--- title: "1 変化や差をわかりやすくしたい" book: 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ chapter: 第7章 もう一歩上をめざす:図の魅力をさらに高める方法 section: 1 pages: 172-174 images: page_0172.png ~ page_0174.png keywords: ["視認性", "配色", "対比型レイアウト", "比較"] --- ## 1 変化や差をわかりやすくしたい ### (1) 2分割の対比型レイアウトにする 変化や差をわかりやすくしたいときには、プロセス図で表現する方法などのほか、2分割の対比型レイアウトを使う方法が有用です。2分割の対比型レイアウトは、2つのパネルを左右または上下に並べ、内容を比較しながら見せるという一般的にもよく使われるレイアウトです。研究概要図の場合は、比較するのは違う条件下の実験結果やメカニズム、BeforeとAfter、従来の方法と新しい方法などで、比較することで違いが明確になります。 対比型レイアウトのよいところは、背景知識が少ない人でも理解しやすいことにあります。例えば、図7-1のように、従来の方法では原材料にレアメタルを使用し、さらに部品製造に2つの工程を経るけれども、新しく提案する方法ではレアメタルを使わず、工程も1つに減らすことができるという内容を図にするとします。もしも新しく提案する方法だけを記載した場合、従来方法のプロセスを知っている人ならば工程が減ったことなどがわかりますが、そうでない人にとっては、工程自体は理解できたとしてもそれが従来とどう違うのかよくわかりません。そういうときは、従来の方法と新しく提案する方法を対比型で並べれば、誰でも新しい提案の特徴が理解しやすくなります。 > **図7-1 対比型のレイアウトにする** > > 左パネル「従来の製造工程」:レアメタルを原材料として部品A・部品Bの2工程を経て電池を製造。下部に「高コスト+工程が多い」のラベル(暗い色調の背景)。 > 右パネル「新たに提案する製造工程」:ARG反応の利用・独自の配置構造・レアメタル不使用で、新部品RRMXの1工程のみで電池を製造。下部に「自動車生産の低コスト化」のラベル(明るい色調の背景)。 > 左右で比較することで、新手法の優位性が直感的に伝わる構成。 2分割の対比型レイアウトでは、要素を視覚的に比較できるので、直感的にも違いが捉えやすいです。効果的に対比させるには、できるだけ同じ大きさのパネルで、比較してほしい要素の大きさや位置も揃えるようにすると、違いが際立って伝わります。さらに、対比パネルで異なる背景色やテーマカラーを使うと、対比されていることが視覚的に明確に伝わります。 なお、比較は上下よりも左右の方がしやすいので、選べるのならレイアウトは左右にするとよいと思います。また、比較したいものが3つ以上あるという場合もあるかもしれませんが、3分割以上にすると2分割よりも比較がしにくくなるので、効果は下がる印象です。 ### (2) 対比型レイアウトの一部を共有させる 対比型レイアウトには、単純に画面(誌面)を上下または左右に分割して見せる場合のほかに、共通する部分を中央に配置し、途中から分岐する形で対比させるレイアウトもあります(図7-2)。この場合、共通する部分は大きく描くことができるので、メリハリがついてインパクトを出すことができます。 > **図7-2 一部共有した対比型のレイアウトにする** > > 中央に共通の要素(魚のイラスト、Substance A、cdef1、ghi cell、Binding、JKI cellなど)を大きく配置。左右にCondition AとCondition Bの2つの条件に分岐し、それぞれ異なる背景色(青系と黄緑系)で結果の違いを示している。共有部分が目立つことでメリハリのある構成になっている。 レイアウトの方法としては、まずはパネルで画面(誌面)を2等分したうえで、中間部分に共有する要素を大きめに配置します。共有する要素は大きく目立つように示すことで、その共通性を強調することができます。また、通常の対比型と同様、比較してほしい要素の大きさや位置を揃え、パネルごとに異なる背景色やテーマカラーを使うと、違いを際立たせることができます。