ストのような唯一無二の素晴らしい図を描くことは本書ではめざしていま せんが、整って見やすく、より読み手の関心を引くような表現はある程度 は必要です。本書ではそういった表現の習得をめざします。 ②研究の主要な論点がすばやく理解できること 研究概要図の役割は、その研究の重要な論点や主張を読み手に理解して もらうことにあります。そのためには、当たり前ですが、主要な主張の情 報が図に入っていて、それが理解できる必要があります。申請書や論文の 全体の主張を的確に表現することが、インパクトをもって理解してもらう ための前提になります。また、論点を理解するための情報、例えばその結 果を得るために行った実験方法や、読み手が知らない可能性のある用語の 説明なども必要です。 また、いくら研究の主要な論点が理解できるといっても、難解だったり、 図が複雑だったりして理解に時間がかかるというのでは、見る人のモチベー ションが下がってしまいます。本書ではなるべく脳に負担をかけずに、す ぐに大事な論点が理解できる、ということに重点をおいて解説をしていき ます。 ③ その研究の価値がわかること 研究概要図はわかりやすいことが何より大事と思う人は多いかもしれま せん。もちろん、わかりやすさは重要ですが、筆者はそれだけでは不十分 だと思っています。なぜなら研究概要図はもっと重要な役割があるからで す。その役割とは、研究の「価値」を伝えることです。 研究者にとって「あなたの研究はよくわかりました。で、この研究には 何の意味があるのですか?」という質問は、最も受けたくない質問の1つ だと思います。むしろ「あなたの研究内容は難しくてわからない部分が多 くありました。でも、おもしろくて大変価値のある研究だと思いました」と 言われた方が嬉しいのではないでしょうか。いくら内容がわかりやすくて も、価値を感じなければその研究に関心をもつことはできません。逆に図 の細かい内容はよくわからないという場合でも読み手がその研究に価値を 22 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ