ている場合もあります。このため日本の現状は、イラストレーターにとっ ては決してキャリアが形成しやすい環境とはいえません。一方、日本の関 連団体としては、1958年設立の日本理科美術協会、2010年設立の日本サ イエンス・ビジュアリゼーション研究会、2016年設立の日本メディカルイ ラストレーション学会、2022年設立の生命科学ビジュアルコミュニケー ション協会などがあります。欧米と比べると規模は小さいですが、活動す る団体は増えてきています。 サイエンス/メディカルイラストレーターは、単に見た目を美しく描く 職業ではありません。専門的な情報を科学的な正確さを保ちながら、わか りやすく直感的に伝える役割を担っています。そのため、研究者の情報発 だけでなく、教育や科学知識の普及にも貢献します。日本のサイエンス/ メディカルイラストレーター業界が発展することは、研究力や発力の強 化につながるだけでなく、科学・医学の知識を社会に広めるうえでも重要 です。 この書籍を手に取ったみなさんには、是非日本のサイエンス/メディカ ルイラストレーター業界を応援していただきたいと思っています。具体的 には、研究者や研究組織の一員の方であればプロのサイエンス/メディカ ルイラストレーターのSNSをフォローすることや、ここぞというときにプ ロのイラストレーターに依頼すること、さらには、もしも可能であれば、よ りよい条件でプロのイラストレーターを雇用することをご検討ください。企 業などの組織内で、業務の一環として図を制作してきた職員がすでにいる 場合は、図の制作を職務として公式に認め、名刺や履歴書にイラストレー ターという言葉が添えられるよう、配慮してほしいと思います。 また、プロのサイエンス/メディカルイラストレーター(あるいはそれ を目指している方)であれば、ウェブサイトやSNS でご自身の作品や活動 をどんどん発してください。アピールカやスキルの向上につながること はもちろん、日本でどんな人がどんな作品を作っているのかが可視化され、 依頼してみたいと思う人や、刺激を受ける人が増えていく可能性がありま 166 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ