像となって感じられるような内容だ。 これまでの経験では、申請者が「具体的には」と書いているときには、あまり具体的でないことが多い。例えば研究計画で、「〇〇を測定する」とか「〇〇に関して文献調査を行う」という書き方は多い。確かに「測定する」「調査を行う」は具体的な行動だ。しかし、重要なのは中身(内容)の具体性だ。「測定する」「調査を行う」だけに留まるのではなく、常に「どのように?」「そして?」とその先まで考えて書かないといけない。 では、研究計画を具体的にするにはどのように書いたらいいのだろうか。 ### (1) 例をあげる 2~3の例をあげて説明する。例えば「摂食調節ホルモンによる食欲亢進作用を調べて~」ではなく、「グレリンやNPYなどの摂食調節ホルモンによる食欲亢進作用を調べて~」とすると、研究内容がもっとイメージしやすい。 ### (2) 言葉や説明を追加する ほんの少し言葉や説明を追加するだけで、内容は具体性を増し、わかりやすくなる。 - 「転写因子〇〇の発現が維持されている細胞の解析を行う」 → 「転写因子〇〇の発現がどの種類の神経細胞で維持されているのかを解析して、アルツハイマー病患者の病状の進行に〇〇が関与するのかどうかを明らかにする」 - 「神経炎症反応を抑える〇〇の働きを解明する」 → 「〇〇がどのようにして神経炎症反応を抑えるのか、そのメカニズムを解明する」 - 「高齢者支援にかかわっているカウンセラーを対象にインタビュー調査を行う」 → 「高齢者支援にかかわっているカウンセラーを対象にインタビュー調査を行い、システム構築への工夫や問題点を明らかにする」 ### (3) 数字を入れる 例えば単に「グレリンを投与して検討する」ではなく、「グレリンを1mg投与して、カルシウム濃度が上昇するのかどうか調べる」とかにすると、実験のイメージが浮かびやすい。 文系の例では、「2018年の日本の貿易収支は輸入超過であった」ではなく、「2018年の日本の貿易収支は1兆2,246億円の輸入超過であった」と数字を入れると、より具体的になる。 ### (4) 中身を具体的に書く 例えば「〇〇に関してのアンケート調査を行う」というのは文系の方の申請書には多いが、この場合アンケートの具体的な内容(対象者、人数、質問項目、どのように分析するかなど)を必ず書くこと(図3-60)。文献調査でも具体的な調査場所や文献リスト、調査項目をあげる。 具体的に書くことは、「わかりやすさ」につながる。常に「具体的」に書くことを、一歩でもその先まで書くことを心がけてほしい。 > **図3-60の説明:** アンケート調査の具体的な内容(対象地域、対象人数、質問項目など)を記載した例。 ### (5) 図を使って視覚的に 研究計画や予備データを説明する図を入れると非常にわかりやすい(図3-50、図3-51、図3-61~図3-64)。ただし、次の点には気をつけよう〔参照:4章2:図の挿入〕。 - 一目で理解できる簡単な図にすること - 他人の論文や総説からとってきた図は使わない方がよい。あくまでオリジナルで - 図には必ず内容を示す簡潔な説明文をつける - 図の流れは一方向にするのがよい。複数方向への図の流れ(矢印)は理解を難しくする - 基盤研究(A、B、C)、若手研究、挑戦的研究では、審査委員が読む申請書はモノクロ印刷なので、写真には気をつけること。特に生体組織の写真はわかりにくいことがある。一度印刷して解像度をチェックすること(令和7年2月現在、一部の種目では申請書がカラー化されている。参照:3章1:申請書を書く前の注意点「申請書のカラー化への対応」) - 文系の申請書でも何か図を入れる方がよい。研究の概要をフローチャートにしたものや、年度ごとの研究計画の流れなどを図にすると効果的 > **図3-61の説明:** A)図が何を示そうとしているのかがわからない。具体的なものが少なく、抽象的すぎる。図の説明文がないので理解しにくい。B)解像度が悪く、キレイでない。図のタイトルはあるが、説明文がない。C)イラストは単純できれいなのに、図の解像度が低く、損をしている。 > **図3-62の説明:** 図はシンプルでオリジナルなものを使う。A)のようなものならそのままで理解できるが、B)のようなものは簡単な説明がある方がよい。 > **図3-63の説明:** 文系の申請書には、見本のような研究スケジュールや、図3-64のような研究の概要のフローチャートなどを入れておくとよい。文字ばかりの申請書に比べて、図がアクセントになり好印象をもたれやすい。ただし文系の場合も図はできるだけシンプルに。 > **図3-64の説明:** 文系の申請書に限らず「研究の概要」を図示することをおすすめする。ひと目見て研究の全体像をつかみやすいからだ。 > --- > **Column:初めての科研費(Eさんの場合)** > > 大昔、まだ医師免許証を利用して生活をしていたころ、ある日、医局の先生から科研費申請書の清書を頼まれた。これが科研費と私の最初の出会いであった。その当時は、電子申請などなく、ワープロで作成した文書を申請書の枠内に貼付するか、直筆で記入するかのどちらかであった。なぜか私の直筆で提出した分が採択される(当時の医局七不思議)ので、在局中はよく清書を行った。そして(上司の課題がよかっただけなのに)科研費は申請すれば簡単にもらえるという誤った認識をもつに至った。 > > 医局を離れ、迷走し続け、科研費を申請するような立場に至るまで(久留米に着くまで)約10年が経過した。この間は、ひたすらボスの脛をかじり、ボスから研究費の獲得がいかに難しいか聞く機会はあっても、私自身が研究費の獲得に苦悩することはなかった。私の干支は未である。未にとって紙(金)を食うことは得意中の得意、幸いボスの脛は太かった。 > > さて、久留米大学分子生命科学研究所(分生研)での1年目の申請、日本語の公募要領を読みながら申請書を提出、惨敗。2年目、提出前に教授のチェックを受ける。ダメダメ、書き直しと言われたのが締め切り2日前。「なにがダメなのか教えてよ」とつぶやきながら徹夜で書き直して提出、惨敗。3年目、周りの優れた研究者の報告書を参考に提出、評価はA、やった、でも受け取ったのは不採択を知らせる通知書、残念。そもそも私は稼ぐより、消費に向いている。しかしこのままでは一人前にはなれない。 > > そして4年目を迎えた。科研費の書き方の講習会に参加、私が作成した前年度の申請書を「悪い例」として資料に採用していただいた。悪い例ならいつでも材料を提供できる私である。実験でもネガティブデータの山を築くことは得意である。これは他の人の追随を許さない。おかげで、限りない問題点の一端が明らかにされた。さらにK先生には何度となく添削をしていただいた。申請する分野についても真剣に考えた。果たしてその結果は、またも不採択。科研費に対する誤った認識を捨て、自分にとって科研費は申請しても簡単にはもらえない。超難しい研究費になった。 > > 5年目の申請、宝くじも買ってなんぼの世界、申請書だって出してなんぼやと自分を鼓舞して提出。あまりの惨めな自分に同情してくれたのか、ついに女神様が微笑んだ。5年目の研究課題ではなく、4年目の申請課題が、秋に追加採択されたのである。いわゆる敗者復活戦で、初の科研費獲得に成功したのである。 > > しかし、よくよく振り返ると、申請書の書き方の未熟さ以上に論文がないことが最大の問題である。問題の論文は、任期切れ直前にMCBにアクセプトされた。任期切れ間際でのポジション獲得と論文のアクセプトは、久留米に来る直前、パターソンがん研究所でも同じであった。お尻に火がついてからでないと実行できない。自分の悪い癖である。久留米大分生研で過ごした5年間は論文のまとめ方、研究費の獲得についてを学ぶ貴重な時期であった。長らく科研費が取れないまま年齢だけを重ねる私を排除せず、あたたかく見守ってくださった同僚の皆様に感謝せずにはいられない。 > --- ## 「本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の書き方のポイント - 冒頭に研究計画・方法の概要を書いておくこと。 - 研究項目では、どのような目的でその計画を実行するのかをまず書くこと。いきなり具体的な研究手技を書かない。 - 年度ごとにサブテーマを分けて、さらにいくつかの小項目に分けて記載する。 - 計画した研究項目で何が明らかになるのかを予想して書く。 - 研究計画の内容は具体的に書く。具体的にどのような手段で「調べ」「測定する」のかを記載する。 - 図を入れることで視覚的にもわかりやすくする。