第1章●なぜつくる必要があるのか:研究概要図の役割とゴール 4 よい研究概要図の 3つの条件 1研究概要図でめざすべきゴールの難しさ このように、研究概要図にはさまざまな効果をもたらすポテンシャルが あることがわかりました。でも、研究概要図は質を問わず掲載さえすれば よいというわけではありません。研究者はどのような研究概要図をめざし て制作すればいいのでしょうか。 前提として、効果の高さ(関心を引く力やわかりやすさなど)は、研究 コンテンツ自体やテーマ、見せ方、時期、図を見る読み手側(同業者や評 価者、社会の人々など)のもともとの関心や好み、背景知識などさまざま な要因が複雑に絡み合って決まります。さらに、研究概要図にどんな効果 を期待するかという点も、読み手によって微妙に異なります。例えば、概 要図を通じて内容の精確な理解ができることが重要だと思う人と、概要図 によって「これは凄い研究だ」というインパクトを読み手へ与えることが 重要だと思う人では、同じ図を見たとしても、その図に対する総合評価が 異なる可能性があります。あるいはどんな研究内容なのかがわかりにくい 概要図だったとしても、学術的意義や社会的意義が明確に示されていれば、 その研究の評価向上に貢献する場合もあります。これまで筆者は、ある研 究者が褒めている概要図を、ほかの研究者は全く評価していないという場 面を何度も目にしてきました。伝え手・読み手双方とも多様な価値観があ るなかで、こうすれば誰にとっても絶対によいというベストなゴールは存 在しない可能性があります。 ただ、よい研究概要図とは何かという点について全く共通了解がないの かというと、そうではありません。研究概要図に対してジャーナルや先行 記事で特にこういう図をめざしてほしいと頻繁に指摘されている点はあり 20 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ