--- title: "2. 科研費の種類" book: 科研費獲得の方法とコツ 第9版 chapter: 第1章 科研費の概略 pages: 26-37 images: page_0026.png ~ page_0037.png --- # 2. 科研費の種類 ―科研費にはどのような種目がある? ## 直接経費と間接経費:2つの研究費 科研費を獲得すると、単に採択された研究者に研究費(直接経費)が交付されるだけでなく、その研究者が所属する研究機関にも研究費(間接経費)が交付される。間接経費は、共用施設の整備・維持・管理、研究設備の購入や運用など、研究者の研究活動支援のために研究機関が使用する研究費である。つまり研究機関は、科研費を獲得している研究者を多く雇用しているほど、研究環境の整備を行う費用をより多く得ることができる。2025年3月の時点では間接経費は科研費のほとんどの研究種目に直接経費の30%相当額が措置されている。 ## 科研費の種目体系のイメージ 科研費は大きく3つの種目群から構成されている(図1-2)。 > **図1-2のデータ:** > - **「基盤研究」種目群**:これまでの蓄積にもとづいた学問分野の深化・発展を目指す研究を支援し、学術研究の足場を固めていく種目群 → 「特別推進研究」「基盤研究(S・A・B・C)」 > - **「学術変革研究」種目群**:斬新な発想にもとづく研究を支援し、学術の体系や方向の変革・転換、新領域の開拓を先導する潜在性を有する種目群 → 「学術変革領域研究(A・B)」「挑戦的研究(開拓・萌芽)」 > - **「若手研究」種目群**:若手研究者に独立して研究する機会を与え、研究者としての成長を支援し、「基盤研究」種目群等へ円滑にステップアップするための種目群 → 「若手研究」「研究活動スタート支援」 > - この他に「国際共同研究加速基金」の種目群がある。 最も中心となるのが「基盤研究」、そして新しい学問領域を開拓するための「学術変革研究」(挑戦的研究(開拓・萌芽)と学術変革領域研究)、および若手研究者を育成するための「若手研究」(若手研究と研究活動スタート支援)の3つである。さらに国際共同研究の支援のために「国際共同研究加速基金」(国際先導研究、国際共同研究強化、海外連携研究、帰国発展研究)がある。これらの種目群が補い合って、さまざまな研究計画の提案に対応できるようになっている(なお、このなかの海外連携研究だけは令和6年度採択分の公募を最後に募集を停止している)。 ## 基盤研究と若手研究 科研費に初めて申請する研究者が応募するのは基盤研究(C)か若手研究が多いことと思う(表1-1、表1-2)。採択件数はこの2つがダントツに多い。令和6年度の配分状況では、基盤研究(C)が12,551件、若手研究が5,290件。この2つの合計17,841件で科研費の新規採択件数の約7割を占める。若手研究には博士号取得後8年未満の研究者との制限があるが、基盤研究には一切ない。そのため、基盤研究(C)では教授クラスの応募も多く、若手研究よりも採択に必要なレベルが高くなる。そのため若手研究者が若手研究から基盤研究に移ったときに採択されにくいこともある。 基盤研究(B)は基盤研究(C)よりも、さらに業績が多い研究者が応募する。また基盤研究(B)ではほぼ全員が研究費の獲得を目指して積極的に応募するため、しっかりした内容の申請書が多くレベルも非常に高い。実際に審査してみると、基盤研究(B)と基盤研究(C)とでは業績と研究内容にかなりの差がある。そのため基盤研究(C)から基盤研究(B)にステップアップするときには、自分のレベルを十分に考えて応募する必要がある。 また基盤研究(S)と基盤研究(A)は競争が激しい。これらに申請するには医学・生命科学系の場合はタイムリーにCNS(Cell, Nature, Science)に掲載されるとか、あるいはこれまでに十分な業績があって、その分野の中心的な研究者とみなされていることが必要だ。 令和2年度の公募からは「研究の高度化や国際競争の激化が進む中で更なる研究力向上を図るためには、優秀な若手研究者に対して、より大規模な研究への挑戦を促すことが必要」とのことで、**「若手研究(2回目)」と「基盤研究(S, A, B)」との重複応募制限が緩和**された。これは「若手研究(1回目)」を受給中でその年度が研究計画の最終年度の者、または過去に一度「若手研究」を受給し終わった者のうち「若手研究」の応募資格を満たす者が、「若手研究(2回目)」と「基盤研究(S, A, B)」を重複して応募できるようになったということだ。ただし「若手研究」と「基盤研究(S, A, B)」の両方に採択された場合は、「基盤研究(S, A, B)」を優先して、「若手研究(2回目)」を辞退しなければならない。若手研究者は積極的にチャレンジしてみるといいだろう。 ### 表1-1:科研費の主な研究種目 | 研究種目 | 研究費の期間 | 金額 | 研究種目の目的・内容 | |---------|----------|------|-------------| | 特別推進研究 | 3~5年(真に必要な場合は最長7年も可能) | 2億~5億円(真に必要な場合は5億円以上も可能) | 新しい学術を切り拓く真に優れた独自性のある研究であって、格段に優れた研究成果が期待される1人又は比較的少人数の研究者で行う研究 | | 基盤研究(S) | 原則5年 | 5,000万~2億円 | 1人又は比較的少人数の研究者が行う独創的・先駆的な研究 | | 基盤研究(A) | 3~5年 | 2,000万~5,000万円 | 1人又は比較的少人数の研究者が行う独創的・先駆的な研究 | | 基盤研究(B) | 3~5年 | 500万~2,000万円 | 1人又は複数の研究者が共同して行う独創的・先駆的な研究 | | 基盤研究(C) | 3~5年 | 500万円以下 | 1人又は複数の研究者が共同して行う独創的・先駆的な研究 | | 挑戦的研究(開拓) | 3~6年 | 500万~2,000万円 | 1人又は複数の研究者で組織する研究計画であって、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する研究 | | 挑戦的研究(萌芽) | 2~3年 | 500万円以下 | (萌芽)については、探索的性質の強い、あるいは芽生え期の研究も対象とする | | 若手研究 | 2~5年 | 500万円以下 | 博士の学位取得後8年未満の研究者が1人で行う研究。※博士の学位取得後に産前産後の休暇を取得又は未就学児を養育していた場合は、当該期間を除く | | 研究活動スタート支援 | 1~2年以内 | 300万円以下(研究期間が1年の場合は150万円以下) | 研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業等の取得又は未就学児の養育から復帰する研究者等が一人で行う研究 | | 奨励研究 | 1年 | 10万~100万円 | 教育・研究機関や企業等に所属する者で、学術の振興に寄与する研究を行っている者が1人で行う研究。※他の研究種目に応募できる者は応募できない | | 特別研究員奨励費 | 3年以内(DC2は2年以内) | 応募区分により年間80~150万円以下 | 優れた若手研究者にその研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選び、研究に専念する機会を与え、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者を育成する | | 学術変革領域研究(A) | 5年間(公募研究は2年) | 1研究領域単年度当たり5,000万~3億円(真に必要な場合は3億円を超える応募も可能) | 多様な研究者の共創と融合により提案された研究領域において、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導する研究 | | 学術変革領域研究(B) | 3年間 | 1研究領域単年度当たり5,000万円以下 | 次代の学術の担い手となる研究者による少数・小規模の研究グループが提案する研究領域において、より挑戦的かつ萌芽的な研究に取り組む | | 国際共同研究強化 | 1年(渡航期間として6カ月~1年が原則) | 1,200万円以下 | 科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究 | | 海外連携研究(令和6年度までで募集停止) | 3~6年 | 2,000万円以下 | 複数の日本側研究者と海外の研究機関に所属する研究者との国際共同研究 | ### 表1-2:令和5年度と6年度公募の応募総数・採択数・採択率(新規採択分) | 研究種目 | 令和6年度 応募総数 | 令和6年度 採択数 | 令和6年度 採択率(%) | 令和5年度 応募総数 | 令和5年度 採択数 | 令和5年度 採択率(%) | |---------|------------|----------|------------|------------|----------|------------| | 特別推進研究 | 72 | 10 | 13.9 | 89 | 10 | 11.2 | | 基盤研究(S) | 547 | 65 | 11.9 | 571 | 70 | 12.3 | | 基盤研究(A) | 2,320 | 632 | 27.2 | 1,802 | 491 | 27.2 | | 基盤研究(B) | 11,875 | 3,327 | 28.0 | 11,555 | 3,234 | 28.0 | | 基盤研究(C) | 45,713 | 12,551 | 27.5 | 43,689 | 11,991 | 27.4 | | 挑戦的研究(開拓) | 1,564 | 170 | 10.9 | 1,502 | 177 | 11.8 | | 挑戦的研究(萌芽) | 9,083 | 1,073 | 11.8 | 9,036 | 1,115 | 12.3 | | 若手研究 | 13,207 | 5,290 | 40.1 | 13,060 | 5,274 | 40.4 | | 研究活動スタート支援 | 4,179 | 1,521 | 36.4 | 3,856 | 1,435 | 37.2 | | 奨励研究 | 2,638 | 407 | 15.4 | — | — | — | | 国際共同研究加速基金(海外連携研究) | 1,278 | 208 | — | 1,056 | 206 | 19.5 | | 学術変革領域研究(A)公募研究 | 2,415 | 600 | 24.8 | 1,871 | 562 | 30.0 | | **合計** | **94,891** | **25,854** | **27.2** | **90,825** | **24,987** | **27.5** | ## PIとして独立した若手研究者のための種目:「基盤研究(C)」及び「若手研究」における独立基盤形成支援 平成29年7月から若手研究者の独立を支援する種目として「『若手研究』における独立基盤形成支援」が創設された。令和7年3~5月公募の段階では「『基盤研究(C)』及び『若手研究』における独立基盤形成支援(試行)」(以下「独立基盤形成支援」)となっており、制度は今後変更される可能性がある。これは運営費交付金の削減によって大学の研究環境が悪化していることに対応し、新しくPI(研究室主宰者)になった研究者の研究環境の整備を支援するためのものである。 この「独立基盤形成支援」の特徴は、PIとして独立した研究者(支援対象者)と研究機関が協力し、「独立基盤形成支援(試行)計画調書」を作成して応募することである。 ただし、支援対象者となる研究者の条件が厳しい。それは「基盤研究(C)」または「若手研究」の交付内定を受けた研究代表者のうち、「大学または大学共同利用機関法人に所属し、新たに准教授以上の職位に就いて2年以内で、応募年度の4月1日現在で博士の学位取得後15年以下の者(産前・産後の休暇、育児休業の期間を除く)であって、所属する研究機関において研究室を主宰していること」である。 「研究室を主宰」することの要件は、 - 独立した研究課題を有すること - 研究グループの責任者であること(研究グループを組織している場合) - 大学院生の指導に責任を持っていること - 論文発表の責任者となっていること - その他研究室を主宰する者としての活動があること (令和7(2025)年度 科研費公募要領より引用) これらをすべて満たしていることが必要である。 応募においては研究機関が所属する支援対象者に優先順位を付け、計画書を作成して科研費電子申請システムから提出する。また、科研費採択上位機関に配分が偏らないように、各研究機関が応募できる件数の上限は、その研究機関における「基盤研究(C)」と「若手研究」の新規採択合計件数の5%または5件のいずれか低い件数という上限が設定されている。 採択されると、研究代表者には「基盤研究(C)」または「若手研究」の研究費に加えて、交付内定を受けた研究費総額の当初応募額から交付内定額を引いた額か、150万円のいずれか低い額が交付される。また研究機関にはその30%相当の間接経費が交付される。 この新しい若手研究者の支援制度だが、条件が厳しく、大学によっては対象者がいないこともあると思われる。 > --- > **Column:若手研究の変更** > > 「科研費若手支援プラン」として、科研費の若手研究が大きく改革された。 > > まず平成30年度の公募から若手研究(A)が基盤研究に統合廃止された。直近のデータで若手研究(A)を獲得している者は、他の種目でも十分に採択されていることから、基盤研究を充実させることで対応するようにした。ただし時限的な経過措置として、若手研究(A)を終了した研究者が基盤研究(B)に応募する際に、若手研究者による応募課題が優先的に採択されるしくみが導入されていた。 > > この若手研究(A)の統合廃止によって若手研究は1種目だけになったので、従来の若手研究(B)の名称が「若手研究」になった。 > > そして「若手研究」の応募要件が、博士号取得後8年未満の者と変更された。つまり「若手」といっても年齢には関係がない。また博士号未取得者は「若手研究」に応募できないが、応募時に取得見込みの場合は応募できる。 > > 多くの者は、4年制の学部と大学院修士・博士課程を修了して27歳、6年制の学部と大学院ならば29歳となるので、博士号取得後8年は35~37歳くらいと、これまでの若手研究者の年齢制限の39歳よりも若干若くなった。つまり応募者の数が少なくなると予想される。さらに若手研究の採択率は平成29年度の30%から、平成30年度以降は40%へと大幅にアップされた。 > > また若手研究に採択された後で、それよりも基盤研究の金額が大きい種目に応募する者に限って、最終年度前年度応募の対象が拡大された。具体的には、平成29年度の公募までは、4年以上の研究計画だけが最終年度前年度の応募が可能だったが、3年の研究計画でも応募が可能となった。 > > そして平成29年7月から若手研究者の独立を支援する新種目として「『若手研究』における独立基盤形成支援」が創設された。 > > このように若手研究者支援のしくみが大きく変更された。 > --- ## 挑戦的研究 挑戦的研究には小規模で研究期間が2~3年と短い**「挑戦的研究(萌芽)」**と、配分額が大きく研究期間が3~6年と長い**「挑戦的研究(開拓)」**の2種類がある。挑戦的研究は「斬新な発想に基づき、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する一人又は複数の研究者で組織する研究計画」のために設定されており、そのなかでも「(萌芽)については、探索的性質の強い、あるいは芽生え期の研究計画も対象」(令和7(2025)年度科研費公募要領より)とされている。 これは「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について(本文)」(平成28年12月20日)に書かれているように、大学などでの基盤的経費の減少から「大学等における研究の自由度や多様性をめぐる環境が悪化して」おり、「挑戦的な研究が減退している」ことへの危機感から新たに設定された。 申請において重要なのは、挑戦的研究に相応しいアイデアと、実行可能性があることだ。また審査は中区分(後述)で行われることから、専門外の審査委員も加わって、より広い分野で審査される。審査方式は「挑戦的研究(開拓)」が「総合審査」(書面審査と合議審査)で、「挑戦的研究(萌芽)」が「2段階書面審査」で行われる。 挑戦的研究(開拓)と挑戦的研究(萌芽)はどちらも基盤研究(S, A, B)と同時に応募でき、また重複して受給が可能なので、研究実績と業績のある教授クラスの研究者が基盤研究と同時に応募することが多く、**競争は非常に厳しい**。挑戦的研究(開拓)は配分額が500万~2,000万円で研究期間は3~6年、挑戦的研究(萌芽)は配分額が500万円以下で研究期間は2~3年である。 著者自身の経験では、自分の得意分野に応募する基盤研究とは異なる分野に応募したときの方が採択されている。異なる分野からターゲットとなる因子や方法論をもち込むことで、意外な研究展開が起こる可能性が評価されるからだと思う。まだ業績はないがよいアイデアをもっているのなら挑戦的研究にトライしてみるのもいいだろう。 ## 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援は「研究機関に採用されたばかりの研究者又は産前産後の休暇を終え、若しくは未就学児を養育していた研究者が一人で行う研究計画」であり、注意すべきは科研費の他の種目とは**応募時期が異なる**ことだ。通常、3月上旬から5月第2週までが応募期間で、7月下旬に審査結果の通知と交付内定がくる。 応募できるのは、前年の科研費募集期間には応募資格がなかった研究者で、(1)前年度の科研費応募締切後に応募資格を得たか、(2)産前産後の休暇を取得または未就学児を養育していたために応募できなかった研究者が対象だ。 なお、科研費のほとんどの種目は2段階での審査方式がとられているが、「研究活動スタート支援」と「奨励研究」では、令和6(2024)年度から審査方式が2段階書面審査から一度の書面審査で採否を決定する審査方式に変更された。それまでは「研究活動スタート支援」の審査結果は8月下旬であり、結果がわかってからだと基盤研究等(9月中旬公募締め切り)に応募する時間的余裕がなかった。今回の変更によって早期の審査結果の通知が可能となり、採択されなかった場合でも基盤研究等への応募のために必要な準備期間を確保することが可能になった。 また研究活動スタート支援に採択されても、その年の科研費応募には基盤研究や若手研究などに応募できる。そして基盤研究などの他研究種目に採択された場合、「研究活動スタート支援」と重複して受給が可能である(従来は研究活動スタート支援を辞退しないといけなかった)。 夏から秋にかけて行われる基盤研究や若手研究などの科研費応募の締切後に応募資格を得た研究者は、ぜひ応募してみるべきだ。 ## 学術変革領域研究 令和2(2020)年度から創設された**「学術変革領域研究」**は、「学術変革領域研究(A)」と「学術変革領域研究(B)」で構成される。 **「学術変革領域研究(A)」**は、「多様な研究者の共創と融合により提案された研究領域において、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導するとともに、我が国の学術水準の向上・強化や若手研究者の育成につながる研究領域の創成を目指し、共同研究や設備の共用化等の取組を通じて提案研究領域を発展させる研究」(令和7(2025)年度科研費公募要領より)のための種目である(表1-3)。新学術領域研究(研究領域提案型)の後継である。 **「学術変革領域研究(B)」**は、「次代の学術の担い手となる研究者による少数・小規模の研究グループ(3~4グループ程度)が提案する研究領域において、より挑戦的かつ萌芽的な研究に取り組むことで、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導するとともに、我が国の学術水準の向上・強化につながる研究領域の創成を目指し、将来の『学術変革領域研究(A)』への展開などが期待される研究」(令和7(2025)年度科研費公募要領より)のための種目である。 特徴としては、公募研究は「学術変革領域研究(A)」のみであり、「学術変革領域研究(B)」には公募研究はないことである。また「次代の学術の担い手となる研究者」が、(A)と(B)のどちらでも研究代表者として「総括班以外の計画研究」に2課題以上含まれることや、(B)では領域代表者となることが必須である。その「次代の学術の担い手となる研究者」の定義は、領域発足の予定年度の「4月1日現在で45歳以下の研究者」と、明確な年齢制限が行われている。 研究期間は「学術変革領域研究(A)」は5年間、「学術変革領域研究(B)」は3年間である。 ### 審査方式 - **学術変革領域(A)**:学術変革領域研究区分(I)~(IV)ごとに、書面審査とヒアリング(質疑応答)による2段階で行われる。ヒアリング対象に選定された領域が改めて詳しい研究計画調書を提出する。 - **学術変革領域(B)**:書面審査と合議審査による総合審査によって採否が決定される。必要に応じて(応募多数の場合は)領域計画書(概要版)を用いて、事前選考が行われる。 ### 応募金額 1研究領域の応募金額は、「学術変革領域研究(A)」は単年度当たり5,000万~3億円であり、真に必要な場合は3億円の上限を超える応募も可能である。一方、「学術変革領域研究(B)」では単年度当たり5,000万円以下である。 ### 公募研究 「学術変革領域研究(A)」における公募研究は領域設定の1年目と3年目に、研究期間を2年間として公募が行われる(つまり研究期間は研究領域の2年~3年目と4年~5年目になる)。採択目安件数は15件を上回ることとされている。審査は計画調書をもとにした2段階書面審査で行われる。「学術変革領域研究(A)」にも自身の研究テーマに適した領域があれば、公募研究に積極的に応募してみるのがいいだろう。 ## 国際共同研究加速基金 国際的な共同研究を強化するための国際共同研究加速基金には、令和7年1月現在、国際先導研究、国際共同研究強化、海外連携研究、帰国発展研究の4つのプログラム(研究種目)がある。このうち多くの方に関係するのは、国際共同研究強化と海外連携研究である。しかし、残念ながら令和7(2025)年度公募から海外連携研究は新規の公募が停止となった。 ### 国際共同研究強化 「科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究。基課題(採択された科研費のテーマ)の研究計画を格段に発展させるとともに、国際的に活躍できる、独立した研究者の養成にも資することを目指す」もので、令和6年度の公募は通常の科研費公募の時期と同じで7月中旬から9月中旬までであった。留学などの単なる海外派遣ではなく、あくまでも海外共同研究者との共同研究の強化が目的である。 応募資格は応募年度の7月1日現在で「基盤研究」「若手研究」「特別研究員奨励費」に採択されており、応募年度の4月1日現在で45歳以下の者となっている。研究費は1,200万円以下である。 ### 海外連携研究 「海外で国際共同研究を実施し、我が国の研究者が国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際共同研究の基盤の構築や更なる強化に資すること」を目的としている。しかし、令和6年度を最後に公募停止となった。 ### 国際先導研究 「我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い評価のある研究成果の創出を目指す」ものであり、「ポストドクターや大学院生の参画により、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資する」ことも目指す。研究代表者は、「責任著者となっている国際共著論文(6年以内に発表したもの)が、被引用数Top10%の国際共著論文に該当すること」など、申請のハードルは高い。令和7年度の公募は令和7(2025)年1月9日~3月14日と、通常の科研費公募の時期とは異なる。研究期間は7年間(10年間まで延長可能)で、研究費は5億円以下である。 ### 帰国発展研究 海外から日本に帰国する予定の日本人研究者のための助成である(期間3年以内、5,000万円以下)。国外の研究機関に教授、准教授またはそれに準ずる身分(ポスドクを除く)を有して所属しており、日本に帰国予定の場合は応募を検討するとよい。