# #科研費のコツ83 それは漢字で書くべき? 漢字で書かないほうが良い言葉、どちらでもいい言葉、漢字で書くべき言葉があります。漢字に変換できるものは全て漢字で書く!という人はさすがに少ないですが、それでも、ひらがなで書くべきところを漢字で書く人は一定数います。 > #科研費のコツ83共同通信社『記者ハンドブック』など、日本語の文章作成の考え方がまとまったものがあります。たとえば、コレ👇公用文作成の考え方(文化審議会建議)https://t.co/izQB7fJnNY思ったよりもひらがなで書くケースがあったのではないでしょうか。https://t.co/kRVvm9qQW5pic.twitter.com/xiCImSwcGE > > [Tweet原文](https://twitter.com/kakenhi_com/status/1771869574025126390?ref_src=twsrc%5Etfw) ## 公文書における作文のルール これまで公用文の作成の要領は昭和27年の[内閣官房長官依命通知別冊](https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/yoryo_ver02.pdf)がありました。これをもとに公文書のルールが定められており、たとえば横書きでは読点に「,」(コンマ)を使うルールがあったりします。また、平成22年11⽉30⽇の内閣訓令第1号「[公⽤⽂における漢字使⽤等について](https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf)」では、漢字とかなの使用ルールがまとめられています。 しかし、これらが時代遅れになったため、令和3年3月12日に文化審議会国語分科会から「[新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)](https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/92895101_01.pdf)」が報告され、令和4年1月7日には「[公用文作成の考え方](https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93651301_01.pdf)」が出されました。 ## 「公用文作成の考え方」の内容 基本的には、ここに書かれている原則に沿って書けば問題ありません。数は多いですが、読みやすくまとまっています。 ### 常用漢字表の字種・音訓で書き表せない場合 #### 訓による語はひらがなで書く 敢えて → あえて 予め → あらかじめ 或いは → あるいは 未だ → いまだ 謳う → うたう 嬉しい → うれしい 概ね → おおむね 自ずから → おのずから 叶う → かなう 叩く → たたく 止める/留める → とどめる 経つ → たつ 為す → なす 則る → のっとる 捗る → はかどる 以て → もって 依る/拠る → よる 宜しく → よろしく 坩堝 → るつぼ 他にも、3日間に亘り(→わたり)歌い続けた 「渡り」と書く誤用が非常に多く、ひらがなで書く方が良いでしょう。 #### 音による語でも、漢字を用いないで意味の通るものは、そのまま平仮名で書く 斡旋 → あっせん 億劫 → おっくう 痙攣 → けいれん 御馳走 → ごちそう 颯爽 → さっそう 杜撰 → ずさん 石鹸 → せっけん 覿面 → てきめん 咄嗟 → とっさ 煉瓦 → れんが 難しい漢字を書くとなんだかすごそう!と思う方はこういった漢字を使いがちです。 #### 常用漢字表にない漢字だけをかな書きにする、または、括弧内に読み方を示す 改竄 → 改ざん、改竄(かいざん) 絆 →  きずな 牽引 → けん引、牽引(けんいん) 口腔 → 口こう、こうくう 招聘 → 招へい 綴る → 綴る、つづる 綴じる → とじる 酉の市 → 酉(とり)の市、とりの市 注:化学用語など、片仮名を用いる場合もある。 燐酸 → リン酸 沃素 → ヨウ素 弗素 → フッ素 蛋白質 → タンパク質 結構な割合でタンパク質を「タンパク」と省略して書く方がいますが、口語表現なのでよくありません。 ### 常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合 #### 助詞 位 → くらい(「くらい」は口語っぽいので、「程度」と書き換え可能) 等 → など 程 → ほど(「程度」と書き換え可能) #### 助動詞 ~の様な → ~のような しょうが無い → しょうがない #### 動詞・形容詞などの補助的な用法 ~して行く → ~していく ~して頂く → ~していただく ~して下さる → ~してくださる ~して来る → ~してくる ~して見る → ~してみる ~して欲しい → ~してほしい ~して良い → ~してよい ~して貰う → ~してもらう 実際の動作・状態等を表す場合は「…街へ行く」「…賞状を頂く」「…贈物を下さる」「…東から来る」「しっかり見る」「資格が欲しい」「声が良い」のように漢字を用いる。 #### 形式名詞 事 → こと 時 → とき 「事は重大である」「法律の定める年齢に達した時」「家を建てる所」「所持する物」 「裁判所の指名した者」のように、具体的に特定できる対象がある場合には漢字で書く。 所・処 → ところ 物・者 → もの 中・内 → うち(「…のうち」等。「内に秘める」などは漢字で書く。) 為 → ため 通り → とおり(「通知のとおり…」「思ったとおり」等。「大通り」などは漢字で書く。) 故 → ゆえ(「それゆえ…」等。「故あって」などは漢字で書く。) 様→よう(「このような…」等) 訳 → わけ(「そうするわけにはいかない」等。「訳あって」などは漢字で書く。) 指示代名詞 これ それ どれ ここ そこ どこ 漢字の持つ実質的な意味が薄くなっているもの 有難う → ありがとう(ただし「有り難い」は漢字で書く。) お早う → おはよう 今日は → こんにちは 逆様 → 逆さま いわゆる当て字や熟字訓(常用漢字表の付表にある語を除く。) 何時 → いつ 如何 → いかん 思惑 → 思わく 流石 → さすが 素晴らしい → すばらしい 煙草 → たばこ 一寸 → ちょっと 普段 → ふだん 滅多 → めった その他 共→とも(「…するとともに」等。ただし「彼と共に…」などは漢字で書く。) 仮名書きを基本とするが一部のものは漢字で書く 接続詞 更に → さらに(副詞の「更に」「更なる」は漢字で書く。) 然し、然しながら → しかし、しかしながら 従って → したがって(動詞の「従う」は漢字で書く。) 然して → そして、そうして(「しかして(而して)」と読むべきところだが) 其処で → そこで 其れ故 → それゆえ 但し → ただし 処が、処で → ところが、ところで 又 → また(副詞の「又」は漢字で書く。) 〔漢字を使って書く接続詞〕 及び 又は 並びに 若しくは 問題はここです。接続詞は基本的にかな表記であるのに、この4つの接続詞だけは漢字表記が推奨されています。学振の注意書きも基本的に漢字の接続詞を用いています。 しかし、「読み手への配慮や社会の慣用に基づいて、仮名を使う場合」として、 及び → および(動詞の「及ぶ」は漢字で書く。) 又は → また(「また」がひらがなである以上、「又は」だけ漢字は変) 並びに → ならびに(動詞の「並ぶ」は漢字で書く。) 若しくは → もしくは が可能と明記されましたので、科研費.comではこれを採用しています。 連体詞 汎ゆる → あらゆる 有る日のこと → ある日のこと 如何なる → いかなる 所謂 → いわゆる 此の → この 其の → その 〔漢字を使って書く連体詞〕 来る(きたる) 去る 当の 我が 接頭辞・接尾辞 お…(お菓子、お願い) (「おん(御)」「ご(御)」は漢字で書く(「御中」「御礼」「御挨拶」「御意見」 等)。 …げ(「惜しげもなく」等) …とも(「二人とも」等) …たち(「私たち」等) …ら(「僕ら」等) …ぶる(「もったいぶる」等) …ぶり(「説明ぶり」等) …み(「有り難み」等) 動詞、副詞、形容詞は漢字で書くことを基本とするが一部のものは仮名で書く 動詞のうち仮名で書くもの 居る→いる 出来る→できる(「利用ができる」 。ただし、「出来が良い」などは漢字で書く。) 成る→なる(「1万円になる」。 ただし、「歩が金に成る」「本表と付表から成る」などは漢字で 書く。) 副詞のうち仮名で書くもの 色々 → いろいろ 概ね → おおむね 自ずから → おのずから 如何に → いかに 何れ → いずれ 可成、可也 → かなり 此処に → ここに 沢山 → たくさん 丁度 → ちょうど 迚も → とても 軈て → やがて 余程 → よほど 態と → わざと 態々 → わざわざ ある(動詞)・ない(形容詞) 有る・在る → ある 無い → ない 「問題がある」「欠点がない」などは仮名で書く。「有無」の対照、「所在・存在」の意を強調するときは、「財産が有る」「有り・無し」「在り方」「在りし日」「日本はアジアの東に在る」など、漢字で書く。 読み手への配慮や社会の慣用に基づいて、仮名を使う場合 接頭辞「御」(御指導→ご指導、御参加→ご参加 等) 接続詞(及び→および 又は→または 並びに→ならびに 若しくは→もしくは) 副詞(飽くまで→あくまで 余り→あまり 幾ら→いくら 既に→すでに 直ちに→ただちに 何分→なにぶん 正に→まさに 等)