第2章●図の質は準備で決まる:コミュニケーション戦略の設計 2 誰に伝えるのか? 1ターゲットとその関心を明確化する はじめに考えることは、誰がその研究概要図のターゲットになるのかと いうことです。言い換えれば、自分が誰に影響を与えたいのかを明確にす るということです。筆者の経験では、ターゲットを曖味にしたまま図を制作 する人が非常に多いです。ターゲットがわからなければ、何の情報をどれ くらいのせたらいいのか、どこを強調すべきかをうまく決めることができま せん。その結果、伝えたい内容がぼやけた切れ味の悪い図になりがちです。 読み手が共感できる研究の価値を伝えるためには、ターゲットを絞り込 み、そのターゲットがどんな価値観をもっているかを考え、その価値観の なかに自分の研究の価値を位置付ける必要があります(図2-1)。そもそも 価値は絶対値として独立して存在するものではなく、誰かが感じるもので す。人によって価値観は違うので、とある研究のどの部分にどんな価値を 感じるのかは人によって違います。もしもターゲットが近い分野の研究者 で学術的価値に関心をもっているならば自分の研究の学術的な面白さを語 る必要がありますし、逆にターゲットが学術的価値には一切関心をもたな い企業関係者で、例えば経済的価値に重点をおいているならば、学術的な 面白さは控えてどのような経済的価値を生む可能性があるのかを語る必要 があります。あるいはターゲットがその研究の知的価値に関心を持ってい る大学3年生ならば、いかにその現象が面白いのか、読み手をワクワクさ せるような内容を語る必要があります。 2. 誰に伝えるのか? 29