--- title: "13. 研究経費とその必要性" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第3章 申請書の書き方 pages: 187-190 images: page_0187.png ~ page_0190.png --- # 13. 研究経費とその必要性 ## この欄では何を書くのか? 研究経費の内訳を記入する。設備備品費、消耗品費、旅費、人件費・謝金、その他の明細を書く。そしてその内容が、なぜ研究計画に必要であるのかを示す。 ## この欄では何を評価する? 研究経費の項目では、内容によって採択のプラスになることはまずないが、審査における評定要素には研究経費の妥当性が含まれている。そのため、1つの費目が全体の90%を超える場合など、かなり偏った使用方法のときにはきちんとした説明がないと採択に影響する場合がある。 ## 研究経費の明細 ここでは、設備備品費、消耗品費、国内旅費、外国旅費、人件費・謝金、その他の明細を記載する。 平成30年度の公募から、この欄はダウンロードした申請書にはなく、電子申請システム上で(Web上で)入力できるようになった〔Web入力項目(後半)、参照4章3:電子申請の実際〕。 > **図3-77の説明:** 令和2年度基盤研究(C)の申請書の実例をもとに作成。ここでは設備備品費、消耗品費の欄を示す。旅費、人件費・謝金、その他についても同様の欄がある。 経費が多すぎるために審査委員から減点されることはまずないが、研究計画と研究期間にふさわしい額を要求すること。実際には応募種目ごとの最大限度額を要求している応募者がほとんどだと思う。きちんと経費の内訳を記入して、そのうえで必要なら研究経費は遠慮せずに、堂々と最大限の額を要求しよう。 研究経費を少なく申請しておくと採択されるチャンスが多くなると考える(いわれている)かもしれないが、そのようなことは絶対にない! **経費の大小と採択の可否はまったく関係がない。** なお、Web上で研究課題名を入力するところにも研究経費を入力する欄があるが、ここで記載したものと同じ金額・費目が自動的に入力される。 設備備品は品名・仕様と設置機関を書く必要がある(図3-77)。また備品を購入するときには初年度に購入することが普通で、そのために初年度の研究経費の額を大きくすることが多い。しかし、きちんとした理由があれば2年目以降でも備品を購入することができるため、1年目の額を少なくして、2年目以降の額を多くしてもかまわない。 また現在では研究経費の内訳は総額の50%以下ならば研究者の判断で自由に変更でき、さらに次年度への繰り越しも可能なので、備品購入も研究の進展をみて購入できる。基金化、調整金、合算使用の制度によって、備品購入などにさらに使いやすくなったと思う〔参照1章7:科研費の基金化、調整金、合算使用、バイアウト制度〕。 消耗品の明細は、図3-77で示したように、それほど詳しくは書く必要はない。私は「生化学実験試薬」「細胞培養試薬」など、おおまかに書いている。 旅費については、「研究打ち合わせ」や「学会参加」など、何の旅費なのかを書いておくこと。人件費・謝金は「実験補助」や「データ入力」などの事項を書いておくこと。また「その他」には運搬費や、論文投稿前の英文校閲などの費用と必要であるなら「バイアウト制度」の経費も計上しておくとよい。 ## 研究経費の必要性 この部分では、申請書に書いた研究経費(設備備品費、消耗品費、国内旅費、外国旅費、人件費・謝金、その他)が妥当で、それが必要であることを明記する。図3-78にいくつかの例をあげておく〔参照巻末の実際に採択された申請書(1)(2)〕。 電子申請システム上のこの部分で説明されているように「各費目(設備備品費、旅費、人件費・謝金)が当該年度の全体の研究経費の90%を超える場合及びその他(消耗品費、その他)の費目で、特に大きな割合を占める経費がある場合」には、その内訳となぜ必要なのかをきちんと書いておかなければならない。 研究経費が妥当なものであるかどうかは評定要素にあるため、審査委員はこの部分を必ずチェックして、研究費の各費目が妥当なものかどうかを調べる。通常、審査のとき経費の内訳を詳しく検討することや、経費に異議を唱えることはほとんどない。しかし、審査委員としての経験から述べると、書面審査では、毎年「なぜこの経費が?」というのが100の申請課題のなかで1~2題はある。 > **図3-78の説明:** 例1~3は「設備備品費、消耗品費の必要性」の記載例、例4、5は「旅費、人件費・謝金、その他の必要性」の記載例。 1つは分担金の額。研究分担者には必ず分担金を支給するが、その額は最大限で全額の2~3割が妥当だと思う。科研費に採択された研究課題はあくまで研究代表者が中心にやるべきものなので、研究費の大部分は研究代表者が使用するべきだ。しかし、なかには全体の額の半分を研究分担者に配分する申請書もある。 また、経費をパソコンとソフト購入だけにしているものも問題だ。データ収集・統計解析を使った研究などではぜひとも必要なのだろうが、十分な説得力のある説明を書いておかないと、これは難しい。科研費は最新パソコンの購入に使うものではない。 他にも、外部委託の経費や、外注の経費が大きすぎるもの、人件費や謝金が大部分を占めるものなどもクレームをつけられがちな経費申請の例としてあげられる。 ## 「研究経費とその必要性」の書き方のポイント - 研究計画に必要な額を、遠慮せずに堂々と最大限を計上しよう。 - 研究経費が1つの項目に偏らないように、全体の90%を超える費目がある場合には、その内訳と必要性を記載すること。 - 機器の購入や研究補助員の雇用など大きな経費の費目は、研究計画に必要である理由を示すこと。