--- title: "2 適切な掲載サイズを考える" book: 申請書・論文で役立つグラフィカルアブストラクト作成の基本とコツ chapter: 第3章 戦略をかたちにする:ラフ案の原案作成法 section: 2 pages: 52-56 images: page_0052.png ~ page_0056.png keywords: ["ラフ案", "レイアウト"] --- ## 2 適切な掲載サイズを考える ### 1 まずは掲載時の位置とサイズを決める ラフ案の中身を考えはじめる前に、まずはこれからつくろうとする図をどこにどれくらいの大きさで掲載するのか決めましょう。そのうえで、完成サイズに合わせてラフ案を考えていくことになります。研究概要図は、正方形なのか、縦長なのか、横長なのかによってレイアウトが変わります。また、作成サイズや実際にどのくらいの大きさに表示されるのかということも、後でお話しする通り情報量を調節する際に重要です。 ### (1) 申請書の場合 申請書の図の場合、通常はサイズの指定はありません。この場合、どの位置にどんなサイズでつくればいいのでしょうか。 まず研究概要図を掲載する位置ですが、研究概要図は研究概要を示すものなので、配置としては申請書の研究計画書類の1ページ目、すなわち文章による要旨や研究概要説明があるページに提示するのが適切だと思います。 ではサイズはどれくらいがよいのでしょうか。図のサイズが大きすぎると申請書の文章の方が減り、説明が少なくなってわかりにくい、あるいは内容が薄いという印象を与えてしまいます。逆にサイズが小さすぎると図に情報が入らなくなり、メッセージを伝えることが困難になります。 筆者が考える申請書の基本的な研究概要図のサイズと配置は、2種類あります(図3-3)。1つは縦長タイプです。縦長タイプは、大きさは幅が60~75mm程度、縦の長さは目安として120mm以内にするとバランスがとりやすくなります。申請書中の配置は、紙面の右端に寄せて挿入します。上下は本文スペースの上端か下端のどちらかに寄せると安定しますが、小さめの図の場合は上下の中間部分に配置することも可能です。この大きさ、配置であれば本文の読みやすさを確保しつつ、比較的大きな図を挿入することができます。 もう1つは、横長タイプです。申請書の文字行の横幅いっぱいを使います。大きさは幅が160~180mm程度で、縦の長さはあまり大きくなりすぎないよう、100mm以内程度が目安になると思います。配置は本文スペースの上端か下端に寄せると、本文が分裂せずに読みやすくなります。 > **図3-3の構成:** 申請書ページの模式図2種類を並列表示。左:縦長タイプ(幅60~75mm、縦~120mm、紙面右端に配置、本文が左側に回り込む)。右:横長タイプ(幅160~180mm、縦~100mm、本文スペースの上端または下端に配置)。 > **ポイント:** 縦長タイプは右寄せで本文との共存が可能。横長タイプは文字行の横幅いっぱいを使い、上端か下端に配置して本文の分裂を防ぐ。 この2つのタイプは図の面積と文字量とのバランスや、配置の入れやすさから考えて提案していますが、申請書の内容や図の内容によって調整は可能です。 ### (2) グラフィカルアブストラクトの場合 ジャーナルのグラフィカルアブストラクトの場合は、ジャーナルの目次ページの論文・筆者名の横に小型のサムネイルとして表示される場合や、個々の論文ページやPDFの最初の方に配置されることが多いのではないかと思います。目次ページのサムネイルで関心を引きたい場合は、小さく表示してもよく見えるよう、シンプルで視認性が高い絵をつくる必要があります。 サイズはジャーナルからの指定があることも多いです(図3-4)。例えば生命科学系ジャーナル『Cell』のガイドラインには1,200 pixelsの正方形とあります。Elsevierのグラフィカルアブストラクトの説明ページには、最低1,328 x 531 pixelsとあります。単位はmmではなくpixelsですが、これはデジタル画像の大きさの単位で、デジタル画像を構成する最小単位の点の数を表します。ジャーナルによってはサイズや縦横比が自由という場合もあります。その場合は、実際のジャーナルページでどのようなサイズで掲載されるのか確認します。例えば目次ページのサムネイル表示が正方形にトリミングされて表示されるという場合は正方形に制作すればきれいに見えますし、サムネイルの横幅は一定で縦幅は図のサイズに合わせているという場合は、情報量に応じて縦長に伸ばしてつくるなどの判断をします。判断のしかたがよくわからない場合は、ほかの論文記事を見て、ウェブページ上で見やすく感じたサイズを真似するのでもよいと思います。 > **図3-4の構成:** 2つのサイズ例を図示。左:正方形タイプの例(1200px x 1200px)。右:横長形タイプの例(1328px x 531px)。 > **ポイント:** ジャーナルによってサイズ指定が異なる。Cellは1200pxの正方形、Elsevierは最低1328x531px。 ### (3) プレスリリースなどの場合 プレスリリースやその他の広報で使う研究概要図の場合は、サイズに指定はありません。プレスリリースの場合は、タイトルとリード文の下に掲載することが多いです。A4サイズのPDFの枠内に入りやすいよう、A4の半分であるA5サイズや、横幅を文字行の横幅に合わせた横長型(幅が160~180mm程度、縦が148.5mm以内)になることが多いです(図3-5)。プレゼン用の研究概要図をつくるという場合は、スライドサイズでつくれば問題ありません。パンフレットなどで利用する場合は、縦長のA4などにすることも可能です。 > **図3-5の構成:** 2つのサイズ例を図示。左:プレスリリースの例(A4の下半分程度、幅160~180mm、縦~148.5mm)。右:16:9スライド(幅16=33.867mm、縦9=19.05mm)。 > **ポイント:** プレスリリースはA4の半分程度の横長型が多い。プレゼン用はスライドサイズでそのまま制作可能。 ### 2 完成サイズに合わせて枠やスライド、アートボードを作成する ラフ案は完成サイズに合わせて制作します。もしもラフ案を鉛筆と紙でつくる場合は、最終的な掲載サイズの四角い枠をつくってその中にラフ案を描くようにしてください。大きなサイズの紙に描くと、情報を必要以上に詰め込みやすくなります。単なるアイデア出しの過程であれば大きさを気にしなくてもいいですが、ラフを整えていく段階では掲載サイズを意識するようにしてください。 ラフ案をPowerPointなどのアプリケーションで作成する場合も、完成サイズと同じサイズでつくるようにします。PowerPointでは「図形の書式設定」のなかの「サイズ」から図形の大きさを指定することができますので、新しいスライドにまずは完成サイズの四角形を挿入し、そのなかにラフ案をつくっていくとよいと思います(図3-6)。 あるいは、PowerPointではスライドのサイズ自体を指定することができるので、スライドサイズを完成サイズにしてしまうことも可能です。同様に、Adobe Illustratorなどを使う場合は、アートボードを完成サイズにし、そこにラフ案をつくるとよいと思います。 > **図3-6の構成:** PowerPointのスライド画面上に、完成サイズ(幅160mm、縦100mm)の四角形の枠が挿入されている。この枠の中にラフ案を描いていく想定。 > **ポイント:** 掲載サイズの枠を先に用意してからラフ案を描くことで、情報量の過不足を防ぐ。