し、何度も生成をくり返す必要があり、現状ではあまり使いやすいとはい えない状況です。 さらに、申請書や論文を丸ごと読み込ませて、そのまま使える整った研 究概要図が出てきたら理想的だと思う方もいるかもしれません。今後技術 が発展すれば、そのような使い方もできるようになる可能性があります。た だ、本書で述べている通り、研究概要図は関心を引き付けるだけでなく、読 者が主要な論点を理解できて、研究の価値を理解できる必要があります。こ のなかで、どの価値を強調して見せていくのかという戦略は、本来人間が 考えるべきことです。研究概要図で誰にどんな研究の価値を伝えてくべき かという判断は、研究者自身の価値観や研究者としての生き方・将来に直 結するものだからです。このため、インパクトのある研究概要図を作りた いと思うのならば、自分で考え、判断するプロセスは外すべきではありま せん。 では、AIが使える場合はどういうときでしょうか。プレスリリースやグ ラフィカルアブストラクト、あるいはジャーナルの表紙などでは、科学的 な説明図ではなくアイキャッチとしてアーティスティックなイメージ画像 を掲載することがあります。例えば睡眠障害の仕組みについての論文に、睡 眠障害で眠れない人の様子のイメージ画像を掲載するなど、研究テーマを 象徴するような画像を掲載する場合です。このようなイメージ画像を作成 する際にはAIは有用です。手描きをしたら何時間もかかるようなリアルで 複雑な表現も数秒で出力してくれるため、何枚か画像を生成し見比べなが ら選ぶことができます。 また、要素として一般的な「海」「高齢者」「キャベツ」などの簡単なア イコンやイラストが欲しい場合も、AIは使えます。前述の通りAIに複雑な 構造や形状を科学的に正しく描いてもらうのは大変なのですが、一般的に よく描かれる題材で、そこまで厳密さが求められないイメージ要素であれ ば問題なく生成できます。本書であれば、図4-2の「描画的表現」のなかの 人間と、図4-5のなかの人間や建物、図7-3のオレンジ色の自動車、図7-6の 197