--- title: "3. 研究目的、研究方法など―この欄の全体像" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第3章 申請書の書き方 pages: 125-139 images: page_0125.png ~ page_0139.png --- # 3. 研究目的、研究方法など――この欄の全体像 > **この欄では何を書くのか?** > どのような目的で、どのような研究を行い、何を明らかにするのかをはっきり示す。そしてそれによってどのようなことがわかるのかを書く。また、どのように実験・調査を進めていくのか、具体的な研究の計画と方法を記載する。 > **この欄では何を評価する?** > 申請する研究課題のオリジナリティーや、研究計画や方法が研究課題を実現するのに適切であるかどうかを評価して、採択にふさわしい研究課題かどうか判断する。**審査過程において最も重要な項目。** 「研究目的、研究方法など」には、まず冒頭に「概要」を簡潔にまとめて記述し、そのあと次の6つの内容を具体的かつ簡潔に記述するように求められている。 1. 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」 2. 本研究の目的および学術的独自性と創造性 3. 関連分野の研究動向と本研究の位置づけ 4. 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 5. 本研究の目的を達成するための準備状況 6. 本研究がどのような国際性を有するか いうまでもなく、申請書で最も重要な部分は、この「研究目的、研究方法など」である。基盤研究でも若手研究でも(1)〜(5)の項目は同じで、(6)は基盤研究(A,B,C)にだけある。また、基盤研究では種目によってページ数が異なる。なお、若手研究以外では、研究代表者と研究分担者との役割の違いについて記述するよう求められている。 ここでは申請者が最も多い基盤研究(C)のフォーマットに合わせて、どのような分量で「研究目的、研究方法など」の部分を構成していったらいいのか、その案を示していく。なお、その他の研究種目の申請書に対しての目安を羊土社ホームページ(https://www.yodosha.co.jp/kakenhi/)で紹介している。 ## 「概要」と(1)〜(6)の分量について まず、申請書には罫線・枠線はないが、上下左右のスペースはある程度は必要である。記入要領では、様式の余白は、上20mm、下20mm、左25mm、右25mmで設定してあり、審査資料の作成のときに文字等の欠落が起こらないように、設定は変更しないように書かれている。 基盤研究(C)では「研究目的、研究方法など」は**4ページ**である。その4ページの構成だが、おおよその分量の目安として: | 項目 | 分量の目安 | |---|---| | 「概要」 | 10行程度 | | (1)学術的背景、着想に至った経緯、学術的「問い」 | 2ページ目の半分くらいまで | | (2)目的および学術的独自性と創造性 | 2ページ目の残りの部分 | | (3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ | 3ページ目の1/4程度 | | (4)何をどのように、どこまで明らかにするのか | 3ページ目の残りと4ページ目の半分くらい(最低1ページ分は書くのが望ましい) | | (5)準備状況 | 4ページ目の1/3くらい | | (6)国際性 | 4ページ目の残りで、5〜7行くらい | 若手研究では(6)の項目がないので、その分を(1)〜(5)の部分で少し分量を増やして調整していけばよい。 ## 「概要」――冒頭に研究計画全体の構想やまとめを簡潔に書く 「冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述し」とあるが、この「概要」の部分は非常に大切だ。審査委員が申請書をチェックするとき、まず最初のページで申請者の名前と課題名を見て、そしてこの「概要」の部分から本格的に読みはじめることが多いだろう。**科研費が採択されるかどうかはこの「概要」部分にかなり左右される。** 「概要」部分で、この研究計画では何を行うのか、研究全体の構想やまとめを簡潔に書いておき審査委員に十分に理解してもらい、その後に書いていく内容をスムーズに読んでもらうようにしなければならない。応募書類の様式・記入要領には「10行程度で記述すること」とあり、概要は10±2行以内にとどめるべきだと思う。 そして**「概要は一番最後に書くこと」**だ。概要は全体ができあがってからまとめとして書くべきだ。 ### 「概要」に書くべきこと 「概要」は「1 研究目的、研究方法など」のまとめであるとともに申請書のサマリーである。そのため「概要」は6つの項目から、大事なところを抜粋してまとめるときちんとした「概要」(サマリー)になる。 「概要」を書くために必要な中心部分は、(1)の「背景」と「問い」、(2)の「目的」と「創造性」である。「創造性」は「展開・応用」(=この研究でなにがわかるのか、どのような展開・応用ができるのか)と言い換えてもいいだろう。 またスペースに余裕があれば(2)の「独自性」(=研究のオリジナルな点)、「着想に至った経緯」や(4)の「何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」も加えてもよい。ただし短く簡潔に。 **まとめると、「概要」には、研究の「背景・問い」「目的」「展開・応用」を忘れずに書くことである。** ### 概要部分の基本型 - 申請者が対象としている研究のこれまでの背景(3文以内) - 何が問題なのか(1文程度) - 何を明らかにするのか(2文程度) - どのような展開・応用が可能なのか(1文程度) このような分量でまとめていくとほぼ10行程度になるし、これで十分である。 | 項目 | 行数の目安 | |---|---| | 研究の「背景」と「問い」 | 4〜5行 | | 研究の「目的」 | 2〜3行 | | 研究の「展開・応用」 | 2行 | ### 「概要」の例とその直し方 概要に書くべき3つの項目のなかで、書かれていないことが多いのは、研究の「背景と問い」と「展開・応用」である。 > --- > **「研究目的、研究方法など」の「概要」の書き方のポイント** > > - 簡潔に書くこと、多く書きすぎない(10行程度)。 > - 研究の「背景と問い(4〜5行)」と「目的(2〜3行)」と「展開・応用(2行)」をはっきりと書く。 > - 「背景」には「問い」を書くことを忘れずに。 > --- ## 申請書を読みやすく理解しやすいものにするちょっとした工夫 ちょっとした工夫をすることで、申請書は読みやすくなり、審査委員に理解されやすくなる。 ### 改行と項目分け 例えば「概要」部分。「背景と問い」、「目的」、「展開・応用」を1つの部分として書くのではなく、適宜改行を入れてそれぞれの部分を別々の段落にするとよい。 スペースに余裕があれば、「背景と問い」、「目的」、「展開・応用」と3つの部分に分けるのもよい。また「研究の全体構想」と「本研究の具体的な目的」などと見出しを書いて、分けて記載するのもよい方法だ。 ### 箇条書きや見出し、余白行を入れる 具体的な研究項目などを箇条書きにすることは、読みやすいし、内容も理解しやすくなるのでお勧めする。 また「研究目的、研究方法など」の本文では、(1)から(6)までの6つの部分で書いていくように指示されている。そのときにもただ数字を並べていきなり本文を書いていくより、各数字の部分には何が書かれてあるのか、項目を書いておく方が審査委員にわかりやすくてよい。 そしてそれぞれの部分の間には余白行を必ず入れる、あるいは項目の見出しを太字にするなどの工夫もよいと思う。 > --- > **申請書を読みやすく理解しやすいものにするためのポイント** > > - 適宜改行を入れたり、部分に分けて読みやすくする。 > - 余白行を入れる、見出しを太字にするなどで読みやすくする。 > ---