--- title: "8. 科研費に関する資料" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第1章 科研費の概略 pages: 66-69 images: page_0066.png ~ page_0069.png --- # 8. 科研費に関する資料 ## 科研費に関するウェブサイト ### 日本学術振興会 科学研究費助成事業 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/ 日本学術振興会のホームページには科研費に関する膨大な資料がある。科研費申請のための公募要領から、研究計画調書、申請状況、採択課題に関するデータ、審査委員の名簿、などなど、これらは科研費に関する基礎資料として、一度は見ておいた方がよいし、申請書作成において非常にためになる。 ### 文部科学省 科学研究費助成事業 ―科研費― https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/main5_a5.htm 文部科学省では現在、学術変革領域研究を扱っている。将来的には日本学術振興会にすべて移行していくことが計画されている。また科研費の制度改革などのニュースはここに発表されている。 ### KAKEN(科学研究費助成事業データベース) https://kaken.nii.ac.jp 国立情報学研究所がオープンにしている科研費採択研究課題のデータベース〔参照 2章3:採択課題の調査〕。検索機能も充実していて、誰がどのような研究課題で採択されているのか、たちどころに知ることができる。1964年の採択課題から現在まで、「よくもこれほどのデータを!」と驚くくらいの内容がある。 ### GRANTS(研究課題統合検索) https://grants.jst.go.jp/ 令和3年6月30日から、KAKEN(科学研究費助成事業データベース)とJSTプロジェクトデータベースが統合されてGRANTS(研究課題統合検索)の運営が開始された。これは「国の政策等に基づき研究開発を推進する事業により行われている研究課題について、実施機関や事業の壁を越えて統合的に検索できるサービス」である。現在(令和7年3月)データベースに含まれているのはKAKENとJSTプロジェクトだけだが、今後は他機関が展開する研究課題も含まれていく予定だ。 ### 大学等のホームページ ネット上には科研費申請書の書き方についてのセミナーの資料などもあり、現場の生の資料として非常に貴重だ。「大学 科研費 申請書の書き方」などで検索すると、いろんな大学などで使用された申請書作成のための資料が得られる。役に立つものも多いので、十分に活用して欲しい。 > --- > **Column:初めての科研費(Bくんの場合)** > > 学生のころ。申請書の様式が科研費と大きく変わらない学術振興会特別研究員に応募して書面審査の段階で全敗(2戦2敗)。そんな自分が科研費申請では幸いにもこれまで3戦全勝、なぜ戦績が大きく好転したかを考えてみると2つの心当たりがある。 > > 1つは、申請書を作成するためのノウハウを得たことだ。今、特別研究員に応募した際の申請書を読み返してみると、何から何まで自己満足に陥った内容であり不採用になって然るべきだと思う。では、まともに申請書を書けなかった自分がどのようにしてコツを得たのだろうか? 自分はポスドクとして職に就くと6年間は科研費申請の資格がなかったが、この間に研究費獲得において百戦錬磨の先生の申請書・報告書作成にかかわる機会が多くあり、これらを参考にして自分なりに良質な申請書を作成するための方法を整理することができた。当初は下働きで迷惑とすら感じていたが、今となってはたいへん貴重な経験ができたと思う。 > > もう1つは、研究費申請に対する心構えの変化だろう。学生のころに周囲の先生方の悪戦苦闘を目の当たりにしたことや科研費の採択率が低いこともあり、"科研費は獲得できればラッキー"とお気楽に考えていた。今思い返せば、不採択になった場合の言い訳であり、典型的な負け犬根性でもあり恥ずかしい......。この甘えを一蹴したのが本書にたびたび出てくるK先生との何気ない会話のなかにあった「科研費獲得は研究者としてのプライド」という一言だった。科研費獲得にかける熱い情熱に心を打たれて"不採択は許されない"と思うようになり、闘争本能に火がついたことは今でも鮮明に覚えている。 > > この2つの出来事を経て初めての科研費申請に挑めたことは幸運であり、そうでなければ恐らく今でも科研費獲得に苦慮していただろう。最後にK先生へ、「叱咤激励ありがとうございました」。 > --- ## 科研費に関する書籍 ### 『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版』 (児島将康/著)、羊土社、2023 本書とタイアップして使用することを想定した申請書の実例とその添削例を集めたハンドブック。申請書記載の項目ごとに、陥りやすいポイントとその改良方法を記載している。ぜひ参考にしてください。 ### 『科研費 採択される3要素 第2版:アイデア・業績・見栄え』 (郡健二郎/著)、医学書院、2017 科研費採択の実績十分の筆者が書いたノウハウ本。タイトルの「採択される3要素:アイデア・業績・見栄え」とは、まさに科研費採択のための重要なポイント。申請書の実例は医学系のものだが、多くの分野で役立つ内容だ。フルカラーの紙面はきれいだし、最新の申請書フォーマットに対応していなくてもとても役に立つ本だ。 > --- > **Column:初めての科研費(Cくんの場合)** > > 大学院を卒業してそのまま同じ研究室でポスドクになった1年目の秋。ボスから「科研費の申請書を書きなさい」と言われました。それまで、研究費は「先生」といわれる人がとってきてくれるもんだと思っていた私は、少々戸惑いながら自分なりに書いてみました。日ごろ、書き物の添削はほとんどしてくれないボスでしたが、このときは真っ赤っかになって返ってきました。 > > それからしばらくして「ポスドクの契約は1年だから次、どっか探してね」と突然言われました。それまで、次どこに行くとかは「先生」といわれる人が探してくれると思っていた私は、少々戸惑いながら自分なりに何カ所か面接を受け、3月の春休みに引っ越しました。 > > 全く知らない土地で、新しいボスと全く知らない人たちに囲まれ不安でいっぱいの4月初旬、科研費採択のお知らせをいただきました。研究費は自分がとらなくても部屋のボスがいっぱいとってくれるから落ちても大丈夫だと安易に考えていましたが、今にして思うとなんとありがたかったことか。やっぱり自分の研究費があるのとないのとでは、気持ちの余裕が全然違いました。自分の欲しい試薬を買うとき、行きたい学会があったとき、ボスにお伺いを立てるのはちょっとストレスでしたが、研究費をもっていると比較的気楽にお願いすることができ、当時、とても嬉しかったことを記憶しています。これは前のボスからのプレゼントだったんだろうなぁと思いました。 > > 5年間、その研究室に所属しましたが、ボスに「いつ異動してもいいように自分の科研費で異動先で必要な物を買っておけよ」とよく言われました。自分が次行く先には「先生」といわれる人がすでに機械をいっぱいそろえてくれていると思っていた私は、少々戸惑いながらも遠心機は自分専用のがあったら便利だから買っておこう、という感覚で何点か備品を購入しました。 > > そして今、特任助教という身分ながらテニュアトラック制度というなかで独立して研究しています。学生さんや補助員さんに「先生」と言われ少々戸惑いながらも、移管手続きをしてもってきた科研費で買った備品に囲まれながらなんとか生きています。これもまた前のボスからのプレゼントだったんだなぁと思いながら。 > --- ### 『ここはこう書け! いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』 (科研費.com/著)、講談社、2023 「科研費.com」のサイトをもとに書籍化したもの。文例やよくある間違いなど豊富に掲載している。「科研費.com」のサイトにもいろいろな書き方のコツが解説されているので参照してみるとよい。 ### 『学振申請書の書き方とコツ 改訂第2版 DC/PD獲得を目指す若者へ』 (大上雅史/著)、講談社、2021 日本学術振興会特別研究員の申請書に特化した本だが、科研費申請においても役に立つ。 ### 『狙って獲りにいく!科研費 採択される申請書のまとめ方』 (中嶋亮太/著)、すばる舎、2022 表紙の上部に「審査委員の目にとまる、心をつかむ」とあるように、審査委員の立場から申請書をどのように書いていったらよいのかが詳しく書かれている。巻末には採択された申請書の実物見本もあり、とても役に立つ本だ。 ## その他、役に立つ資料 実物の科研費申請書が、なんといっても一番役に立つ資料だ。申請書提出とともにコピーをとって保存してあるラボもあるだろうし、知り合いに見せてもらうこともできるだろう。大学の事務によっては過去の申請書を見せてもらえるかもしれない。巻末に実際に採択された申請書の実例を2本、付録として掲載しているので、ぜひ参考にしてほしい。 なお、採択された申請書もためになるが、採択されなかった申請書もすごく役に立つ。何が悪いのか、自分のことはなかなかわからないものだが、他人のことはよくわかるものだ。