もちろん、研究の中身が薄く意義も低ければ、どんなに見た目のよい概 要図をつくっても単なるはりぼてにしかなりません。概要図づくりに極端 に時間や労力をかけすぎてしまい、研究時間を圧迫するのも本末転倒です。 しかしながら、より多くの研究者がよい研究概要図をつくることができる スキルを身に付け、特に社会的な影響が強い研究についてはプロのイラス トレーターに図の制作を依頼できるような環境が整備されれば、読み手の 理解を促進するという意味でも、図の質によって国際的な評価に差がつく ことがなくなるという意味でも、適正な研究評価は得られやすくなる可能 性があります。 ②研究成果へのアクセシビリティの向上 もう1つのメリットは、研究成果に対して社会のさまざまな人がアクセ スしやすくなることです。研究成果へのアクセシビリティを高めることは、 社会の人々が研究を評価し、社会的な議論をしていくうえで重要です。そ の研究に税金が投入されているならば、説明責任として研究の意義も伝え ていく必要があります。特に社会的な影響が強い研究の場合は、メディア や政府関係者、非専門家の市民など、研究者以外にも成果を伝えていく必 要があります。科学者の成果の多くは論文という形で発表されており、コ ストの問題だけでなく理解の難しさという意味でも非専門家にはアクセス しにくい状況です。昨今では、オープンサイエンスが推進されていますが、 論文やデータにアクセスしやすくなっても、限られた専門家以外内容を理 解できないのであれば、本当の意味でのオープンにはなりません。論文を 読むことが難しい人でも比較的簡単に研究の要点を理解できる研究概要図 は、ウェブ上やSNSで公表されやすい特性もあいまって、非専門家の人々 にも研究成果を届け、議論を開くきっかけになると考えています。 24 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ