--- title: "14. 研究費の応募・受入等の状況" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第3章 申請書の書き方 pages: 191-193 images: page_0191.png ~ page_0193.png --- # 14. 研究費の応募・受入等の状況 ## この欄では何を書くのか? ここでは(1)応募中の研究費、(2)受入予定の研究費、(3)e-Rad外の研究費、(4)兼業や、外国の人材登用プログラムへの参加、雇用契約のない名誉教授等を含む現在のすべての所属機関・役職を記入する。エフォートには、申請者の全部の仕事時間のなかで、この申請書で申請する研究にどのくらいの割合(%)の時間を割くのかを記載する。(1)~(4)および(5)その他の活動のエフォートの合計が100%を超えないようにする。 ## この欄では何を評価する? 「研究資金の不合理な重複や過度の集中にならず、研究課題が十分に遂行し得るかどうか」を判断する。多額の公的な研究費を複数もらっていない限りは、採択に影響を与えることはない。 ## 「研究費の応募・受入等の状況」記載時の注意事項 平成30年度の公募から、この欄も電子申請システム上で入力するようになった〔Web入力項目(後半)、参照4章3:電子申請の実際、巻末の実際に採択された申請書(1)(2)〕。またそれぞれの項目について、e-Radに登録された情報を参照し選択することで、当該画面に追加することが可能である。その場合の注意点は、追加した情報を修正した場合、修正内容はe-Radには反映されないため、e-Rad上で登録情報の修正を行わなければならないことだ。なお、現在の申請ではこの項目はPDFファイルとして出力されない(電子システム上で審査される)。 この項目を入力するときの注意点は、以下の通りである。 ### (1) 応募中の研究費、および (2) 受入予定の研究費 - 応募中の研究費や受入予定の研究費は全部記入する(図3-79)。ここには継続でもらっている科研費はもちろん、科研費以外の、国立研究開発法人や独立行政法人からの研究費や、民間財団からの助成金、企業からの受託研究費や共同研究費など、国外のものも含めて、すべて記入する。 - 研究分担者としての研究費もすべて記入する。 > **図3-79の説明:** 令和2年度基盤研究(C)の申請書の実例をもとにWeb入力のイメージを作成。この入力内容は研究計画調書のPDFファイルには表示されず、審査に当たっては電子申請システム上で内容を確認する。該当する内容がないところは空欄にしておく。電子申請時の画面は4章の図4-19を参照。 ### (3) e-Rad外の研究費 - e-Rad外の研究費とは、「競争的研究費ではないもの」、および「競争的研究費に該当するがe-Radで応募を行っていないもの」である。 ### エフォート - エフォートは、年間の全仕事時間を100%とした場合に、申請した研究に必要な時間の配分率(%)を書く。 - 一番下の「エフォートの合計」は、課題が採択された場合を想定して(1)~(5)までのエフォートの合計が100%になるように記入する。 - (5)の「その他の活動」には大学の講義や、所属研究機関内で配分される教室研究費による研究活動などが含まれるが、配分率(%)だけを記入すればよく、具体的な内容は求められない。 ## エフォートとは エフォートを日本語に訳すと「努力」が最もよく使われるが、申請書における意味にしっくりとくる訳がないため「エフォート」とされている。 エフォートとはいったいどのような目的で設定されているのか、またこれが科研費の採択にどのような影響をおよぼすのか、などいろいろな疑問があるだろう。エフォートは「研究資金の不合理な重複や過度の集中にならず、研究課題が十分に遂行し得るかどうか」を判断するために設定されている。申請するすべての科研費の申請書にはエフォートの記載が求められ、研究代表者と研究分担者として携わるすべての研究のエフォートを合計して100%を超えないようにする必要がある。 しかし、採択されるかどうかもわからない研究課題のエフォートも含めることは、実際よくわからないと思う。もし採択されなかったら、その分のエフォートはどうなる? 採択されずに最終的に全エフォートの合計が50%になったら、残りのエフォート50%分の仕事は何? さらに研究費の申請は科研費だけではなく、しかも申請時期が異なるものが結構ある。もし、申請時にすでにエフォートが100%だったら、もうそれ以上は申請できないのか? エフォートは研究計画作成時において予想して記載しているもので、採択後に改めてその時点におけるエフォートに変更して交付申請の手続きを行うので安心してよい。といっても、エフォートをどのぐらいにしたらよいのか迷う人も多いだろう。ちなみに私は科研費のエフォートとして基盤研究なら20~30%、挑戦的研究や特定領域研究(公募)は10%にしている(図3-79)。 ## エフォートの採択への影響 エフォートは研究費の過度の集中を管理するための手段とされ、**「審査において付す総合評点には考慮しない」** ことが求められている。1段階目の審査において「研究資金の不合理な重複や過度の集中に該当し、研究課題が十分に遂行し得ない」と判断した審査委員が複数いた場合に、2段階目の審査で改めて確認される。そして審査委員全員が「問題あり」と判断した研究課題は、学術的価値の評価が高くても不採択となる。 しかしよほど多種類多額の研究費をもらっている大物研究者以外には、エフォートの数字はあまり重要でない。エフォートのトータルが100%以内ならば、その申請課題のエフォートが10%であれ、50%であれ、審査にはほとんど影響はない。 ## エフォート欄の書き方のポイント 科研費を申請する時点ですでに採択されている研究費を含めて、エフォートのトータルを100%を超えないようにすること。