第4章●図の中身を理する:ラフ案のブラッシュアップ 4 説明不足を解消する 1説明不足とは何か 第4章-3で、研究者は情報を盛り込みたがる傾向があると書きましたが、 研究者の図では情報が足りていないこともよくあります。足りていないと いうのは、図全体の情報量が少ないという意味ではなく、読み手が意味を 理解するのに必須な説明が図の中に入っていないという意味です。図とし ては要が多くて情報過多にもかかわらず、理解するための説明は不足し ているということもありえます。 例えば「RNA複製を阻害する新たなタンパク質を発見した。これは〇〇 病の治癒薬の開発に貢献する」という内容の図があったとします。この説 明を理解するには、前提として「〇〇病の原因がRNAウイルスの感染にあ る」ということと、「原因となるRNAウイルスの増殖を抑えるにはウイル スRNAの複製を阻害する必要がある」という知識が必要です。〇〇病に詳 しい同業者向けの情報であれば問題ないですが、もしも〇〇病についての 背景知識をもたない人がターゲットだった場合は、「RNA複製を阻害する 新たなタンパク質を発見した」らなぜ「〇〇病の治癒薬の開発に貢献」す るのかが理解できないので、納得感が低くなります。 このような情報不足は研究者の図に多くみられます。例えば、下記のよ うな場合などです。 ●ターゲットの背景知識レベルから考えると説明を省略しすぎている場合 ●ターゲットが理解できないような高度な専門用語を説明なく使用する場合 ●データを提示する際にそれがどんな実験を行った結果のデータなのか、そ こから何を読み取ったらいいのか説明していない場合 ●ターゲットが知らない要素をキャプションや説明なしに図に掲載してい 98 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ