もちろん、具体的であることで、本来の意図より限定した印象を与えて しまう、情報が増えやすいなど、デメリットはあります。しかし、多くの 読み手にとって、抽象的な話はピンと来ないため、あまり理解されないり スクがあります。専門家が抽象概念でも理解できるのは、その概念に関す る具体的な背景知識(さまざまな先行研究の例など)を豊富に持っている からです。図であればより具体的なイメージを提供することができるため、 背景知識の少ない人でも理解がしやすくなります。 3 記憶に残る 図は、言葉よりも強く記憶に残ります。書籍にしろ、ウェブサイトにし ろ、文字情報はほとんど覚えていないのに、表紙や途中に描かれた図は覚 えているという経験をもつ人は多いのではないでしょうか。言葉による説 明でも、言葉単体ではなく図とセットになって記憶に残ることもありえま す。読み手の記憶に残れば、研究概要図の場合であれば評価や引用などと いった次の行動につながる可能性があります。 4 視覚的にアイデアを整理できる 図は、見せる相手に対する効果だけでなく、制作する側に対する効果も あります。世の中には文章で物事を考える言語思考が得意な人とイメージ で物事を考える視覚思考が得意な人、言語思考と視覚思考の両方を利用す る人がいるといわれています。科学の歴史を振り返ると、一部の科学者た ちは視覚思考を活用して研究を前進させてきました。例えば化学者である ケクレが蛇の夢からベンゼン環の構造式を発想した話は特に有名です。視 覚的な思考を文章に変換することなく表現できる図は、研究アイデアを記 録・伝達するうえで有用です。 さらにはアイデアマップのように発想を整理することも可能です。もち ろん、研究概要図は他者に伝えるための図であり、自分の発想を広げるた めのアイデアマップとは異なるものですが、研究概要図の制作過程で情報 16 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ