--- title: "2 アイキャッチ力を高めたい" book: 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ chapter: 第7章 もう一歩上をめざす:図の魅力をさらに高める方法 section: 2 pages: 175-177 images: page_0175.png ~ page_0177.png keywords: ["視認性", "レイアウト", "アイキャッチ", "イラスト"] --- ## 2 アイキャッチ力を高めたい ### (1) 研究テーマを知らせる要素を大きく入れる 人は、新しい知識を得るときには、その知識を自分がもっている知識のネットワークの中につなげながら理解をします。このため、新しい知識が既存のどの知識とかかわるかがすぐにわかると、円滑に新しい知識をネットワークにつなげられるようになり、理解がしやすくなります。研究概要図をつくる際にもこの性質を利用し、ターゲットならば知っていそう・すぐ理解できる大きなテーマを知らせるイラストや文字を、すぐに目につくよう図の中で大きく描くと、研究の位置づけがすばやく把握できるようになるため、内容の理解がしやすくなります。 例えば、実験材料がすぐにわかるよう、マウス・サルなどの実験動物を大きく描く、研究対象となっている疾患の種類がわかるよう、「糖尿病」という文字を目立つ位置に入れる、あるいはどのような製品やサービスに結びつく成果なのかわかるよう、ロボットや自動車などの製品のイラストを大きく描くなどの方法です(図7-3)。大きく描く対象は、イラストで表現すると認識が速いですが、イラストにしにくい対象の場合は文字(タイトル含む)でも構いません。 > **図7-3 大きなテーマを知らせるイラストや文字を入れる** > > 図7-1と同じ製造工程の対比型レイアウトだが、右パネルに自動車のイラストが大きく追加されている。自動車という最終的な応用先を大きく描くことで、研究テーマ(自動車生産の低コスト化)が一目でわかるようになっている。 特に研究概要図は、SNSやウェブサイトなどをブラウジングしている途中で見られる場合があります。この場合、読み手はタイトルや概要文・リード文を読まずに、最初に図を見る可能性があります。ブラウジングしているときは図が目に入ったら、一瞬で自分に関係があるかどうかを判断し、関係ないと思ったらそのままスクロールを続けてしまいます。一方、ブラウジングしていても、気になる図が見えたら手を止めてくれる可能性があります。例えば医師や医療系企業、心疾患患者などが、SNSのブラウジング中に心臓のイラストを目にしたら、何だろうと興味をもって図を見てくれる可能性があります。 研究テーマを知らせるイラストとして何を入れるかは、少なくともターゲットがすでに知っているモノやコトである必要があります。自分の研究をズームアウトして俯瞰的な目線から検討し、その研究がターゲットのもっているどのような知識につながっているのかを考え、テーマとなるイラストを入れるようにします。 ### (2) 研究のカギとなる要素を大きく入れる ターゲットが知っているかどうかにかかわらず、研究の重要項目、すなわちキーワード的な要素をイラストにすることで、素早い理解とインパクトをもたらす方法もあります。イラストにするのは研究テーマを象徴する主役級の要素です。例えば、がん研究がテーマであればがん細胞、地域の生物多様性がテーマであればその地域の代表的な生物などが候補になります。 表現の際のポイントは、その要素をほかの要素よりも大きく特徴的に表現することです。要素は大きく描かれるほど存在感が増します。仮に図の中のすべてのイラストや文字の要素が同じ大きさで、見た目に特徴がない場合は、メリハリが少なく全体の印象が薄くなります。そうならないよう、かなり思い切って大きく描く方がよいです。誌面の1/4以上など、1つの要素を大きく見せる、あるいは複数回見せることで、目を引く力や印象に残る力が強くなります。また、キーにする要素は、1~2種類に絞ることも重要です。たくさんあると埋もれてしまう場合や、視覚的に混とんとしてしまう場合があるためです。